34 卒業パーティー ③
どうぞよろしくお願いします。
来賓がある程度出揃い、呼びかけがなくなったところでヴェステラント達はエスメラルダの所へ向かった。
「もう! もっと早く来てくれて良かったのに!!」
エスメラルダはわざと少し頬を膨らませて見せる。
「そうはいかないでしょう。
エスメラルダ嬢とステファン殿下の所にまず皆様、ご挨拶に来るんですから!」
アーノルドがそう言って苦笑する。
「エスメラルダ様!
御卒業おめでとうございます!」
ジルティアの挨拶が響き、マデラインやライラベルやロザリーが「「「おめでとうございます!」」」と後に続いた。
「ありがとう!
私、ヴェステラント殿下のことを恨みますわ!」
「えっ? なんで!?」
ヴェステラントが驚いている。
「……もっと早くマデラインと婚約していれば!!
もっと前からマデライン、ジルティア、ライラベル、ロザリーと知り合いになれましたのに!!」
ステファンが笑った。
「笑い事ではありませんわ!
なかなか……、あなたの婚約者と友達になろうという令嬢はいませんでしたのよ。
やっと、なんだか私に普通に接してくれる、友ができたというのに、私だけ卒業なんて……。
絶対、王城にみんなで来てね!」
「はい!
伺いますわ!」
ジルティアがエスメラルダの手を取り、ライラベルとロザリーも大きく頷いている。
「……マデライン?」
マデラインが何も言わないのでエスメラルダが声を掛けた。
「……はい、王城で!
みんなで伺います!」
マデラインが泣きそうな微笑みを浮かべて答えた。
「なんで、マデラインが泣きそうな……」
「だって、エスメラルダ様が、そんな……、悲しい思いをされているとは!」
「マデライン!
わざと強く言ってみただけだから!!
そうそう、マデライン、私にもそれなりに友はいたのです。
でも、ステファン殿下との婚約が発表されると……、周囲は私に関わって来なくなりました。
もし、私とステファン殿下が破局ということになれば、私と近しくない方が次の婚約者候補になりやすいですもんね。
でも、マデラインの周囲の友は違うわね。
マデラインがヴェステラントと婚約してから親しくなったお友達なのでしょう!
……大切にしなさいね!
そして、そこに私も入れて!」
「はい!! よろこんで!!」
ロザリーが感動した様子で叫んだ。
みんな顔を見合わせて大笑いした。
ジルティアがマデラインを見ると、笑っているのに涙が滲んでいて……。
それがジルティアには笑い過ぎた涙には見えなかった。
読んで下さり、ありがとうございます。




