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第14話 魔襲孤児

「依頼ってなんだ?」


「犬探しだ。色は金色の小さくて耳が垂れてる子だそうで。」


「いくらだ?」


「銀貨2枚だそうだ。」


「おぉ。犬探しの割に高めだね。」


そう余裕ぶるマリナにフルトヴァッテは言った。


「いえいえ。ここら一体は野犬がうじゃうじゃいてねぇ。いわゆる木を隠すなら森の中状態で…」


「よし、じゃあ3人で手分けして探そう!」


「え、私も?」


「あぁ。ちゃんと分前はやるよ!行こうぜ!フルト!」


「フルト…いい響きだ。」


ドロガは北の方角。 マリナは東と南の方角。フルトヴァッテは西に振り分けた。しかしその日の夕方、3人は宿の前で息を切らしていた。


「まっじでぜんぜん見つけられないね。」


「そうだな…」


「私はしっぽを見たよ。金色の」


「それだよ!絶対!その場所へ行こう!」


「くぅん。」


その声を聞いた瞬間全員が振り返った。そこには金色の小さくて耳が垂れた犬がいた。


「いたぞ!追え!」


全員が捕まえにかかるが、犬はスルスルと抜け出し、逃げ回った。その犬の速さは誰もが捕まえることができないものだった。


気づけば必然とドロガ、マリナ、フルトヴァッテの3方向からの挟み撃ちの状態に追い込んだ。その時だった。ドロガがその足を捉えたのだ。


「よっしゃー!」


犬の足を握り空に掲げた。


「やるじゃんドロガ!」


***


「ありがとうね。この子は孫のように愛してきた子なのよ」


「おう!もう逃げられないようにしろよ!」


「してください。だろ。馬鹿。」


「うっせ。」


それからというものフルトヴァッテは毎日のようにドロガたちのいる宿屋の部屋の戸を叩いた


「今日はゴブリン退治だ! 」


「今日は土砂崩れ!緊急だぞ!」


「今日は行商人の牛車の護衛だ!」


そう、毎日依頼を持ってくるフルトヴァッテにふたりは疲れ切っていた。しかし今回の依頼は異質なものだった。


「今日はドラゴン退治だぞ!」


「ドラゴン退治?」


「えぇ。ここから西に半日ほど進んだところにある村があってドラゴンに脅かされていてね。」


「まじかよ。ドラゴンなんて相手にしたことねぇよ」


「普通の魔物と考えて戦ってくれ。」


「頑張って!」


「いや、お前も来いよ。」


3人はドラゴン退治のため隣の村に出向いた。


「うわぁでっけー。」


「これがドラゴンの巣です。」


そこには下にくぼんだ巨大な洞窟がありドラゴンはそこに巣食っていた。


「ここは元々ダンジョンがあって、勇者一行が封印した場所です。そのせいでドラゴンが住むようになってしまいました。」


何が言いたげなドロガをマリナは首根っこを掴み持ってこさせた。


「じゃぁ、作戦だけどプランAドロガが滑り降りてドラゴンに交渉を試みる。プランBドロガ滑り降りて気を引かせるそしたらあーしが攻撃魔法で一気に決める!」


「おう!Bだ。」


「プランBね。」


「え!?そんな感じで行けるのかい!?」


ドロガは洞窟の入口、5mほどあるくぼみを滑り降りてドラゴンと目を合わした。


「一応な。なんでお前は村を襲うんだ!」


「がるるるるるるるる!」


「交渉はできないか。」


剣を構えたドロガは大きく飛び、そのまま剣を振り落とした。甲羅はあまりにも固くひびも入らなかった。


「くっそ…」


しかしドラゴンは後ずさりした。


「あり?どういうことだ?」


そこで村人は話し始めた


「ドラゴンというのは魔物の中でも最上級の存在だよ。だからあなたの強さがわかるのではないのだろうな。魔力察知に引っかかりません相当な手練ですな。」


「ううん。あいつは魔力がデカすぎて見えないだよ」


