表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/50

45 予言と約束

どうぞよろしくお願いします。

 マデラインは6年振りのシスティナ大叔母様の屋敷のエントランスで何かの気配に怯えた。

 あの時はセレイラ姉様がいた。

 今、私ひとり。でも、私はもう10歳の少女ではない。


「行こうか、マディ」

 ダミアンが手を差し伸べて来る。

 ここで逃げても、逃げ切れないだろう。

 ちらりと夜が迫り暗くなりつつある空を見上げて、心まで暗く沈んでいきそうなのを懸命に浮上させようとする。

 マデラインの左手のブレスレットの緑の石がピカリと光った。


 ヴェス……。

 ああ、あの時、システィナ大叔母様にヴェスのことは忘れるように言われた。

 それで、約束してしまった。

 初恋は忘れて、王子と婚約など絶対にしないこと。

 もし、政略でもなんでも婚約しなくてはならなくなった時は、最初から何も期待せず、任務だと思って過ごし、婚約を解消するか、相手の有責で破棄とすること。


 あんな恐ろしい剣幕で叫んで迫るシスティナ大叔母様は初めてだった。

 いつも穏やかで、厳しさはあったけれど、優しかったから……。

 病で思考力が低下して、心残りだったことや未練があったこと、心の中のわだかまりを、最期ににぶちまける人もいると後から聞いたけれど……。


 システィナ大叔母様は、自分との婚約を解消した第1王子を許しながら、でも愛し続けていたから、最期は許せなかったのかもしれない。

 ダミアンにマデラインの初恋の君がヴェステラント第2王子で、王子もマデラインをかわいがっていると報告されて、自分とマデラインと重ねてしまったのかもしれない。


『いずれ、金の髪の美しい姫が現れて、私達は捨てられるっ!』


 怒りと悲しみと絶望と……。

 システィナ大叔母様の鬼気迫る表情が忘れられない。

 セレイラ姉様までとばっちりを受けてしまった。

 たぶん、あの時、セレイラ姉様はステファン第1王子と友達以上になりつつある時期だったのだろう。

 セレイラ姉様のことを思うと心が痛い。

 まるでシスティナ大叔母様の予言のようなエスメラルダ様がステファン第1王子の今の婚約者だからだ。

 

 ダミアンの思う通りになんかさせない。

 そんな気持ちがマデラインの心の中に生まれてきた。

 システィナ大叔母様の気持ちを、自分に都合よく利用し、穏やかな最期を狂気に引きずり込んだ。

 そして、マデラインとセレイラの心に大きな傷を残した。

 人生を変えてしまうほどの。


 それまでヴェスのことを本当に信じていた。

 初恋はこのまま育つものだと。

 あれ以来、ヴェスのことを信じたいのに、信じられない。

 ヴェスが悪いわけではないのに。

 信じても、いずれ捨てられる、という恐怖から、最初から好きではないと気持ちをすり替えた。

 

「マディ?

 もう夜になる。

 このまま、これからのことを語り明かそうか……。

 今頃、ヴェステラント殿下とジルティア嬢がきっと噂になっているね。

 マディが望んだことだろう?」


 ダミアンがそう言って、マデラインの右手を強引につかむと屋敷の中に入ろうとした。

 

読んで下さり、ありがとうございます。

あと5話で完結です!

もちろんハッピーエンドです!

最後までお付き合い頂けたらうれしいです!

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