第15話 不死鳥の涙
翌日…
「今日はなんだ?」
「おや、私より先に外に出てるとは。」
「あぁ。クロスが8年ぶりのたばこが吸いてぇって吸いに行ってる。あいつ金持ってねぇから、おれがついて行ったんだ」
「はぁ。そして彼は?」
「あそこ。」
ドロガが指さしたところにたばこを吸うクロスがいた。そしてクロスはフルトヴァッテの存在に気づいた瞬間、人を殺すような目で睨みつけた。
「ひっ!コワイッ」
「まぁ、お前魔族だしな。」
「でも友達でしょ!?」
「そりゃそうだけど…でもおれたちもそろそろこの村を出ねぇとな」
「どうしてだい?」
「そりゃ未来ある助祭ほぼ誘拐で連れてきちゃったし、下手したら国家規模で探されちまうかもな。お前なんて魔族だから捕まったら即処刑だろうな。」
「ひっ!コワイッ」
「で、今日の依頼は?」
「あっあぁ、今日の依頼”不死鳥の涙”の回収だね。満月祭に向けて広場にどうしても飾りたいそうだ。」
「不死鳥の涙?」
「あぁ、ユリ科の植物だよ。葉が根元から青、黄、赤の順に色づく綺麗な植物でね、なんと言ってもその花が…」
「報酬は?」
食い気味に言うドロガに渋々話した。
「報酬は銅貨3枚と、存在抹消の魔法だと。」
「やめよ。無理だ。少なすぎる」
「やろ!ぜったいやろ!
すかさず横槍を入れてきたのはマリナだった。
「お前起きてたのか」
「存在抹消の魔法なんてどこ探しても見当たら無いし、そんな魔導書初めてだよ!絶対貰うべき結構な戦力になるよ!」
「まぁそんなに言うなら…」
***
「お前ら俺がいない間に何勝手な事してんだよ」
「わりぃ、クロス。こいつらを止めれなかった俺のせいだ。」
そう落胆するドロガの指さす先にはマリナとフルトヴァッテがいた。
「お前も大変なんだな。」
クロスはドロガの背中を軽く叩いた。
「わかってくれるかぁ?」
そしてドロガは少し笑みを浮かべながら思いを馳せた。
「クラウンもこういう時あったのかな…」
「お、お前やっぱクラウンの旅路を追ってんのか。」
「あり?喋ったか?」
「いや、クラウンの名を出す冒険者ならそうに決まってる。隠してたのか?」
「いや、別にそんな事ねーよ。おれはただクラウンが通った道を歩きたいんだ。」
「このラテオ王国からも冒険者は出てる。」
「そうなのか!?」
「あぁ。一旦南下してコメンサール公国を経由してまた北上するんだ。」
「まじか大変だな。」
「といっても今冒険者はフロンティア境界を渡る直前で引き返すのがメジャーだけどな」
「へぇ。やっぱクラウンってすげぇのな。」
「あぁ。でも正直いうと勇者クラウンの道のりを旅立って生きて帰ってきたやつはほとんどいない。それだけ魔王城周辺はやばいってことだ。」
「魔族や魔物にやられちまうってことか?」
「まぁ、大半はそうだろうな。」
これから自分の行く道が危険であることに戦き唾を飲み込んだ。
「勇者クラウンの道のりを辿るっつーことは次はパズブランカだな。」
「そうだな。」
「ここから結構歩くぞ。」
「そうか!じゃあ、不死鳥の涙を見つけ次第、即出発しよう!」
「おう、マリナにも伝えてくる。」
4人は不死鳥の涙の創作を開始した。
村のハズレから村の外から遠く離れた平原まで隈なく搜索していたところだ。
「ほんとにあんのかよ、不死鳥の涙ぁ。」
「フルトヴァテ曰く、村の近くに群生地があるはずなの。」
疑問を呈したドロガはまた、黙々と草をかき分けたりそれっぽい花を持ってきたりしたがフルトヴァッテに違うと、首を横に振られてばかりだった。
4人は最初こそ熱心だったが、途中から疲れ切ってしまい、飽きてしまっていた。
「なぁ、もうやめね?」
クロスの一言で場が静まった。
「こんだけ探して無けりゃもう絶滅してるよ。」
「そんなことないもん!多分あるもん」
「なぁ、クロス。おれはここまで来て引き返したら「あの時もっと探してたら」ってずっと死ぬまで引きずると思う。仲間が欲しいもんはおれらが欲しいもんだ。マリナが諦めない限り探し続ける。」
「あぁ。そうだな。悪かった」
クロスは両手を上にあげてニヤついた
しかし何の成果も得られず2ヶ月が経った頃、マリナは足を止めた。
「ねぇ。やっぱやめよっか」
「なんでだ?」
「ドロガの時間をもう2ヶ月も無駄にしちゃった。」
「何の話だ?」
クロスは疑問を抱いた。
「あのなクロス、おれは………」
***
「まじかよ。要は期間限定アンデッドってことか!すげぇじゃねぇか!」
