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37 卒業パーティーのダンス

どうぞよろしくお願いします。

 ダンスが始まろうとしているのに、マデラインの姿がない。

「まだ、戻っていない?」

 ロザリーが心配そうに言った。

「テラスの所で別れたの。

 少し庭を歩いたら戻ると言っていたんだけど」

 アーノルドが「庭を見てきます」とテラスの方へ向かう。

 少しすると、ダンスの準備を促す音楽が始まってしまった。


 ユージンが来ると「ヴェステラント殿下、とりあえずジルティアとダンスを」と言った。

「え? 

 マデラインがもうそろそろ来るはずだ」

「卒業パーティーで、卒業生であるヴェステラント殿下は注目されています。

 ファーストダンスを誰とも踊らなかったとネガティブな噂にもなるでしょう。

 今は……、ジルティアと仮のファーストダンスを!

 マデライン嬢が戻れば2曲続けて踊ればいい」

「仮って、ジルティア嬢にも失礼だろう!」

 

 話を静かに聞いていたジルティアが顔を上げた。

「ガスパール公爵家としては仮でもなんでも、ヴェステラント殿下の名に傷がつかなければ!

 喜んで仮のお相手、務めさせていただきますわ!」

 

 エスメラルダとステファン。

 ヴェステラントとマデライン。

 この二組が最初に揃って踊ることに注目が集まっている。

 ただ、マデラインとは婚約してまだ一週間半ぐらいしか経っていないこともあり、そこまで完全に周知はされていない。

 マデラインが体調を崩したとかの理由で、公爵令嬢ジルティアが代理を務めるということは十分考えられる。

 確かにマデラインが来たら、続けて踊って婚約者であると示せばいいのだ。


 ヴェステラントはジルティアの手を取ってエスコートした。


「あら?

 マデラインは!?」

 エスメラルダとステファンのそばに2人が行くと、驚かれる。

「マディがいなくて……」

 ヴェステラントが苦しそうに答えるとステファンが顔を曇らせた。

「マデラインが、いない?」


 ヴェステラントがパートナーをエスコートして踊りの輪に入ったことで、ダンスの音楽が始まってしまった。


 ヴェステラントの相手がマデラインではなく、ジルティアであることに気づいて、周囲がざわざわする。

 カイルやライラベルが顔を強張らせ、ロザリーはマデラインを探してキョロキョロ周囲を見回している。



 アーノルドはテラスへの階段を上がってくるダミアンとマデラインを見て顔を顰めた。

「マディ! どこにいたんだ!?」

「セレイラ姉様と話し込んじゃって!

 ヴェステラント殿下は!?」

 テラスからホールを見たマデラインは表情を失くした。

 

 ヴェステラントとジルティアがダンスをしていた。

 それはとてもお似合いで、美しく……。

 金の髪の貴公子と銀の髪の令嬢の……。


 マデラインがテラスで立ち止まる。

 アーノルドがマデラインの手を引いて中に入ろうとするが、マデラインが動かないので驚いて振り向く。

「マディ?」

「……この曲が終わるまで。

 あんなにお似合いの2人なんだもの……。

 邪魔しちゃ悪いわ」

「何言ってるんだ!?

 婚約者はマディなんだよ!?」

 アーノルドのその言葉にマデラインは首を振った。

 そして苦しそうな表情になる。

「マディ!?」


 ダミアンがアーノルドからマデラインの手を奪うと「マディは体調が優れないようだ。私が送るよ」と強引に抱えるようにテラスからエントランスの方へ……。


読んで下さり、ありがとうございます。

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