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42 婚約破棄か解消か

どうぞよろしくお願いします。

「かわいそうに……。

 こんなに傷ついて……。

 な、王子なんて、そんなものだよ」

「傷ついていませんっ!

 ちょっと気分が悪くなっただけです!

 それに私は自分から、ヴェステラント殿下とジルティアがそうなればいいなと思って……」

 マデラインはダミアンと向かい合って侯爵家の馬車の中でため息をついた。


「でも、実際にこの美しい空色の瞳でふたりの姿を見たら、心が痛んだってところかな」

「……違います!!

 ……ところで、この馬車はどこへ?」


 車窓の景色が見慣れた場所でないことに不信感を抱いたマデラインが少し不安そうに聞いた。

 マデラインはダミアンのことを警戒していた。

 最初は自分の気のせいかと思っていたが、システィナ大叔母様に、しかも死の間際の大叔母様にマデラインとヴェステラントのことを言いつけたダミアン。

 あの時、マデラインはまだ10歳で、ダミアンはもう18歳だった。

 セレイラとふたり、泣きながらシスティナ大叔母様を看取ることになり、ふたりは呪いのような約束をさせられてしまった。

 あの時はよくわからなかったが、ダミアンが何かを企んで、そのようなことをしたのは今ではわかっている。

 自分に対しての距離感が従兄ではなく、兄でもなく、少しおかしいことも、幼い時には違和感であったのが、今では気をつけないといけないとわかっていたのに。

 なのに、あの時、ヴェステラント殿下とジルティアのダンスシーンを見た時、思考力とか状況把握力とかそんなものがどこかへ消え失せ『ここから離れたい』という気持ちに突き動かされるように、従兄のダミアンの手を取ってしまった。

 今更ながら後悔していたマデラインだった。


「どこだと思う?」

 ダミアンのうれしそうな声と表情にイライラする。

 が、心を落ち着けて返事をするマデライン。

「質問に質問で返されるのはやめたほうがいいです。

 嫌われますよ」

「マディには嫌われたくないな。

 じゃあ、ヒント。

 マディが行ったことがある場所だよ」


 マデラインの目が見開かれた。

「……行ったことの?

 システィナ大叔母様の?

 ……私は家に、シュナイダー伯爵家に送って頂けるものと!!」


 ダミアンが笑う。

「マディはヴェステラント殿下と婚約破棄したいんだよね。

 私は喜んで協力できるよ。

 もう、マディも16歳になったしね」

「違います!

 婚約破棄ではなく、解消!!

 任務が無事に終わって、みんな笑顔での婚約解消です!

 私も、ヴェステラント殿下も、ジルティアも傷つかない、婚約解消を目指してるんです!

 変なことしないで!!」


 ダミアンが目を細めた。

「それだと……、マディにはまた婚約者が現れそうだから。

 そうだと、シュナイダー伯爵家は私とマディを結婚させてくれないだろ?」

「だから、誰とも結婚しないと言ってるじゃないですか!!

 えっ、この道?

 ルドン街?」


読んで下さり、ありがとうございます。


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