3 勘違い?
どうぞよろしくお願いします。
「マディが勘違いしている?」
ヴェステラントとアーノルドはお茶の席を離れ、木の陰で立ち話をしていた。
お茶のテーブルでは王が伯爵と、王妃がマデラインと楽しそうに話をしている。
「ええ、この婚約は、とりあえずの仕事、任務のようなものだと……」
「なんで!?」
「まず……。
急すぎますよ!
なんでこんな急に!
今まで何もなかったのに!!」
ヴェステラントが驚きの表情だ。
「え、アーニーにはずっと言ってたじゃないか!
私はマディが好きだと、将来結婚したいと!
私達ももう学院を卒業するし、そうするとなかなか会えなくなる。
でも、急って……。
誕生日はもちろん、ちょっとした手土産はこまめに手渡していたし、私がマディを特別に思っていたことは伝っていたはずだ。
学院でも君と一緒にマディをいつも迎えに行っていたじゃないか!」
「……マディは何とも思っていなかったようですよ。
俺の親友のひとりとしか」
ヴェステラントの顔が強張る。
「え、じゃあなんで婚約を了承して……」
アーノルドは肩をすくめた。
「ステファン第1王子の結婚ですよ。
当然ヴェスにもそういう話が持ち上がるだろうし、結婚式には他国からそういう目的で来る王女などもいるでしょう……。
それ避けのためのとりあえずの婚約者。
任務だと思ったようです」
「え? ……えっ!?
でも、マディは……、今、好きな人はいないってことだよね、だから私の婚約者に!?」
「ええ、我が妹ながら、そっちの方は全然成長が見られず……。
あ、ガスパール公爵令嬢がヴェスの本命だろうとも言ってました……」
「……ガスパール公爵令嬢!?
なんで!?」
「……学院の令嬢に流れている噂ってものもあるのでしょう。
俺も聞いたことがあります。
ガスパール公爵令嬢がヴェステラント殿下の婚約者の大本命だって」
「えーーー」
ヴェステラントが口を半開きにして驚いている。
「言ってよ!!」
「マディにヴェスの気持ちをばらすなって言ったのはヴェスだろ!!」
「違うよ!
その噂の方!
じゃあ、マディは……」
「敬愛するお兄様のような王子殿下のとりあえず仮の婚約者になり護衛する任務だと思っていますよ!
婚約を擬態しつつ、ガスパール公爵令嬢との仲を取りもとうとさえ考えているかも……」
「ちょっと!
どういうことだよ!」
「殿下が、うちの妹を脳筋な『騎士令嬢』にしちゃったからでしょうが!!」
「……だって、マディが剣に興味があるって……」
「おかげで妹は……。
自分の価値は護衛としての力量だけなんて思ってしまうように……」
「えっ……」
「そうですよ!
マディへのプレゼントだって、剣や防具や食べ物とかばっかじゃないか!
それのどこが、年頃の気になる令嬢へのアプローチですかっ!」
「だって、マディはそういうのが好きで、喜んでくれたからっ!」
「……俺には口止めしていたんですから、御自分で何とかして下さいよっ!」
ヴェステラントは口を引き結び、凛々しい顔で頷いた。
「わかった。
今から一生懸命私の気持ちを伝える!
本当の婚約だと理解してもらう!」
読んで下さり、ありがとうございます。
アーノルドはヴェステラントと同級生で親友でもあり、王子と臣下ってこともあり、話をしていると混じります。
ちょっと怒っているとわざと殿下呼びしているところがあります。




