表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/151

第12章 ⑮ 旅は道連れ、情けをくれよ!

第12章 ⑮ 旅は道連れ、情けをくれよ!


せっかくいい所に泊めてもらったのだから、これを逃す手はない。部屋にあった宿泊者用のパンフレットを見ると、この「緑庵荘」にはどうやら天然温泉があるらしい。


なになに、泉質は塩化物泉。

効能は筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり。


具体的には関節リウマチ、変形性関 節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などに効くらしい。他にも運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下 etc


これが本当なら温泉の効能最強説だな。


全国民に温泉休暇を推奨することで、医療費削減だ!そんな事を言って温泉をPRしたいだけの首長が出てくるのは時間の問題な気もする。


それはそうと、自分はこのひとときを満喫するだけだ。温泉に浸かり、今日という日の疲労を出来るだけ明日へと持ち越すことのないようにするのだ。


意気揚々と大浴場に行くと、脱衣所にも荷物は少ない。やはり時間帯もあってか、中も人は少なかった。


しかし、素晴らしい。高級温泉旅館とはこう言うものなのか。まるでどこぞのスーパーな銭湯以上の充実設備だ。


体を洗い終え、タイルの床を足で捉えつつ、自分は露天風呂へと向かう。扉を開ければもちろんそこは外だ。室内とは異なり気温が低い。いきなりの体感温度低下により、直ぐにでも温泉へと入る必要性を求められる。


自分は慌てて、温泉へと入る。

しかし入ってしまえばなんてことはない。石造りで囲まれた温泉はやはり雰囲気がある。あくまで人工的なものだが、こう言うのは雰囲気は大切だと身を持って体感する。


しかし、そこには要らぬ先客がいらっしゃった。


「おや、中森君もお越しでしたか。どうです?いいでしょう?」


先客は宮田さんだ。直ぐに出直そうとするが、呼び止められる。


「まあ、ゆっくりして。別に気にすることはありませんよ。」


宮田さんは気にしなくても、こちらは気を使います!壮絶な過去やら、複雑な事情を話されて、こっちは手一杯です。出来ればこの寛ぎの時くらいは解放させて欲しい。なんせ、戻れば一緒の部屋なのだから。


「そうは言っても、宮田さんもおつかれですよね。小僧1人に、じゃじゃ馬姫の監護者は大変だと思うので。」


「いえ、それも仕事ですし。それにこうやって貴方が視界に入るうちはヒカル様は安全です。あの狼の神使は外敵からは守護しても、貴方を排除するとは思いませんからね。うっかり眠り姫に目覚めのキスでもされて、盛り上がられては困りますからね。それだけは死守しないと。私の首が飛ぶだけでは済まない事になりそうなので。」


まるで盗賊の首領を見るかのような疑いの目で見られている。どうやら宮田さんにとって自分の信用度はそれくらいらしい。


しかし夢の国の物語では髪長姫を救った良い盗賊もいることを忘れないで欲しい!しかし一方で原作の方は忘れて欲しい。

むしろ知らないで欲しいとすら思う。何とも複雑な気持ちだ。出す例えが悪過ぎたと心の内ながら反省する。


「それはなんとも。まさか自分がヒカルを襲うとでも?」


「この時期の少年はいつでも飢えていますからね。本当は魔法で両眼を潰しておきたいくらいですよ。」


笑って言っているが正直かなり怖い。冗談抜きで心の内を読まれたのかと、恐れ慄く。


「そ、それは勘弁してください。ちゃんと大人しく寝てますから。」

「そうしてください。明日はおそらく聞き込みでしょう。黒猫さんがいい情報も持ってくれれ

ば、あるいはもっと踏み込めるかもですけどね。私は、明日は旅館で待機してます。緊急時にはいつでも呼んでください。もちろん、明日にはお二人とも一旦お帰り頂きますけどね。ご家族も三上家からの電話があったのでは気が気でないでしょうし。ではお先に上がりますね。」


宮田さんに言われて思い出したが、完全に連絡するのを忘れていた、湯には母さんの鬼の形相が浮かぶ。


「え、ええ。どうぞ。」


「あ、それと安心してください。私は、夜はラウンジで仕事していますから。一人で部屋は使ってください。」


それは確かにありがたい。と同時になんだか申し訳ない。改めて大人は大変なんだと気付かされる。


その後、1人で露天風呂以外も堪能していると、清掃のお兄さんが来てしまい、あえなく退散した。


部屋に戻ると、まずは急いで連絡する。(スマホを確かめると緑色のSNSには沢山の通知があったことは言うまでもない。そして普通に怒られた。)


それから部屋を確認すると、確かに宮田さんの荷物はなく、タブレット端末も無くなっていた。宮田さんのことだから見られたことも気づいているだろうが、それすらも予想通りならまんまと手の平で踊らされてる気分だ。


しかしそれを気にして敵う相手ではないことはわかる。故に自分がやるべきことは明日に備えて寝ることだ。諸々の就寝準備を終えると、

自分は敷かれた布団に滑り込み、あっという間に眠りについた。


眠りに就いた自分は、夢ではありのままの姿を見せる彼女を、心に刻んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