第20話 星の夢
サンリスタニア王国を離れて数ヶ月が経ったある日、手紙が届いた。日が経つにつれてその数は増えていった。
送り主はサンリスタニア王国民からだった。
観劇をしてくれた人からの応援と感謝の手紙だった。
子供や老夫婦、国の役人など年齢層性別様々な人からの手紙だった。
私達が旅立って半年後、イエローストーンの火山は噴火したと聞いた。
サンリスタニアや周辺国との連絡が取れないという。噂では大陸を超えて火山灰が積もった、遠い海に灰や軽石らしきものが漂っていると。
部屋の窓に腰掛けながら星を見ていた。
あれで良かったのだろうか。
私達ならあの人達を助けられたのではないか?
未だに考えてしまう。
だがすでに答えが出ているように、私たちにはそんな裁量はない。
そんな力はない。
あの国王は誇り高い選択をした。気高い人たちだった。
全てを分かった上であの国はあの火山と共にすることを決めたのだ。
それでも。
それでも考えてしまう。
もう見ることができないあの人達の笑顔を、夢を見せた子供達の未来を。
最期の夜、あの子供たちは何を思ったのだろうか。
噴火による轟音や火砕流に襲われながら。
私達が見せたものはあの子達にとって———
魔法が使えたって、半神だからって私にできることといえばただ煌めく魔法を見せることだけ。
私には何の力もない
それでも観劇に来てくれたあのひと時だけは幸せに思ってくれたかな。夢を見てくれたかな。
夜空を掬う様に手を伸ばす。
きっとあの笑顔は星になって今度は私たちを照らしてくれるだろう。
冷たい夜風が濡れた頬を撫でた。
何もできない私達だけど、それでも私達は———
あれからもサンリスタニアから手紙が届いたがある日を境にぴたりと来なくなった。