「ん?今なんと?」


そう話している間にドロガはドラゴンを煽っていた。


「ドラゴンがそんなんでいいのか?だっせぇな」


「ダメです!ドラゴンは人の言葉を理解します!」


その瞬間。ドロガはドラゴンの爪に引き裂かれた。


発狂するフルトヴァッテにマリナは大丈夫!というようにグーサインをした。


引き裂かれた体はみるみる治り、ドロガは空中へジャンプして腕を切り落とた。


「マリナ!行けるか!?」


「行けると思う!どいて!」


杖を構えたマリナはシャトーノーンと呟き、攻撃魔法を解き放った。それは弱ったドラゴンの鱗を貫いた。


ドラゴンが塵となって消えていくのを見て、固い緊張感から脱し、3人は歓喜を分かちあった。


夜光雲が広がる夕方の空。村では感謝祭が開かれることになった。


「いやぁ!ほんとに美味しいなぁここは!」


「おいバカ!魔族ってバレるだろ!フードかぶれ!」


「お気になさず。フルトヴァッテ様のことは耳にしておりますゆえ。」


「そうなのか!いい村だな」


「いいのか悪いのか…」


マリナはため息を着いた。


「いやぁ、私達の村を救ってくださり、とても感謝しています。そしてなんですが…」


***


「なぁんでおれたちがガキの子守りなんかしなきゃ行けないんだ? 」


「じゃあ断ればよかったんじゃん。実際ほんとに急いでるんだし。もう1年切ったんじゃない?」


「いや、まだだ!んな気がする」


ドロガ達は旅行へ行く世話係のいない間の3週間、クロスという青年の世話をすることになった。


「なぁ…ここかぁ?」


村の北東には荒廃した土地があった。


村人が言うに、クロスは協会の助祭として働いていた。しかしある冒険者に黒魔術を教わり彼は変わった。村人を殺しはしないものの痛めつけ協会にて悪魔祓いをされたがそれも無念に終わった。


その結果が現在クロスは村の北東に位置する小屋の中に幽閉れている状況だった。


ドロガは何も恐れず小屋の壁越しにクロスに話しかけた


「おぉーい。クロスってのはお前かー?」


「あぁ。誰だテメェ…」


低くがなった声ような声で反応したクロスにマリナとフルトヴァッテは身をちじませた。


「これから3週間!お前の世話をするドロガっつーもんだ!よろしく頼むよ。」


「ドロガ?聞かねぇ名だな。南から来たのか?」


「あぁ。そうさ。冒険者は大抵南の方から来るからな。」


「冒険者か…そこにいる女と魔族はなんなんだ。」


「わかるのか?」


「まぁな。元々助祭もやってたし黒魔術もかじってた。」


「おう、仲間の魔法使いマリナとフルトヴァッテだ!」


「ちょっと!フルトヴァッテは仲間じゃないでしょ!」


「まず、ドロガ、マリナ。歓迎しよう。お前たちの話は聞いてやる。その代わり魔族をこの場で今すぐ首を落とせ」


「おい!そこまで言うことはないだろ!」


「邪悪な魔力が滲んでいる。そんなクズを仲間にしようっていつあまちゃんに興味はねぇ。どうする。」


「わかった。おれはお前と話はしない。その代わり食いもんと飲みもんは支給する。それがおれたちの役目だからな。」


「勝手にしろ。」


村に帰って小屋に戻るの繰り返しをしてあっという間に1週間がすぎた。


ドロガは朝食を渡すと、クロスが話しかけてきた。


「おい。ドロガ。」


ドロガは向こうから話しかけてきたことに驚き、少し後退りをした。


「意地張って悪かった。少し話をしよう。」


「フルトヴァッテは殺さねぇぞ。」


「あぁ。いい。」


やっと話し始めたクロスの声は小屋の壁で聞き取りずらく、耳をそばだてて聞いた。


「おれは魔襲孤児だった。ここからはるか南西にあるザイフェンという町で生まれたんだ。でも度重なる魔物からの襲撃で家族を失った。そこに現れたのが今の育ての親だ。司祭になれば大金を得られる。それに俺を使ったんだ」


