23 騎士について
どうぞよろしくお願いします。
「悪かったな。
蹴ったり、最後にあんなこと言ったりしてさ」
ヴェステラント越しにマデラインに話し掛けるライト。
「……いえ、私を特別扱いしないでくれて……、あ、でも、手加減はしてましたよね?」
「それはわかったんだ」
ライトが笑う。
「はい。
ライト先輩はどこの騎士団へ?」
「俺は第三に行く。
戦場から地方の治安、災害まで、何でも屋だな。
でも、誰かが素早くやらなきゃいけない、仕事だ」
「そうだな……。
だからの言葉か……」
ヴェステラントが真ん中で呟いた。
ライトがゆっくりと言葉を続ける。
「……騎士と言ってもいろいろある。
王侯貴族を護衛する華やかな仕事から、裏で民の生活を支える仕事、戦いとなれば戦場で戦う……、人と殺し合いをする仕事。
特に戦場や厳しい現場には女性が出るべきではないと思っている。
が、実力が伴わなければ第一へは行けないし。
女性騎士団では物足りないと思うマデライン嬢のような者もいるだろうし、これからも出てくるだろう。
でも、そういう力のある女性騎士が、辺境や第三に来たら……、周囲も本人も不幸になるのではと俺は思う」
マデラインがきゅっと唇を引き結んでから、軽くため息をついて言った。
「……わかります。
私はカイルと相棒だと、同等だと思っていたところがあります。
強さ的にはカイルの方が上ですけど。
お互いの気持ちとして、その普通の男同士のペアと同じだと……。
でも、私がライト先輩に蹴られた時、カイルは、自分の身を考えずに飛びこんで来て……。
私のせいだと思いました。
カイルは私をお互い様という言葉で語れる相棒だと認めてくれている。
けれども心の底では、守るべき者だと……。それは私が女性だから……」
「ああ……、そうだな。
確かに、現場であれをやったら、カイルは死んでるな。
でも、俺はカイルの気持ちもわかるよ。
あの場合はマデライン嬢が男でも、カイルは飛び込んできたと思うが……。
カイルの方が強いんだから!」
ライトが笑って言って、ヴェステラントの肩をグイっと担ぎ直した。
エスメラルダは帰りの馬車の中でステファンに微笑んだ。
「お疲れ様でした!
楽しそうでしたね!」
ステファンも微笑む。
「エスメラルダも楽しそうだったな」
「はい!
マデラインのおかげでお友達が増えましたわ!
それから、王城でのお茶会にそのお友達もお招きすることになりましてよ」
剣の授業の後、エスメラルダと3年女子+カイルによるプチお茶会が食堂テラスで開かれたのだ。
ヴェステラントとアーノルドは先に帰った。
本当はマデラインのことが気になっているのに、もう体力的に無理だった。
そこでまた王子妃教育の話が出て、マデラインはジルティアの手を掴んで言った。
「ジルティア様も一緒にどうですか!?」
「えっ? 私は……」
「エスメラルダ様!
王室のマナー教育みたいなものですよね!?」
「え……、まあ、ダンスとかマナーの部分はお友達がいた方が楽しいかもね」
「ですよね!」
ライラベルも言った。
「あの……、エスメラルダ様……、私、将来、王城で仕事に就きたいと考えていまして!」
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