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調理実習

~厨房~

 そこには昼間に顔を会わせた王女達以外のクラスメイトが揃っていた。そう、入学初日に従者達の親睦を深める為に開かれたいわゆるオリエンテーションであった。

トウカとエリサはその中でも注目を集めていた。トウカは各国で重要人物として知れ渡っているのである。

「は~い、それでは入学初日の最大のイベントを始めるわよ♪

今日は初日と言う事で夕食をそれぞれ作って頂きます。当然、護衛として付いてきた娘も腕を振るってくださいね。」

と、担任であるマリカが言った。

「先生、料理は何を作っても良いですか?」

「はい、何を作っても大丈夫ですよ。ただし夕食に出す物なので当然、姫様達も食べますのでそれも考慮に入れて下さいね。料理が出来ると言うことは今後さまざまな面で役にたつでしょう。

まあ、他の人の料理を見て取り入れるのも1つの手ですよ。」

そう言うとマリカ先生は厨房の中央に移動したのであった。


「トウカ様、それでは何を作りましょうか?」

エリサはトウカにそう聞いてきた。前世で一人暮らしが多かった為、家事のスキルは中々の物だったのだが転生後は今まで料理をしていなかったのだった。


「そうでうね~。」

トウカは女性の言葉を忘れないようにそう言うと食材が置いてある厨房の一角に向かった。


肉、魚、野菜、豆、チーズ、卵、牛乳、果物、調味料などが置いてあった。

トウカはそれを見つめると何かを閃いたように

「そうですね、すき焼きとか良さそうですね。」

「スキヤキ?」

エリサは聞いたことのない料理に首を傾げていた。


トウカはそう言うと野菜を見渡した

以前、王宮で食べたことのある白菜の様な野菜と春菊の様な香草をみつけた。

『鑑定』

白菜の様な野菜はローサイと言う名前だった。寒冷地方でとれる野菜らしい。

春菊の様な香草はニア草と言うらしい。逆に亜熱帯地方でとれる香草らしい。

トウカはその野菜を幾つか持っていくと豆類のコーナーに来ていた。

鑑定を使いながら見ていると

『白豆』

タンパク質が豊富な豆。主食としても食べられる。絞り汁は熱を加えると凝固する。

と頭に入ってきた。トウカはこれで豆腐が出来ないかとおもったのであった。

トウカは実験としてすりおろした白豆に水を加え布で絞ってその絞り汁をオタマに入れ沸騰した鍋にいれてみた。

「やっぱり固まった。」

本来の豆腐の作り方とは違うが少し柔らかめな豆腐が出来ていた。

(水の量が多かったかな?)

そうして幾つか豆腐を作ったのである。


残念ながらシラタキは無かったが肉以外の具材が揃ったのであった。

トウカは調味料のコーナーから一番醤油に近い調味料を探し砂糖、赤ワインを手にしたのであった。

赤ワインは醤油?の臭みをとるのに効果を発揮していた。

(牛丼に赤ワインを入れるし調度良かったかも。)


そのあと牛の様な獣『エアホーン』の肉を捌いていた。エアホーンは高原で飼育されている獣で肉は上質で柔らかくステーキとして良く食されているのであった。

トウカはエアホーンの肩と背中の間のいわゆるサーロインと言われる部位を取り出していた。トウカは丁寧に筋と血管を取り除くと薄くスライスしていったのであった。


しかし、問題があったそれは『卵』

この世界では卵を生で食べる習慣がなかった。生で出せばそれは王女達の命を狙ったと疑われてしまう。

そこでトウカはお菓子作りでも使われるメレンゲを作ったのであった。作ったメレンゲに溶いた黄身を混ぜ黄色いメレンゲを作ったのであった。


エリサがすき焼き作りを手伝ってくれたお陰でほぼ完成していた。

トウカが回りを見ると他の娘達も料理の盛り付けをしていた。

(あれ~?もしかして料理の選択間違えたかな?)

他の娘達の料理はまるでフランス料理の様に繊細に盛り付けられたいたのであった。


~食堂~

食堂ではシェリー、エリカ、カルラ、リーシャ、アンジュ達はトウカの話で盛り上がっていた。

「嘘っ!!あの人工肥料もトウカ様が作ったの!?」

「ええ、作物も栄養が必要と言うことでトウカ様が教えてくれたのよ。

原理は説明してくれたけど良くわからなかったわ。」

「クリスタ国の生活がかなり向上してるって御父様がおしゃっていたわ。」

「確かに、父上も関税を無くして貿易をしやすくした事を評価なさっていたぞ。

もしかしてそれも…。」

「ええ、トウカ様ですわ。」

シェリーはトウカ(兄)が誉められることが嬉しいのかつい口が軽くなっていた。

「……トウカ様って本当に何者なの?」

王女達はそんなことを考えていると扉の向こうから

「は~い、おまたせ夕食をお持ちしましたよ❤」

とマリカが勢いよく扉をあけたのだった。


クラスメイト達はそれぞれの席に料理を運んだのであった。

繊細に盛り付けられた料理はどれも美味しそうだった。

全員の料理が運ばれると後ろから大きな鍋を片手で軽々と持ったトウカがエリサと共に現れた。

トウカはその鍋も全員に届く様に中央におきエリサはみんなの席にメレンゲ状にした生卵を置いていったのであった。

全員が席につくと食事が始まったのだった。

しかし、食べ方のわからない王女達はトウカの料理に手をつけられずにいたのであった。

「みんなどうしました?食べないのですか?」

「トウカお姉様、これはお姉様がお作りになられたのですか?}

「そうですよ、これはすき焼きと言って家族で1つの鍋を食べる料理ですよ。

こうこのメレンゲにつけて…。」

パック!

(うん、うまい!米が欲しくなるな。)

「郷に入ればなんたらか。」

カルラはそう言うとすき焼きに手をつけた。

「お姉様が作った物なら…。」

エリカも負けじとすき焼きに手をつけた。

「私だって!!」

シェリーも手をつけた

「ええ、私も頂きますわ。」

リーシャも手をつけた。

「仲間外れはないでしょう~。」

アンジュもすき焼きに手をつけた


パクッ!!!!!

王女達は一斉にすき焼きを口に入れた。


シーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

静寂が食堂を支配していた。

(もしかして口に合わなかった?)


「「「「「おっ…。」」」」」」


「おっ?」


「「「「「「「「美味しいーーーー!!!!」」」」」」

王女達はまるで回りに人がいるのを忘れたかの様にがっついていた。

「なにこれ!!とまらない!」

「このふわふわが堪らないです~!}

「ヤバッ!これやばいって!!」

「パンとも良く合うわ。凄いわ本当に止まらないわ。」

「お肉も美味しいけどこの白いのプルプルしていて美味しいわ。」


王女達のそんな様子を見ていたクラスメイトが我先にとすき焼きに手をつけたのだった。


ヤバイわ!


美味しい!こんなの食べたことがないわ!!

等さまざまな声があがっていた。

マリカに到っては

「トウカちゃ~ん、私のところにお嫁にならない?」

と言ってきたのであった。


そしてすき焼きはあっという間になくなりその後、2回おかわりを作ったのであった。

(なんでこの量が入るんだ!?)

トウカは少女達の身体に消えていくすき焼きを見てそうおもうのであった。


その影でエリサは摘まみ食いも合わせて一番食べていたのはトウカは知らないのであった。

今回は戦闘なしのパートでした。次はそろそろトウカ達に忍び寄る悪意を書きたいと思います。読んでいただけたら幸いです。

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