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第12章 ⑭ 旅は道連れ、情けをくれよ!

第12章 ⑭ 旅は道連れ、情けをくれよ!



「えっと、つまり自分の父さんと小倉さんは知り合いだったんですか?」


「ええ。虹一さんは私にとっても大学の先輩にあたります。虹一さんは先生を紹介してくださった縁もあってずっと親しくしていたんです。私も小倉も本当の兄のように慕っていました。ある時、虹一さんが神事に関する事で仕事をした帰りに会うことがありました。その時に出会ったのです。あの黒猫さんには。」


宮田さんはバックから手帳を取り出すと、手帳に挟んだ、父さんと宮田さん小倉さんの三人が肩を組んで笑っている写真を見せてくれる。


「じゃあ、父さんに付いていたマルに出会って、その縁で父さんがそんな契約を勧めたんですか?」


「いえ、その時は世間話や神社の話をして終わりました。小倉が契約したのは、虹一さんが亡くなった後です。」


亡くなった後。つまり父さんが病死した後にマルが小倉さんと接触して契約を結ばさせたのか?そんな何故外部の人間を巻き込んでやったのかが腑に落ちない。


「父さんじゃなくて、マルが仲介したってことですか?」


「ええ。そして小倉は今は黒猫の使いをして、様々なことをしているらしいです。私も彼と連絡をとっている訳ではありませんので、些細には分かりませんが。」


「その、小倉さんはなんでまた「血の贖い」の契約なんかを?聞くにあまりいいものには思えませんけど。」


「そうですよね。普通に考えれば、どんな不幸がおよぶかもわからない契約をするなんて、普通ではない。しかし、普通ではいられないほど彼はチャンスに飢えていた。そこに黒猫さんが誘ったのです。そして彼はそれにのってしまった。自分の野望を叶えるために。」


宮田さんは写真をひっくり返すと。

裏面にはそれぞれの字で夢が書かれている。


父さんの字では「世界中を笑顔に!」


もう二人の字はどちらかはわからないが、


「この国を変える!」と「多くの人の幸せを守る!」と書かれている。


「小倉さんの野望って何なんですか?まさか世界平和とかじゃないですよね?」


「それはどうでしょう。そこまで大きな願いを言うタイプとは思えません。おそらくですが、彼の野望は、この国のトップに登りつめること。そしてそれを叶えるために、危うい橋を渡り続けている。いつ不幸がおよぶかもわからぬ中、彼は野望を叶える為に黒猫さんの指示で違法なことにも手を染めていると聞きます。」


「つまりうちのマルは犯罪を手引きする極悪犯とでも言いたいんですか?」


「そこまでとは言いません。しかし限りなく近いと思ってます。彼は信頼できない。虹一さんが亡くなったのも彼が原因ではないかと思ってます。」


「そうまで言うのは何故です?父さんは病死です。ウチのマルが確かに外で悪さをしてるのかもしれない。でも、少なくとも父さんを死に追いやる様なやつには思えません!」


つい熱くなり座卓を叩いて、歳上男性に生意気な事を言ってしまった。言った後に後悔するが、覆水盆に返らず。


それでも宮田さんは怒ることもなく。手帳に大事そうに写真をしまいカバンへと戻す。


「そうですか。貴方は余程彼を信頼しているらしい。それでも覚えておいてください。神様は優しい所ばかりではない。恐れられる面があるからこそ、神様なのです。優しいだけの人間がいないように。」


宮田さんはそう言い残すと立ち上がり、部屋を後にしてしまった。恐らく、ヒカルの様子でも見に行ったんだろう。


宮田さんはタブレットはバックにしまわずに行ってしまった。開かれたままの画面がどうも気になった自分は申し訳ないと思いつつも、置いていかれたタブレットを操作し、他の写真を盗み見てしまう。


そこには様々な写真があり、多くは政治家関連のパーティーの様子を写したもので、特質なものは無い様に思えた。


いちいちスクロールするのが面倒になり、フォルダの分類を見る。すると気になるフォルダがある。


フォルダ名には「神護協会」とある。


それを開いてみると、そこには家の写真では見たことのない、神職の格好をした父さんが写っている写真の数々。


そして一番に気になったのは、父さんと母さんも写っている写真だ。


見るに複数の家族による集合写真の様だ。そこにはヒカルのおじいちゃんも、その妻である房枝さんも、お父さんである悟さんもその隣には子供を抱く女性。

おそらくこれがヒカルとヒカルのお母さんだ。そして見知らぬ男女に抱えられる子供。それぞれの家族には子供を抱えてる。ならば母さんに抱かれているのは自分だろう。


しかし自分達が写る写真であるのに、家では一度も見たことがない。


それにここには、ばあちゃんもじいちゃんもいないのも不思議な話だ。中森と三上は仲が悪くなり始めたところなのだろうか?そう考えると合点もいく。

そしてこの見知らぬ家族は誰なのだろう。おそらく両家に縁の深い家だとは思うが。


しかし、もっと謎が深いのはこの中央に写る男だ。明らかにどの家族の人間とも異なる。


神職の服装だ。烏帽子を被り、狩衣に白の紋付き袴の正装を纏う男は、明らかに地位の高い人間だ。

とする何かの祭事にあたって撮られた写真であることは間違いない。


フォルダからするに神護協会の偉い方だろう。検索すればわかるかもしれないと、自分のスマホで画面の写真を撮影しておく。


あまり時間をとって宮田さんが戻ってくるとまずいため、タブレットを元の状態に戻し自分はそそくさと大浴場へと向かう。



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