「大変なんだな。」


「軽いな。お前はどこの人間だ。」


「トンロト村出身だ。」


「どこだよ。聞いた事ねぇな。」


「ここから遥か南の村だ。でも村はなくなった。おれと1人のエルフを除いてな。」


「じゃあ、お前も魔襲孤児だったのか。」


「いや、冒険者だ!」


「そうか。おれも冒険者になりたかった……ごっこで良かった。だから魔法を覚えた。みんなに見て欲しかった…それだけだったんだ」


上擦った声で話すクロスにドロガは意外性を感じずにはいられなかった。


「そういうことがあったんだな。」


「気にすんな。喋りすぎた。ダサいよな。」


「ダサかねぇよ。自分の人生を語れる文字数が多ければ多いほどかっけぇよ」


「ふふっ。お前はだせぇな」


なにを〜と小屋を蹴ったドロガにクロスは喋り始めた。


「俺を仲間に連れて行ってくれないか?」


「え?」


「俺は助祭だ。司祭の持つ知識や魔法はは大抵持っている。見たところ治療者がいないだろう。俺を連れて行ってくれないか?」


「別にいいけど…お前はいいのかよ。親とか村の人とか。」


「あんなグズども要らねぇよ。」


「わかった!歓迎しよう。」


その瞬間、小屋が縦に割れてクロスはその姿を顕にした。180cmあるその引き締まった体はドロガを圧倒させた。


「でけぇなクロス。」


「そうか?ふつーだろ。」


そしてマリナとフルトヴァッテは小屋が壊れクロスが出ていることに気づき、驚愕した。


ふたりはドロガとクロスの一連の出来事を聞いてまた驚愕していた。


「無理だよ!そんな横暴な男!」


「大丈夫さ!悪いやつじゃない。悪いやつだったらおれがぶっ殺す!」


「へへっ言うじゃねぇか」


ふたりは村に降りずにそのままフルトヴァッテの村に戻ることにした。


「ちょっとこれって誘拐にならないの!?」


「多分なるな。」


即答するドロガにマリナは呆れてしまった。


「実際、俺が自らの足で外に出てんだ。誘拐もクソもあるか。」


そう言うクロスの言葉にマリナはまた、呆れてしまった


3人はもといた、フルトヴァッテの村に帰ってきた。


「私がよく行く酒場があるんだ。何せそこの主人が勇者クラウン一行と一時期、度を共にしたことがあるんだ。」


クラウンというワードでわくわくしながらドロガは我先にと酒場に入っていった。そこは繁盛しており初老の男がカウンターで酒をついでいた。


「いや、旅を共になんてしてませんよ。わたしの父が行商人でしてね、子供の頃のわたしは同行してたのです。その時に魔物に襲われまして、クラウン様一行に助けてもらったのです。そのお礼として村から村に牛車で運んだだけですよ」


「クラウンはなんか言ってたか?」


「えぇ。未だに覚えてます。不思議なことをおっしゃるなぁと。」


「なんて言ってたんだ?」


「確か「教育に悪いけどね。少年。僕は世界を救って功績にふんぞり返るより、道中で出会う切り株に座って風を感じていたいたちなんだ 」と。」


「クラウンは、勇者になりたくなかったのか?」


「私もこの歳になっても完全に理解はできません。でもきっと自由を追い求めていたのかなと思いますよ。」


「そっか!自由。楽しいもんな」


そう言うドロガに店主は笑いかけた。


「いやぁ、しかし、最近は充実してるなぁ」


「ひとえに私の努力だなぁ」


「いやほんとにそうかもしれないね。」


「俺の1件も楽しかっただろ?」


「ぜんっぜん!恐怖しかなかったわクソクロス!」


「大口たたけりゃ十分だ。改めてよろしく。マリナ。」


クロスと握手を交わしたマリナは自然と恐怖心はなくなっていた。


「じゃあ私も」


そう、手を出したフルトヴァッテは手を払い除けられ大袈裟に舌打ちをされた。


「おめぇはグズだ。魔族。」


「ひっ…コワイッ」


「まぁまぁ、これから旅する仲間になるだろう?仲良く行こうぜ!」

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