14 格上との試合
どうぞよろしくお願いします。
試合場ではマデラインとカイル、4年のクライヴとサーザが向かい合って木剣を構えたところだった。
「始めっ!」
先生の号令!
クライヴとサーザ。4年生ながら今年4位につけた、いわば4年最強ペアだ。1~3位が5年生だったので、実質来年度の1位と言ってもいいだろう。
そのスタイルはクライヴが力技で押してきて、サーザが指示を出しながら、こちらの隙をついてくるというものだ。
誰もがカイルがクライヴに立ち向かうと思っていたのに、逆の展開になり驚きの声が上がる。
クライヴとサーザも驚いた。
サーザの方はすぐに冷静さを取り戻し、カイルと対峙した。
「ほう」
ステファンが面白そうな表情を浮かべ、マデライン達の試合に注目している。
ヴェステラントとアーノルドはちょうど4年のまあまあ強いペアを試合開始早々に危なげなく倒したところだった。
4年のクライヴとサーザペアとの対戦と聞いて、アーノルドが「きつそうだな」と呟いた。
自分達も対戦したことがあるが、苦戦して負けたこともある。
ヴェステラントは試合を見にもう走り出していた。
マデラインはクライヴと対峙している。
「俺の方に女が来るとか舐めてるのか!?」
クライヴはニヤリと笑った。
「クライヴ! 油断するな!
そいつはなかなかやる!」
サーザの注意が飛んでくる。
「よそ見している場合じゃないだろ!」というカイルの声とともに激しい打ち込みが始まり、サーザは防ぎながらクライヴの方を心配そうに見ようとして剣を弾かれそうになり、慌てて剣を握り直して地面に転がって逃げた。
立ち上がりながら「こいつっ!」とサーザは呟き、再びクライヴとマデラインの方を見る。
パッと見、クライヴの方が強そうに見える。
マデラインの早く丁寧な体捌きや剣の振りを知っているサーザとしては『大振りして隙を見せるな』と注意したいのだが、サーザ自身はカイルに狙われていて、クライヴに近寄れず、長い声掛けができない。
クライヴが大振りでマデラインに打ち込み、マデラインは打ち合いをせずに躱している。
剣を躱すマデラインの動きはクライヴの剣の動きを完全に読んでいるようだ。
舞を舞っているかのように美しく、バランスを崩したり隙を見せることはない。ただ、ずっとマデラインの方が避け続けて、逃げ回っているようには見える。
クライヴもそう思っているのが表情からわかる。
美しい獲物を追いつめているという高揚感からか、マデラインしか見えていない。
マデラインはただ避けているだけでなく、サーザとカイルから正確に一定の距離を取るように、場外にならないように逃げている。
導く場所を決め、誘導しているのはマデラインのほう。
全体を見通しているのはマデライン。
追い詰めているつもりなのはクライヴだけだ。
「クライヴ、落ち着け!!」
サーザは叫んだが、もうクライヴの耳には届いていないようだ。
マデラインの足元を見ながら、動きの先を読んでいるつもりで執拗に攻撃を重ねては全部ひらりと避けられている。
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