予想外の反応にドロガは笑ってしまった。
「ははっ、そんな反応したやつ初めてだよ。」
その横でフルトヴァッテは驚愕していた。
「そんでもってマリナ!」
「はいっ」
急にベクトルを向けられたマリナは驚きのあまり裏返った声を出した。
「これはお前の冒険だ。おれは仲間の冒険にこれっぽっちも無駄とは思ってねぇ。」
真剣なドロガの顔と声に昔ドロガに言われたことを思い出した。そしてすぐにくしゃっとした笑顔を見せるドロガにマリナは少し笑いながら返した。
「ありがとう」
「おうよ! 」
「でもさ、やっぱり今週中に見つからなかったら諦めようと思う。」
全員がそれに同意した。それは決して早く終わらせたかった訳ではなく、それぞれがマリナの決断を尊重した結果だった。
そして1週間たったが不死鳥の涙は見つからなかった。そう思われた。
「おい。あれじゃないか?」
そう言ったクロスの指さす先には、真っ赤な葉の先が見えていた。一斉に近づいて周りの草をかき分けるとそこには青、黄、赤に色づく葉を持つ植物が咲き誇ってた。その頂にはガラスのように透き通った、花弁があった。
「これだよ!あーしが言っていたのは!」
それは葉の色をガラスのような花が反射し、それはまるでその場が燃え盛っているように見えた。このことが不死鳥の涙と言われる所以であった。
感動したマリナは2ヶ月探したかいがあったと感涙した。
「よし!じゃあ持ち帰るか!ここ全部引っこ抜いたら足りっかな。」
「ばか!せっかく原生してるんだから、壊しちゃだめ!」
そう言ってドロガを軽くどついた。
「これを3株くらい持って帰ろっか。」
そう言うマリナにクロスはすかさず疑問をぶつけた。
「そんなんじゃ足んねぇだろ。」
「安心しなさいクロス君。こーゆー時のために魔法があるんだよ。」
***
「すげぇぇぇぇ!」
マリナの増殖の魔法で村の広場に不死鳥の涙が咲き誇った。大喝采の上に歓声もあり4人は誇らしげになっていた。
「さぁ!3人とも魔法を称えなさい!」
有頂天になったマリナは大はしゃぎだった。
「なぁ、ドロガ。もしかしてこいつめんどくさい?」
「それはこの先のお楽しみだ。」
「あーおっけ。わかった。めんどくさいんだな。」
この不死鳥の涙を広場に咲かせたことによる宴が各々の酒場で行われていた。
4人は全員村の東に位置する酒場で飲み交わしていた。
「なぁ、ドロガ。俺らの最終目的地はどこだ?」
「え?」
チキンを頬張るドロガは自分の想像を超えた疑問に驚き手を止めた。
「だってよ、勇者たちも魔王城で離散したわけじゃないだろ?」
「あ、あぁ…うん。」
「魔王城から引き返した道があるはずだ」
「確かに。」
ぐうの音も出ないドロガにマリナが聞きに入った。
「勇者クラウン達も、引き返してる間に離散してたんじゃない?だって第1級戦犯に戦犯にされてもザイフェンまでは南下したんだよね?」
「おいどこ情報だ。それ。」
クロスの疑問を無視して2人の目を見て言った。
「もしクラウン達がザイフェンで散り散りになったとしても、おれはマリナやクロスやフルトとは離れたくない。ずっと友達でいたい。仲間でいたい。」
「じゃあ魔王城に着いたら話し合おう。今話し合っちゃ魔王城に着いてからのネタバレだもんな。」
「そうだな。そうしよう!」
「あーしも賛成!」
「よし!じゃあせっかくの宴だ!楽しもうぜ!」
「あのぉ…盛り上がってるとこ恐縮なのだが…」
フルトヴァッテはバツの悪そうな態度で話しかけてきた。
「え!?村に残る!?」
「あぁ、私も君たちと冒険したい。でもこの村を残しては行けないんだ…」
「まぁ、現実的な話、魔族がパーティにいちゃまずいしね。」
現実的な意見にドロガは多様性!と声を荒らげた。
「ほんとに来ないのかよ!フルト!」
「えぇ。私は行けない。ごめんね。」
「魔族の寿命は長いだろ!?旅に出ても村は逃げねぇさ!」
「ありがたきお言葉ありがとう。でもね、やっぱり行けない。この村を見守り続けないといけないんだ。」
「っでも!」
「ドロガ。彼にも彼なりの事情があるの。察してあげましょ」
「そっか…そうだな…」
落胆したドロガにクロスは背中を誘ってやった。
「まぁ、そう落ち込むな。きっとまた会える。」
さっきまでの表情とはうって変わって、にかっと笑うと店全体に響き渡るように叫んだ。
「じゃあ!こいつのお別れ会も称してもう1回打ちあげようぜ!」
わけも分からず酒場の客も盛り上がり酒場はお祭り騒ぎになった。




