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第12章 ④ 旅は道連れ、情けをくれよ!

第12章 ④ 旅は道連れ、情けをくれよ!



「ククノチノミカミ。今よろしいかな?」


目を閉じて木に触れていた彼はこちらを振り返ると、青い光はじきに消え、元の状態になる。こちらを確認すると、要件を理解して、友を迎え入れる。


「おお。クグス神。よく来てくれましたね。こんな辺鄙な所に呼び出してしまってすまないね。」


「いえいえ。ククノチノミカミたっての希望ですから。何処へでもお伺いしますよ。」


「それはありがたい。それで?この前言ってた子達ですか?」


「ええ。この二人がツトメにおける課題を頂きたく、参上させて頂いた訳です。」


「遅ればせながら、ご挨拶を。私はクグス神に仕えます、神使にございます。」


マルが恭しく跪き、頭を下げる。それに続く形で、二人とも挨拶を済ませる。


「私は、三上光と申します。」


「私は、中森翔と申します。」


「私はククノチノミカミ。普段は木の神として、こうして木との対話を通して、天候や動物、もちろん人間も観察しています。クグス神とは木の神同士で、仲良くさせて頂いています。とこんな感じで自己紹介はよろしいですか?」


「ええ。ありがとうございます。」


「それはよかった。しかしどうもこんな格好で申し訳ない。彼もどうせラフな格好だと思ったのでね。それに、より人間らしい格好の方が人間を理解できそうな気がするのでね。」


「さすが、神様として人間を理解してあげようってのは器が大きいですね!酒の器も大きいですけど!(笑)」


余計な一言を挟んでくるクグス神に友人としての対応をするククノチノミカミは大人だ。


「では早速ですが、課題を与える。ってことでよろしいんですね?」


「ええ。そうして頂けるとありがたい。仕事が終われば、この後は一杯やりましょう。」


いつの間に神術で取り出したのか、クグス神の左手には大吟醸の一升瓶が握られている。


「フフッ。さすがですね。お酒を頂きながら、対話といきましょう。ですが、課題は大真面目に出させて頂きます。」


「はい。なんなりと。」


「私が今回与える課題は、人と人との絆を見せて欲しい。それが今回の課題です。」


それを聞いたクグス神も少し予想外だったのか、驚いている。


「そ、それは何と言うか。かなり難易度は高いのでは?課題としてもかなり抽象的ですし。」


「それは百も承知です。しかし、ツトメの課題とは本来そう言うもの。これは乗り越えなければならない壁です。」


それを聞いた自分からすると、どうやって絆を見せればいいのか考えただけでも頭が痛くなりそうだ。第一もう既に別件で三半規管はやられてるというのに…。


「承知致しました。では課題がクリアでき次第、再び、訪問させて頂きます。」


マルが返答すると、ククノチノミカミは一枚の札を渡してくる。


「いえ、これを持って行ってください。これで絆を判断します。そうすれば、再び私の精神世界に来なくても、私自身の分身を通じて証を与えますので。」


「かしこまりました。よろしくお願いします。では失礼致します。」


マルは札を自分に受け取らせると、そのまま、自分達はククノチノミカミに挨拶をして、その場を後にする。


ククノチノミカミの対応は本当にあっさりしたものだ。余程その後のことが頭にあるのだろう。


その代償に難易度が高い課題であることは皆が理解するところだったが。


もちろん宴会を楽しみにしていたクグス神であっても、さすがに自分達を見送るために、精神世界を出るまでは付いて来てくれるらしい。


「にしても、友達割引の代償は高くつきましたね。」


マルがクグス神に話しかけると、クグス神も頭をかく。


「ホント、経費削減のために友達にお願いしたのに、課題の難易度が高いとは思わなかったね。」


「あのぉ。結局はどうすればいいんですか?これのままだと、絆を見せるって抽象的過ぎて、何をやればいいのか分からないんですが?」


ヒカルの言うことはごもっともだ。絆なんてあってないようなもの。

家族の絆!

って言って仮装大賞にでも出るのがいいのだろうか?あの神様なら高確率で躊躇なくランプを灯さずに、不合格にしてくれるだろう。


「僕が考えるに、人助けが一番わかりやすいんじゃないかな?この精神世界からなら、一番近い彼を祀る神社に飛ばせるから、そこでひとまず人助けしてみたら?それで、課題クリアになるんじゃないかな?」


「クグス神。それはククノチノミカミからの情報ですか?」


マルの真剣な表情に目を合わせられないのは、本当は山勘での発言を悟られたくないのだろう。


「ま、それはいいとして、とりあえず君達は久々知神社に行って貰うから!そこで何とかして!じゃあ!」 


「え!ちょっと!待って!まだ聞きたいことが!」


「ああ、そんなの、後で聞くよ。はい。いってらっしゃい!」


そう言ってクグス神は指を鳴らすと、いつの間にか自分達は見知らぬ土地の現実世界へと戻された。

急がせた理由なら何となく分かる。しっかりと左手に握りしめた大吟醸を、一刻も早く味わいたかったのが本音だろう。


しかし、大迷惑なことに説明も半ばに、いきなり飛ばされては、自分の居場所もわからない。それでも感謝すべき事もある。

あの船にもう一回乗らなくてよかったと言うことだ。心の中でもちゃんとお礼はしておこう。


「クグス神様。ありがとうございます!」


とは言えだ、場所がわからなくてはツトメどころではない。

自分のバックからスマホを取り出して位置情報を得ようとするが、肝心のスマホが行方不明になっている。仕方なくヒカリに助けを求める。


「あのさ、ここってどこか調べられる?」


「えっと、ちょっと待って。」


ポケットから取り出したスマホで調べるヒカルから驚愕の事実が告げられる。


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