30 婚約者の色
どうぞよろしくお願いします。
「マディ、これを受け取って欲しい!」
ヴェステラントがマデラインに箱を差し出す。
びっくりした顔のマデラインにヴェステラントが話を続ける。
「婚約の印に!
私の色の物を身につけて欲しい!」
「「キャー!!」」
ロザリーとライラベルが小さく叫んで抱き合っている。
エスメラルダは微笑み、ジルティアは両手を握り合わせて婚約者を見つめている。
「……ありがとうございます」
受け取って箱を開けたマデラインが息を飲んだ。
我慢できずに覗き込んだロザリーが叫んだ。
「素敵!!」
「ヴェステラント殿下の色ですわね!!」
ライラベルがうっとりとしたため息をつきながら言った。
「あ、ありがとうございます。
とてもきれい……。
私にはもったいない……」
戸惑っているマデラインにヴェステラントが言った。
「付けてみてくれるかい?」
その言葉にメイドのジェーンが出てきて、マデラインの左手首と髪にささっと付けてくれる。
「わっ、これ手甲みたいですね。
でも、こんなにきれいな手甲……。すごいな」
マデラインが左手首の金の輝きを見て目を見張る。
「髪飾りもとても素敵です。
茶色の髪に金と緑が……、とても映えますわ!」
ジルティアがうっとりした表情でマデラインを褒めた。
「ありがとうございます……」
マデラインが少し居心地が悪そうに照れている。
マデラインのドレスは、緑の石の色、つまりヴェステラントの瞳の色に合わせて、腰に明るい緑のリボンをつけ、胸元には金のビーズの装飾をつけることになった。
最後はエスメラルダ。
金のリボンをつけることになった。
「みんなで腰のリボンがお揃いですわね!!」
エスメラルダがにっこり微笑む。
このまま仕立て屋の職人と伯爵家の使用人がこの場でお直し作業をすることになった。
帰りまでには出来上がるだろう。
マデラインがライラベルのリボンと同色のチーフをカイルに、マデラインと同色のチーフをヴェステラントとアーノルドにと忘れずに注文した。
「私はいいよ!」
アーノルドが言う。
「付けなくてもいいですけど……、できたら付けて欲しい……。
はっ! お目当ての方がいて、もう用意しているとかっ!?」
「いないよ!
マディ、変に先走るな!
ありがとうっ!」
アーノルドの慌てたような声が響いて、さらにみんなの笑い声が広がった。
読んで下さり、ありがとうございます。




