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第7章 ③ 龍神伝説、秋の夜長はSNS

第7章の3 龍神伝説、秋の夜長はSNS



そんな中、クラスで繰り広げられた、焼きそばか、名作演劇かを争う戦いなど、今の自分の戦いの方がよっぽどか気になるのは仕方ないことだと理解してくれよう。


クラスでのHRが終わり、そそくさと帰宅の途に着こうとする自分を呼び止める存在がいた。


「ねぇ。あなたクラス演劇に反対していたれど、それってどう言うつもり?あなた、ユゴーがお嫌い?」


麗しい髪を揺らし、自己の生物学優位性をも付加して主張してそうなのに、どこかに隠す狂気性が特徴的な彼女。そんな彼女はもちろん天下のクラス委員長、長嶺様だ。


「いやぁ。別のユゴーは嫌いではないですよ。ただ、暗いかなぁと。中学生がやるには孤独や虚無感を表現できないんじゃないかと思って。」


とそれっぽく言ってみる。読んだことはあるが、詳しく語れるほどマニアではないため、さっさと撤退したいが、先の発言がどうも偶然にも長嶺の心に刺さってしまったようだ。


「ええ!そうなの!中学生がやるにはユゴー原作のノートルダムドパリは難しい。かと言ってディズニーのような改変ではもの足りない。現実的には折衷案として創作を加えた二次作品とすべきとは思っていたの!まさか、同じ考えだったなんて!」


正直、思った反応と違い、自分は困惑した。彼女は完全に筋を読み違えているが、そんな事はお構いなしに弾丸トークで押しのけてくる。


「やはり、窓の向こうを見つめ、この世を憂う、物憂げな顔には訳があったのね。単なる怠惰ではなく、厭世主義による、虚無そのものだったのね!」


この人勝手にヒートアップしてるが大丈夫だろうか?言っておくが憂いていたのは世界ではなく、自分の境遇であり、自分は紛れも無く「怠惰担当デス!」よ。(もちろんロマネコンティとは無関係デス!)


「いやぁ!まさにピッタリじゃない!私の考える主役に!もう!早く言ってよ!」


興奮して両肩をもって揺らされている自分は「気分性の揺さぶり症候群」にでもなって倒れてしまいたい気分だった。(脳が震える)


「え?どうしたの?真紀?」


間の悪いことに、ヒカルが寄ってくる。


「ああ!ヒカル!主役が決まったわ!彼よ!」


とぐるりと反転させられ、見世物にされる。


「あ、えっと。カジモド?」

「そう!カジモドは彼で、問題はフェビュスね。(名前はフィーバスでも構わないわ。)美男子かつ、女を貪るクズ男よ。これは難問。」


必死に頭を捻っているのはいいが、いい加減に腕を離してくれ。逃がさないつもりの彼女から逃れるために「ヒカル助けてくれ!」とそれとなく合図を送るが苦笑いで返される。


「ああ、美男子はなかなかねぇ。クズではないと思うけど、倉橋君は?彼ならなかなか、いいと思うけどなぁ!」


もう‥普通にアドバイスしてるし‥ヒカル。


「倉橋君‥確かに、容姿は申し分ないわ!それにどことなく闇を抱えていそうなのよね。彼。そんな危うさをも女を惹きつける魅力となる。ひょぉー!創作意欲が高まってきたわ!ありがとう!これはいける。最高のものになるわ。それじゃ早速、明日から稽古だから。二人とも忘れずに来てねー!」


