第6話 さらっと
アルティオム「もう食えねえ」
マルクス「ああ。昼といい今日は食いすぎた」
トゥエン「無念にゃ」
ミッシェル「あんた達あんなに食べたのにほんとよく食うわね。アルティオムみたいになっても知らないわよ」
アルティオム「だから俺は魔法のためだから!太りたくて太ってないんだぞ」
ミッシェル「難儀な魔法ねえ」
アルティオム「こう見えてもこの脂肪の中には筋肉が眠ってるんだから」
ミッシェル「寝てたらダメでしょ」
プレンツ「トゥエンさんは苦手なものとかないんですか?」
トゥエン「しゅわしゅわしたものとか美味しくないものは嫌いだにゃ」
マルクス「美味しくないものは誰だって好きではないけど、その好みを聞いてるんだよ」
トゥエン「ん~あ、俺が猫だからそういう意味で聞いてるのか?別になんでも食うよ。ま、同じものを毎日だと飽きるから困る。あと酒飲むよりは飯を食いたい」
ロンメル「トゥエンって酔ってもそんなに変わらないな。猫はみんなそうなのか?」
トゥエン「だから猫であって猫ではないから人それぞれにゃ。サッフィだってなんでも食べてるだろ」
サッフィ「確かに〜。あ、でもボクここに来る前まではずっと海にいたから食べ物を焼いたりとかはしてなかったよ。だから最初はびっくりしたかな~」
トゥエン「みんなそれぞれというわけにゃ」
ロンメル「トゥエンにまとめられるのは変な気分だ」
トゥエン「どういう意味にゃ」
ラウラ「んん~。なかなか美味ですわぁ〜」
セバスチャン「ええ。どの料理も味付けが凝っていますね」
プレンツ「ラウラさんはリーホワさんみたいにお付きの料理人がいたりしたんですか?」
セバスチャン「ええ。いましたとも。しかしそれでもラウラお嬢様は毒を盛られてしまいまして」
プレンツ「ええ!大丈夫だったんですか?」
ラウラ「一晩腹痛に苦しみましたがそれだけでしたわ」
セバスチャン「お嬢様はお身体が幼少期からお腹が強かったのでクジラでもひっくり返る毒でも死ななかったのです」
プレンツ「体が丈夫の域を越しているような」
セバスチャン「それからは見習いの料理人の料理を主に召し上がっていました」
ラウラ「そうだったんですの!?」
セバスチャン「嘘にございます」
ラウラ「一瞬信じちゃったじゃないの!」
セバスチャン「お嬢様が国を離れる二年ほど前からの期間のみです」
ラウラ「あながち噓ではないじゃありませんの!」
セバスチャン「なんでも美味しく召し上がられるのがゴリラお嬢様の良いところでございます」
ラウラ「誰がゴリラお嬢様ですの!ラウラお嬢様ですわ!!」
カミラ「買っちゃいました……。オパールのブレスレット!」
メリチェル「あらいいじゃない」
ザーラ「ふむ。悪くないのぉ」
カミラ「決断までに4時間かかったの。イビポランマランは鉱石が有名だから他の国ではありえないほど値段で宝石が私を待ってるのよ!」
ペリーヌ「わぁ。とっても綺麗ですね!」
カミラ「ペリーヌはあんまり興味ない?」
ペリーヌ「そんなことはないですけど、ピアスとかはなんか怖いなって。でもそういう腕輪ならいいかもしれないです」
ザーラ「穴を開けずともただ挟むものもあったりするが」
ペリーヌ「前やってみたんですけど、どうしても違和感があって」
ザーラ「なら妾が開けてやってもよいぞ。痛くもない。一瞬じゃ」
ペリーヌ「ええ!」
メリチェル「あらいいじゃない。お言葉に甘えたら?」
カミラ「でも亜人のこの耳って確かに私たちと違って痛いのかも」
ペリーヌ「ま、また心の準備ができたらお願いします……」
ザーラ「遠慮せずともよいぞ」
ペリーヌ「き、気に入ったピアスが見つかったら考えます!」
フレン「プレンツ。俺はあと一週間は食わなくても生きていけそうだ」
プレンツ「それ昼間も言ってたし、また食べてるよ」
フレン「そういうお前だって」
プレンツ「食べちゃってるねぇ」
ステラッチェ「なんだいそのカエルみたいなお腹は。」
フレン「今夜産まれるかもしれません」
ステラッチェ「何を産む気だい。さっさとトイレに行ってくるんだ」
フレン「この国のご飯が美味しくてつい」
ステラッチェ「全く。お腹壊さないようにね。ここは海が近いし、魚が新鮮だから臭みがないし、あんまり見かけないような種類が多いね。焼き魚も揚げたものもどれもおいしい。リマクでも魚とかが美味しかったね」
ミッケ「お褒めに預り光栄です」
プレンツ「ミッケさん本当になんでも作れますよね。どこかで修業してたんですか?」
