46 合流
どうぞよろしくお願いします。
「放して下さい!
私にはダミアン兄様と話すことなんて、何もない!」
「まだ、そんなことを……。
いいか、ヴェステラントなんてアーノルドの友人でなきゃ何でもない男だ。
第1王子の陰に隠れて、『穏やか王子』ってなんだよ!
何の取りえもないってことだろ!
それを『ヴェス! ヴェス!』って慕って……。
王家の王子だからか!?
マディが小さい頃から、俺はずっと見てきた。
マディはシュベイク家の特徴がよく出てる。
シュベイク家にいた方が幸せに生きることができる。
俺は本当に小さい頃から……、マディのことが好きなんだ。
マディは『騎士令嬢』なんて言われて、周囲から変わり者と見られてるけども、俺は知ってる。
マディはかわいい。
マディが俺の姫様なんだ。
どうか、この手を取ってくれ!」
「やめて!
王子だけじゃない!
私はもう、誰も愛さない!
だって、私は誰かを愛しても、最後は捨てられるのでしょう!
そう、思いこませたのは、ダミアン兄様だ!
許さない!」
「マディ!!」
どこかから、ヴェステラントの声が聞こえる。
「え?
とうとう、空耳が聞こえ始めた!?」
マデラインは顔を歪ませると屋敷から顔を背け、ダミアンの手を振りほどこうとしたがダミアンは放さない。
「もう、触らないで!
私のことは放っておいて!!」
その時、屋敷の門が開いて、馬が3頭走り込んできた。
「マディ!」
「マデライン嬢!」
マデラインはびっくりした。
「え?
ヴェスと……、ライト先輩!?」
ダミアンが「何してる、侵入者だ!」と叫び、屋敷から武装した男達が5人飛び出してきた。
正規のシュベイク侯爵家騎士団ではない。
「ダミアン兄さん! やめて!!
ヴェスを傷つけないで!」
ヴェステラントとライトが馬から降りるとこちらに向かって来る。
その時、馬車が門から突っ込んできた。
「なんだ!!」
ダミアンが驚いて叫び、マデラインの手を離した。
馬車が停まり、中から、剣を手にしたロザリンドが現れる。
「ダミアン、マディは返してもらうわよ!」
「……ロザリンド叔母さん!?」
驚愕したダミアンはマデラインをもう一度捕まえようとして、いないことに気づいて周囲を見回す。
マデラインはダミアン達がヴェステラントとライトに気を取られている間に、素早く近づいてきたジェーンに守られて、すでに庭の方へと走り出していた。
「マディ! 行くな!」
ダミアンが叫ぶがマデラインは止まらない。
止まるわけがない。
その時、もう一台の大きな馬車が突っ込んできた。
中からはアーノルドとセレイラ、そして、立派な体格のリンデンバウム辺境伯爵が大きな長剣を手にのっそりと出てきた。
それだけで、ダミアンの前にいた5人の男達は、息を飲んで後退った。
読んで下さり、ありがとうございます。
書いてて、あれ、過剰戦力だなと思った。