と跳ねるように、行ってしまった。長嶺を見送り、戻ることがないことを確認し、ヒカルを

空き教室へと連行する。


「おい。どうすんだよ。完全にやらかしたぞ。これじゃツトメの課題ができないぞ。」


と小声で怒る。


「ごめん!長嶺さんの勢いに負けて、つい。」

「それに二人ともって言ってたし、倉橋も巻き込んだら全滅じゃないか。」

「うーん。それもごめん!そもそも私は配役されてないはずなんだけどね。長嶺さんのことだから不安なのは、確かだけど。」


とヒカルも反省しているようだから、仕方ないにしても、これでは計画が進まない。

そもそも計画とは?と思うだろう。

話は遡ること7日前。


「と言うわけで、SNSでバズろう!白蛇様の復活大作戦はこのようなスケジュールで行います!」


と家にあったホームシアター用の映写機を用いて


三人プラス一匹で作戦会議を行っていた。


「質問ですけど、いいですか?」


と右手を挙げる倉橋に発言権を与える。


「はい!どうぞ。」

「このスケジュールだと、文化祭の準備期間と被るけど、大丈夫ですかね?いささか、厳しいのでは?」

「問題ないでしょう。文化祭は所詮お遊び。こちらは本気の命懸けの戦いです。こっちの祭りに人が集まらなければ!死を!そのくらいを覚悟してください!」


自分なりの鬼の形相を見せることで覚悟を促す。全然響いた気配はないが。


「はい、はい!しつもーん!」


笑顔いっぱい元気娘(影の支配者)に次なる発言権を与える。


「はい、どうぞ!」

「思うに、この天雲神社の天空祭をPRするのはいいけど、どうやって霊力集めるの?」

「お!いい質問だな!それは俺が答える。」


マルは立場を乗っ取ると、スクリーンの前に出て説明を始める。


「えっとまずはだな。この天雲神社の宮司とは話がついてて、今までの神宿池の管理不足を謝罪して、協力してくれる手筈になってる。そこでだ、この特製お守りを配布する!なんと限定300個だ!ちなみにこのお守りは持ってる人から霊力を吸い取れるお札を入れてまーす!」


手に持つお守りはウチの神社で発注したものだが、紫に桜の紋様、金の刺繍で御守と書いてあるだけのシンプルなものなので、他の神社の御守りだと気づかれることもないだろう。


「失礼ながら、300個では足りませんし。勝手に霊力を取るのは流石にまずいかと。」


まともな奴がまともなことを言う。ごもっともだ。


「そうだよ。霊力は生命力みたいなものでしょ。あんまり取りすぎたら死んじゃうじゃない?」


とヒカルは呑気に言ってるが、断言します!全部取って生きてるやつはいません!死にます!


「ああ、そうだ。正直魂全取りで3000人は殺り過ぎだ。」


ああ、やり過ぎも、殺り過ぎだ。やるが殺るになってるくらいに大量猟奇殺人だ。


「ではもっと数を増やしては?3000個は少なくとも作り、あとは伝説をSNS戦略で広めて、信仰心を集めれば、少々の霊力を頂戴するくらいなら、問題ないかと。」

「そう、それは考えた。結論から言おう‥それに見合う予算がない!」


マルの言葉に二人はずっこけていたが、自分は既に知っていたので、なんら驚くこともない。


「我々には金はない!だがしかし、我々は知恵と勇気を持っている!それで何とかしよう!」


熱弁を奮うが自分も含めて誰も響いていない。


「まあ、とりあえず、限定300個配布の特別お守りを目当てにやってきた参拝者や、観光客を狙って、手当たり次第霊力を掻っ攫う手段も考え中なので、良いアイディアあったら随時言ってください!えっと‥」


マルが自分の話を遮って話す。


「あ、それと、特製お守りはうちらで作成するので、霊力を扱える倉橋はお札作りを!それをお守りに入れて、閉じる作業をヒカルが!そしてSNS担当兼、雑用はカケルでいくから!もちろん総合プロデュースはマルだニャン!」


千客万来を招福するかのように招き猫のように手招きのポーズを決めている。


「わかりました。明日から早速取り掛かります。」

「りょうかーい!」


マルに対しての関心はみな一様に渋い。

とりあえず、始まったはいいがこれが苦難の始まりだったわけだ。


話は現在に戻る。


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