2 あれ?
どうぞよろしくお願いします。
王城にシュナイダー伯爵、アーノルド、マデラインの3人で登城する。
王家と婚約の挨拶をするためだ。
マデラインは落ち着き払っているし、アーノルドは眉を寄せて何か考えている様子。
そんな息子と娘の様子を見てシュナイダー伯爵が言う。
「マディがずいぶん落ち着いていて……、驚いたな」
「お父様、これは大切な任務みたいなものではないですか!」
「ん……、任務?
まあ、王家とも約束だから……」
「そうです! 任務……」
「マディ!」
アーノルドが鋭く妹の名を呼んだ。
はっと口に手をやるマデライン。
そして意味ありげに目を細めてアーノルドに頷いて見せる。
アーノルドはため息をつき、首を振った。
ヴェステラント殿下とアーノルドが幼少よりの親友ということもあり、堅苦しい挨拶ではなく、庭のお茶の席に王と王妃と第2王子がいて、そこに案内される3人。
ヴェステラントは顔を輝かせ「マディ!」と立ち上がって声を掛けてきた。
マデラインはにっこりと微笑み、でも、特に急ぐこともなく、周囲をまるで観察する様に見回しながらこちらにやって来る。
ヴェステラントの表情に戸惑いが浮かんだ。
「シュナイダー伯爵、アーノルド、そしてマデライン嬢。
急に呼びつける形になり申し訳ない。
ヴェステラントに急き立てられてな。
長年思っていたマデライン嬢にやっと婚約を申し込むことができ、了承してもらえたと。
話を進めて良いのだね?」
国王陛下の言葉にシュナイダー伯爵は礼をして答える。
「急なことで驚きましたが……。
娘、マデラインが承知しましたので。
どうぞよろしくお願い致します」
アーノルドもマデラインもお辞儀をする。
王妃が「さあ、お掛けになって! 知らない仲ではありませんし!」と明るい声を掛ける。
3人は示された席に座る。
マデラインの右隣りはヴェステラントだ。
「マディ、私はうれしくて、昨夜、寝られなかったよ」
小さな声でマデラインに話し掛けるヴェステラント。
「え……、あ?
それは殿下のお身体が心配です。
今夜は温かくして早く寝て下さい」
「……マディ?」
ヴェステラントが戸惑っている。
「大丈夫です、
私、ちゃんとわかっているのでっ!
お任せ下さい!」
「……任せる? 何を?」
「それは……」
マデラインは青い目を輝かせて言いかけたが黙り、さらに小さな声で言った。
「人目の多いところでする話じゃありませんでした。
守秘義務、ですものね」
ヴェステラントがさらに戸惑ってマデラインの左隣に座るアーノルドを見た。
アーノルドは目を閉じて、空を仰いだ。
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