ミッケ「ああ。もともとはいいとこのシェフをやってたんだが、俺がグランドシェフやってた頃に部下に店の金持ってかれてな」
プレンツ「ええ……」
ミッケ「破産して。汚名を被せられ、奥さんと娘にも捨てられて、団長に拾ってもらったんだよ」
プレンツ「け、結構壮絶な人生を送られてたんですね」
ミッケ「生きてれば色々あるもんよ。でもこうしていろんな国に行きながら見たことのない食材と料理が勉強できて俺は楽しいよ。みんな美味い美味いって言って食ってくれるしね」
キエリス「ほんとこの風貌からは想像つかない味だよね~」
ステラッチェ「あったときは髭剃ってたよね」
キエリス「今も剃ればいいじゃん」
ミッケ「茶目っ気を出してるの」
ステラッチェ「いい歳して茶目っ気出したって仕方がないよ」
プレンツ「(辛辣だ)」
ミッケ「さっきから当たりが強いな!団長ちゃんだっていい歳なんじゃないの」
ステラッチェ「乙女に年齢の話をするな」
ミッケ「これは失礼しました」
キエリス「サニィも相変わらずみたいだしねー。あの神様、落ち着くことってあるの?」
ステラッチェ「私に聞かれてもねぇ」
プレンツ「だいぶはっちゃけた神様でしたね。神様っていうともっとこう聡明で落ち着いて威厳のある感じなのかと思ってました」
ステラッチェ「サニィがぶっちぎりで威厳とは無縁の神だね。ま、私だってないけどね」
ミッケ「団長ちゃんは団長ちゃんでまた独特な感じが出ていると思うよ」
ステラッチェ「ええー。なんかたまにそういうこといわれるんだよな~。絶対気のせいだよ」
ミッケ「まがいなりというか半分はそうなんだし、そろそろそういうオーラが出てきてもいいんじゃない?」
キエリス「えー。団長が神様神様してるのはなんかいやー」
なんだかまるでステラッチェ団長が神様みたいなことをみんな言っているな。
プレンツ「そうですよ。いくら力が強いからって神様扱いは違うんじゃないですか?」
キエリス「扱いも何も本当なんだからねぇ」
ステラッチェ「まぁねぇ」
プレンツ「あはは。またまた。」
オレンジジュースを口に運ぶ。酸っぱい中にも甘さがあって美味しい。ご飯はもう食べられない。しかし食べるというのは人間にとって一番健全な娯楽だなぁ。このカエルみたいなお腹が明日になっても戻らなかったら困るけど。
ん?周りが静かになった。
なにやらミッケさんが耳打ちして小言で団長に話している。
ミッケ「ちょっとちょっと団長ちゃんプレンツ君に言ってなかったの?」
ステラッチェ「ええ!だってそんなの周知の事実だし、別にひけらかしたりもしてないけど。」
プレンツ「何をコソコソ言ってるんです?まさか、本物の神様だっていうんじゃないでしょうね」
ミッケ「プレンツ君。団長ちゃんね。一応神様なんだよ。一応。」
プレンツ「え?」
ステラッチェ「は、半分だけ神様の半神さんでーす。なんて」
頭を掻きながら串に刺さったチーズを口に運ぶ団長。
薄いハムとチーズが何層にも重なったおつまみ。さっき食べたけどなかなか美味しかった。
ってそんなことは後でいい!
プレンツ「え、噓ですよね。」
ステラッチェ「……私の左目に模様が浮かんでるのが見えるでしょ?」
プレンツ「はい。花みたいな模様ですよね。」
ステラッチェ「うん。これって神様にしか現れない模様なんだって。私の場合は片目だけだから半神~みたいな」
プレンツ「がががが」
キエリス「壊れた機械みたいな音出てるけど」
すごい力は持ってると思っていたけど、まさかそんな
プレンツ「だったら!ザーラさんは両目に花模様があるじゃないですか!別に神様じゃなくたってあの模様は浮かんだりするんじゃないですか!?」
ステラッチェ「ザーラは正真正銘の女神様だから。そっかそれも知らなかったか。」
ザーラさんのほうを見た。
「ぶい」
ピースしてる。
ティラク「ってことはニニギ師匠のことも知らなかったのか。ま、入って数か月だしな。俺が師匠の足元を目指しているのがわかったか?」
プレンツ「ニニギさんもなんですか?」
ステラッチェ「うん。」
なんか可愛い声で返事をした団長。
プレンツ「あの酒に酔うと脱ぎだして何故か女装をし始めるようなひとが?」
ステラッチェ「うん。」
今度は少しトーンが下がった。
プレンツ「僕は今までなんて不敬を」
ザーラ「そうじゃぞ。とく畏れ敬うがよい。」
ステラッチェ「……ザーラはあんな感じでいうけど別に私もニニギも偉そうにするつもりもないし、今まで通り接してね。」
プレンツ「わかりました。ステラッチェ団長様」
ステラッチェ「全然わかってないじゃないか。」




