第12章 ③ 旅は道連れ、情けをくれよ!
第12章 ③ 旅は道連れ、情けをくれよ!
「ああ!そうだね。サクヤビメ様なら強い力をお持ちだから、君の力をコントロールするには役立つ情報をくれるんじゃないかな?」
クグス神はマルの表情からベストな回答であることを確認する。
「そう言えば、カケル君はマルの力を借りたりしてるのかい?時渡りの力は何かと便利だろ?」
「いえ、一度時間調整をして貰ったぐらいです。」
少しぶっきらぼうに答えるが、クグス神はあまり気にしてないようだ。
「そうなの?勿体ないなぁ。彼はよく使って悪戯してたのに。」
「クグス神!そんな昔話を!今はそんな事に私の力は使わせません!わかってるでしょ。そんな事くらい。」
「ごめんごめん。つい口から思ったことが出てしまうタイプだから。それに、使えるものなら自分も使ってみたいと思ってね。」
「え!マル君って実は超能力を持ってたんだ!時渡りなんて格好いい!未来とか行けるの?」
「あー。その話はまた後でな。」
ヒカルはマルに興味を惹かれているが、自分はクグス神の言葉の方が気になった。神使が使えるのに、主神が使えないことがあるなんて、そんな事があるのだろうか?詳しく聞きたいとこだが、その質問は後回しにせざるを得ない。
なぜなら、クグス神が歩みを止めたからだ。
坂道の終点ではコンクリートの舗装された道はここで途切れ、左手は崖でガードレールもなくなっている。
右手には森があるが、その森の入口を示すかのように石の祠が鎮座している。
「ほら、着きましたよ。ここが、ククノチノミカミの祠。この島は神社を管理できる人がいなくてね。この祠があるだけなんだ。さ、私に掴まって、移動するよ。」
クグス神は左手で祠に触れ、右手を差し出してくる。
言われた通りにヒカルはマルを抱き抱え、クグス神の右手を握り、自分は腕辺りを掴む。すると割合衝撃無くすんなりと、精神世界に入ることができる。
しかし精神世界の割に、元いた場所と変わり映えしない光景だ。
元来た道も、下には船着場も見える。
「これは面白い精神世界だな。これはククノチノミカミの趣味ですか?」
マルも興味深い光景らしく、クグス神に訊ねる。
「ああ彼は、「ありのままを♪」肯定する神だからね。変に小細工するより、現実世界を映したように作るのが好みらしいよ。僕にはわからないけどね。」
氷の女王に1ミリも関係ないのに、夢の国の歌をちょいと挟んでくるのが、この神の性格をよく表している。
正直そのまま氷の王になって、引きこもって貰ってもいいと感じる。多分兄弟はいないので、一生そこで暮らすでしょうけど。
「でしょうね。クグス神の場合はこだわりの世界ですからね。」
「おーい。いくらマルでも秘密は守るように!」
クグス神にしてはトーンが本気だ。どうやら本当に知られたくない趣味らしい。
「出過ぎた事を言ってすいません。それで、ククノチノミカミは?」
「この奥さ。彼は木々との対話を惜しまない人でね。何でも知りたがる神なんだ。木々との対話で、人間の様子もよく知ってるよ。」
クグス神は、勝手にズンズンと祠の奥に広がる森に入って行ってしまうので、自分達も遅れまいとクグス神の後を付いて行く。
すると、木に触れて霊力を流し込む何者かの姿が見える。
その者は格好こそ、白と青のウインドブレーカーを上下に着ているが、彼の周りには青い光が木の周りに溢れ、辺りを照らしている。
ウインドブレーカーで全身は見えないが、髪は白銀の短髪で顔を見るに、焦げた肌がいかにも野性味のある人柄?神柄?を表している。ようは、夏はサーフィンしてそうな神様だ。




