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ばあちゃんの遺品が聖剣だった!  作者: 渓夏 酔月


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52.恋する樽彦

 第一神官家臣団の中でも知性派の重臣と言われる、真喜野(まきの)利姫(としひめ)が庄長を務める(くれない)ノ里の庄館では、利姫の息子、樽彦(たるひこ)が、家臣の少女に絵を描かせていた。


「そうそう。ああ、雪様はもっと目はつり上がってきつい感じ。あんず、つるぺたのお前と違って胸はもっと大きかった。勝姫様はもっとふんぞり返って胸がはみ出してた」


「こ、こんな感じでよろしいでしょうか~? 樽彦様」


 杏と言われた少女の家臣が、描いた絵を樽彦に見せる。


「良い~、実に良い! じゃあこの下に、縄でぐるぐる巻きにされたボキを描いて!」


「こうですか~?」


「それで吹き出しで、雪様のセリフを書いて! 『このクソ虫野郎! わたしの足をお舐め!』って」


「ううう、樽彦様。ちょっとキモ過ぎです~」


「うるさい! このぺったんこ女! 出るとこ出てない女に人権はない!」


「樽彦様、酷過ぎです~!」


 セリフを書き終えた杏が後ずさると、畳の上に置いてあった縄に触れてしまった。


「てめえ! くそガキ! ボキの家宝に触るんじゃねえ! それは勝姫様が御自らボキをきつく緊縛していただいたボキの家宝なのだ! つるぺたのガキが触るんじゃねえ! つるぺたが伝染ったらどうするんだ!」


「ひ~ん、すいません~」


 そう言って、部屋を出て行こうとした杏を樽彦が止めた。


「ちょっと待て、最後にこの縄でボキを縛ってくれ」


 そう言うと、樽彦は服を脱いでパンツ姿になり自ら体に縄をぐるぐる巻きにした。


「さあ、杏。自分では縛れないから最後にきつく縛ってくれ」


「嫌です~! 出来ません~!」


「頼む! お給金上げてやるから!」


「ホントですか~? ならやります~! エイッ!」


「あん! もっと」


「こうですか? エイッ!」


「あん! もっときつく!」


「エイッ! エイッ!」


「あん! あん!」


「エイッ! エイッ! エイッ! エイッ!」


「あん! あん! あん! あん!」


 杏にきつく縛られた樽彦は、恍惚とした表情をしてよだれを垂らしていた。


 縄でぐるぐる巻きにされて身動きの取れない樽彦に、杏が言った。


「そう言えば~、樽彦様って豊穣祭をぶち壊すって言っていたじゃないですか~」


「あ、あれか。やっぱり勝姫様が悲しむからやめようかな」


 杏は急にムッとして言った。


「勝姫様を自分のものにしなくていいんですか~」


「杏、恋する男ってものはな、憧れは遠くで光っていて欲しいものなんだ」


 その言葉を聞いてイラっときた杏は、樽彦を蹴り上げて言った。


「裸で縄に縛られながら、偉そうなこと言ってるんじゃないですよ~。勝姫様を自分のものにしたくないんですか~」


「そりゃしたいけど……杏、とりあえずもう一回今のやって!」


「何をですか~?」


「け、蹴ってくれ!」


「ちゃんとお願いしてくれなきゃ嫌です~」


「杏様! 蹴ってください!」


「豊穣祭をぶち壊してくれますか~?」


「壊す、ぶち壊すから蹴って!」


「エイッ!」


「あん!」


「尊姫様が盛大にやろうと計画している豊穣祭、それをぶち壊せば勝姫様が助けに来ます~。その時に尊姫様が山賊と手を結んでいるぞって公表してくれますか~」


「もっと! もっと!」


「ちゃんと答えろ変態! エイッ!」


「あん!」


「公表するか!」


「公表します! するから蹴って!」


「エイッ! エイッ! エイッ!」


「あん! あん! あん!」


 樽彦を蹴り上げながら杏は思った。


(樽彦様から尊姫様と勝姫様の違法行為を公表させれば、繭ノ庄はお取りつぶしになることは必定です~。姫様と言われている高貴な人が、没落して落ちぶれていく様って見ていて楽しいのよね~。落ちぶれてから優しい言葉をかけてみようかな~。泣いて喜んでくれちゃったりして! ああ楽しい~! ぞくぞくしちゃう!)




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