40 シュナイダー伯爵家
どうぞよろしくお願いします。
「マディがダミアンに?」
シャルル・シュナイダー伯爵とロザリンド・シュナイダー伯爵夫人は屋敷に駆けつけてきたカイル・ホーソン子爵令息とライラベル・パルティ伯爵令嬢の報告を聞いて驚いた。
シャルルはすぐに飛び出して行こうとしてロザリンドに止められる。
「闇雲に探してもだめです。
シュベイクにはそれなりの対応をしなくては。
ジェイソン!
ジェーンからの連絡は?」
「はっ、マデラインお嬢様がダミアン様とシュベイク侯爵家の馬車で学院から出られたと。
次の報はまだありません」
ジェイソンと呼ばれた、夫人付きの侍従が報告する。
「では、次報があったらすぐに出られる準備を!」
「ジェーンにはなんと?」
「変わりはありません。
マデラインを守るように。彼女への指示はこれ以上、これ以下、ありません」
「ダミアン……。
私のマディに手を出してごらんなさい!
倍返ししてやるからっ!
ジェイソン!
私も出ます!
使える者は全て出るように!」
「はっ!」
ジェイソンの動きは機敏で、ただの侍従ではないことが察せられる。
「シュナイダー伯爵夫人?」
ライラベルが夫人のあまりの代わり様に驚いて、呟く。
「カイル、ライラベル嬢。
あなた方はここでシャルルと待っていなさい」
「えっ、俺も行きます!」
「シュベイクの騎士団は強いですよ」
「俺だって、強いです!」
ロザリンドはふっと微笑む。
「そうね。
マディよりは強い……。
でも、ここはライラベル嬢を守っていて下さい。
シュベイク侯爵家とシュナイダー伯爵家の戦いに敢えて巻き込まれることはない!」
カイルが目を丸くする。
「ロザリンド様、準備が整いました!」
ジェイソンがいつの間にか戻ってきて、ロザリンドに剣を差し出した。
ロザリンドは剣をつかんで、夫であるシャルルを見る。
「では、あなた。
行ってきますわ!
シュベイクの若造を懲らしめるために!」
「リンディ、頼んだよ……」
「お任せ下さい!
そのために実力のあるジェーンをマディに付けていたのです!
行くぞ!
ジェイソン!
馬車に乗って、知らせを待とう!」
「はいっ!」
ロザリンドとジェイソンが客間を出て行き、その後を武装した数人の男女が追って行くのが見えた。
客間のドアが閉まり、ライラベルは途方に暮れたような顔でカイルを見た。
「カイル?
どういう状況?」
「……えーと、マディのお母様は、伯爵夫人は元シュベイク侯爵家の方で……。
それなりに強いとはマディから聞いたことがあるけれど……」
2人はシャルルを見た。
「え?
こういう場合、お父様、ではなく?」
ライラベルのひとりごとのような問いかけに、シャルルが答えた。
「……まあ、ソファに座ろうか。
お茶を頼む、セバスチャン」
部屋にいる執事らしい初老の男性にシャルルは声を掛け、自分もソファに座る。
「えーと、まあ、安心してくれ。
マディに付けているジェーンは『王室の影』をしていたこともある凄腕の護衛だから。
今回のパーティーはメイドがついて行けなかったからね。
ジェーンともうひとり、付けていたはずだ」
「……ジェーンって、あの黒髪のメイド?」
ふたりはマディに髪飾りやブレスレットをつけていた黒髪のメイドを思い浮かべていた。
「『王家の影』……!?」とカイル。
「そんな強い護衛!?
しかも、メイド!?」
ライラベルは驚きの声を上げた。
読んで下さり、ありがとうございました。
ジェーン、とっても強いんです。
1話でアーノルドを部屋から追い出してましたでしょ?




