4 周囲の反応
どうぞよろしくお願いします。
「おい!
ヴェステラント第2王子殿下と婚約したって本当なのか!?」
三年生の教室にマデラインが入るなり、待ち構えていたカイル・ホーソン子爵令息が声を掛ける。
「カイル! おはよう!
本当です!」
マデラインの落ち着き払った様子にカイルは首を傾げる。
「……ん?
何か事情あり、なのか?」
「ま、守秘義務がありますから」
「……よくわかんないな。
婚約は本当なんだ!?
なら、恥じらったり、うれしそうにしても……。
じゃ、剣の授業はもう取れない?」
「なんでよ!?」
「だって、未来の王子妃が男に混ざって騎士の鍛錬なんて……。
どー考えても変だろが!?」
「何も言われてない!
だから、大丈夫だよ!」
「……そうかなぁ」
不安そうに返事をしたカイルは周囲が2人の話を興味津々に聞き耳を立てていることに気づき、声を潜めた。
「とりあえず、いつも通りに、俺もしてていいんだな?」
「ええ、私もいつも通り。カイルもいつも通り!」
マデラインが微笑んだ。
同級の学友達も本当なのかどうなのか確信が持てず、お祝いの言葉を掛けるのをためらい、マデラインを気にしていた。が、マデラインが全くいつも戻りの変わらぬ感じで、本当のことがはっきりするまで様子を見ることに決めた者が多いようだ。
そして、授業が進むたびに、周囲も特に気にしなくなってきていた。
教室の奥の方にいる女子生徒達以外は……。
「ジルティア様の方が王子妃に相応しいのに!」
悔しそうに両手をぎゅっと握って言っているのはロザリー・ロミナン子爵令嬢。
「そうですわ!
あんな男みたいな『騎士令嬢』!!
淑女教育もきちんと受けているか怪しいものだわ!」
怒った口調で話しているのはライラベル・パルティ伯爵令嬢だ。
ライラベルはさらに言葉を重ねる。
「そうよ!
ジルティア様は『銀の淑女』と呼ばれているけれど、『学院の聖女』と呼ばれるティアーノ公爵令嬢が卒業したら、ジルティア様が次の『学院の聖女』ですわ!」
ロザリーが大きい素振りで同意を示す。
「そうです!
その通りですわ!!」
ライラベルとロザリーの言葉にジルティア・ガスパール公爵令嬢は静かに微笑んだ。
銀の真っすぐな髪がさらさらっと揺れる。
「私なんて……。
エスメラルダ嬢は本当に人柄が素晴らしいもの。
マデライン嬢……。もう剣の授業はお取りにならないのかしら……」
「そりゃ、さすがに辞めるんじゃないですか!?」
ロザリーが鼻息荒く言った。
少し寂しそうな表情でジルティアは囁いた。
「そう……。本当のことがわかったら、私に教えてちょうだい」
ロザリーとライラベルは顔を見合わせ、頷く。
「「はい!!」」
読んで下さり、ありがとうございます。




