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41 シュベイク侯爵家

どうぞよろしくお願いします。

 シュベイク侯爵家の玄関をぶち破りそうな勢いでセレイラとアーノルドは訪問した。

「マディ! マディはいないか!?

 ダミアンはまだ帰ってきてないか!?」

 アーノルドの言葉にシュベイク侯爵家の執事は目を細め、語気に怒りを滲ませる。

「ロザリンド様の御子息とはいえ、侯爵家に対して、失礼な……」

「緊急事態よ!

 サイラス!

 お兄様はまだ戻っていない?」

「セレイラお嬢様!?」

 

 セレイラはぐるっとエントランスを見回した。

「隠しているって感じじゃないわね……」


「何事だ!!」

 

 階段の上から声がして、ダミアンとセレイラの父親であり、マデラインとアーノルドの伯父であるシュベイク侯爵がこちらを見下ろしていた。


「お父様!!

 ダミアンが!」

 セレイラの言葉に眉を顰めて言い返す侯爵。

「セレイラ?

 里帰りでも、連絡は入れろ!」

「里帰りじゃありません!!

 学院の卒業パーティーで、ダミアンがマディを連れ去ったのよ!!」

「……マディ?

 マデラインか、ロザリンドの娘の?

 ああ、ダミアンがご執心だったな。

 諦めろとは言ったんだが」

「もう!

 諦めろの言葉で済むとお思いですかっ!!

 マディは今はヴェステラント殿下の婚約者よ!

 何かあったら!!」

 

 シュベイク侯爵がゆっくりと階段を下りて来る。

「まあ……、身に掛かる火の粉は払わねばな。

 サイラス! 

 ダミアンが最近使っている屋敷はどこだ?」

 執事は「はっ!」と礼をしてから答えた。

「最近はギュスター通りのアパルトマンと他には……、ルドン街にある小屋敷でしょうか」

「ルドン街の?

 あそこは数年使ってないだろう?」

「……最近、ダミアン様が手を入れて、使用人も配置しております」


 セレイラの表情に怒りが浮かぶ。

「……ルドン街。

 システィナ大叔母様の……。

 本当に、あいつ!

 何考えてるのっ!!

 アーノルドっ!

 たぶん、ルドン街のほうよ!

 行くわよ!!」

 

 エントランスに下りてきたシュベイク侯爵が声を掛ける。

「セレイラ!」

「何ですかっ!」

「シュベイク侯爵家は関わりないことだ。

 私は協力したからな」

「……お兄様を切り捨てる気?」

「あいつが一存でしたことだろう。

 それにしても、いまだにマデラインがいいとはな……」


 アーノルドがシュベイク侯爵に詰め寄る。

「マディに何かあったら……、シュナイダー伯爵家はもちろん、王家からも……!」

 シュベイク侯爵はにっこり微笑んだ。

「王家からも、か。

 まあ、王子の婚約者を強奪して……、なんて、システィナへの供養のつもりかもな」

「やめて!

 システィナもマディも、私も……、全員違う人間だから。

 シュベイクの人間、王家の人間と、ひとくくりにされたら、たまったもんじゃないわ!!」


「セレイラ?

 これは何の?」

 リンデンバウム辺境伯爵が困ったようにセレイラに声を掛けた。


「おや、リンデンバウム辺境伯爵!!

 娘がお世話になっております」


 シュベイク侯爵のにこやかな挨拶を殺しそうな視線で見たセレイラは「行きましょう!」と夫であるリンデンバウム辺境伯爵とアーノルドに声を掛け、馬車に戻るために歩き出した。

 戸惑いながら夫である辺境伯爵が続き、アーノルドは一応礼をしてから、セレイラ達の後を追った。

読んで下さり、ありがとうございます。

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