21 驚き
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ヴェステラントが歯を食いしばってステファンの攻撃をしのぎながら、チャンスが来るのを待っているようだ。
そのチャンスとは……。
ステファンが剣を振る速さが少し遅くなったと感じた時、剣を握り直そうとした。
その一瞬、ヴェステラントは自分の剣をしならせ、ステファンの剣を巻き込んで跳ね上げた。
ステファンが慌てて手を上げて剣を強く握ったところにヴェステラントが肩から体当たりした。
「「えっ!!」」
マデラインとカイルは驚いた。
今までそのような荒っぽいことをするヴェステラントを見たことがない。
周囲で試合を見ている学院生達も驚いている。
ステファンは胸を強く押されて2、3歩下がり「なかなかやるな!」と笑った。
そこからヴェステラントの猛攻が始まった。
受けるステファンの表情がだんだん真剣になっていく。
アーノルドとマックスの方もお互い体力を使い切ったという感じで、元々マックスよりも細いアーノルドの方がもう何とか構えているという感じだ。
いつものアーノルドなら、降参しているところだろう。
「お前、なかなか強いな……。
あの『穏やか王子』も……。
あっちが本性か!?」
マックスが感心したように言った。
アーノルドが頷く。
「……なんだ?
身分が高いから、力は必要ないと、今まで本気を出さなかった?」
マックスが顔を顰める。
「いや……、ヴェス……テラント王子には、考えがあって!」
「考えねぇ……。
まあ、身分があると、逆に気を遣っちまうな」
そしてステファンを見る。
「逆にあれぐらい『完璧王子』でいてくれると、敵わないとすっきりするんだけどな。
あー、すっげえ第1王子の下の第2王子ってのも……。
それに付き合うのも大変だな」
アーノルドはマックスの言葉に笑ってしまった。
その時、「やめ!」と試合時間が終わったことを伝えられ、アーノルドは座りこんだ。
マックスが手を差し出し、アーノルドはその手を握り、ふたりはニヤリと笑った。
「アーノルド、思っていたより強かった」
「それは、ありがとう」
ヴェステラントは肩で大きく息をついて、動きを止めた。
「……とりあえず、負けなかった……」
そう言って天を仰いで……、崩れ落ちた。
「!? おいっ!! ヴェス!!」
ステファンが慌ててヴェステラントの頭を持ち上げるように抱き抱えた。
アーノルドも駆け寄ろうとするが足が……。
マックスが肩を貸してくれている。
マデラインは観客席の仕切りを飛び越えて地面に下りると走って行く。
その後ろ姿を見ながらエスメラルダ、ジルティア、ライラベル、ロザリーは慌てた。
「マデライン、待って!」
「ええっ、ここを飛び越えてって……」
「何も言わずに行っちゃったわ!」
「本当に婚約者なのね……」
ライラベルがぽかんと見送っているカイルに言った。
「カイル!! 早く追って!!」
「はいっ!」
カイルも仕切りを飛び越え、マデラインを追いかけて行った。
「……カイル?」
ロザリーが『ん?』という顔でライラベルを見る。
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