第18話 まだ見ぬ
ザーラの討伐隊参加は諦めよう。
となれば医療班として最後の増員を決めねばならない。ガルニエの地下に降りた。
地下室には倉庫や金庫室などある。そして、今回は医務室兼研究室の番人、アメデオに会いに来た。
アメデオは元々研究者だった。医学にも精通している。
医務室、というか研究室に閉じこもってるから私も最近は顔を見てなかった気がする。
「アメデオー?いるかい?」
少し汚れた白衣。白くなった髪や髭はボーボー。細くて色白のじいさんが現れた。
「ああ、なんだ。」
「話があるんだ。」
「そうだろうな。で?」
「実はね。ここから南東に向かった山に岩の悪魔ってのがいるみたいでね。」
「おう」
「そいつを倒しにいくから着いてきて欲しい」
「わかった」
「はや!」
「なんだ悩んで欲しかったのか?」
「いやそんなことないけど。了承してくれるならそれでいいよ。でももっと聞かなくていいの?」
「お前が俺を必要としてるなら力を貸す。それだけだ。それにお前が言うのならそれ相応の理由があるのだろう?」
「理由というか、ちょっと相手が厄介そうだから着いてきて欲しいなと思ってね」
「わかった。同行者は?」
話が早くて助かるけど、単に煙たがってるだけなんじゃないかな。まぁいいや。力にはなってくれるなら安心した。
「リマク国の討伐隊とうちの団からは私とニニギとプレンツだよ」
「プレンツ?誰だそれは」
「ええ!知らないの!?」
「知らん。」
「アメデオ、もしかして全然上に上がってない?」
「飯を取りには行くぞ。あと風呂も入るからな。お前達との活動の時間帯が違うから会わないんだろう。だからそのプレンツというのは知らん」
プレンツが来てからもう1ヶ月以上経つけど、まだ知らないとは……。
「プレンツはサンリスタニアで仲間になった男の子だよ」
「いくつだ?」
「確か、12歳?だっけ?」
「まだ子供じゃないか。なんでそいつを」
「プレンツは魔法を消す魔法を使えるからその岩の悪魔に有効なんじゃないかってね」
想い人のことは避けた。なんとなく面倒くさそうだから。話が脱線しても困るし。
「魔法を消す魔法?なんだそれは?火を水で消すとかか?」
「違うよ。魔法干渉そのものを打ち消す感じかな。私にも見えないんだ。」
「お前が見えない魔法?なんだそれは」
「さぁ?あ、そうだ。プレンツはアクイラ帝国の出身だよ。」
アメデオの目の色が変わった。
「そいつを今呼べるか?」
「いいけど。どうしたの?」
「プレンツとやら、もしかしたらお前と同じかもしれん」
「それってつまり——」
「とにかく連れてこい。会ってみないとわからん」
まがいなりにも団の医者(笑)なんだからうちの団員のことは知っておいて欲しいところだ。
そして私を顎で使う。いいんだけどね!
さてさて、さっき盛大にからかっちゃったプレンツくんはどこにいるのかな〜。
広場にはいない。部屋かな?舞台とか?みんなもうハケてると思うけど。
「あ、いた」
「うわあ!なんですか!?」
舞台の真ん中で座って観客席を見ていたプレンツ。
「なぁに?もの思いに耽てるの?」
「そんなんじゃないですよ。……まぁそうなんですかね」
少しだけ大人になると色々言いたくなったりするけど我慢しておこう。自分で悩むことも大切だからね。
「そっか。実はアメデオがプレンツに会いたいって言っててね」
「アメデオ?」
「やっぱり知らなかったか……。地下に医務室があるんだけどね。そこに一応医者がいるんだ。それがアメデオ」
「へぇ。ここ医者がいたんですか」
「最近はおっきな怪我はないからずっと研究室に閉じこもってるんだ」
「研究室?」
そうかそれも知らないか。いちいち答えるより会わせちゃうのが早い。アメデオが何やってるのかは正直よくわかってないし。
「とにかく着いてきて。紹介するよ。プレンツと相性いいかはわからないけどね」




