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第1話 波打つ虹の行方
足元で花が咲いていた。
風に揺れる一輪の花は朝露できらりと光っていた。
ここはどこだろう。
吹き上がる風は丘に広がる草原を靡かせ波打っていた。
少し先に花畑が見える。
誰かがうずくまっているみたい。
こちらに気付き、立ち上がって私に手を振っている。
どうやら背の高い女性のようだ。
彼女の元へ向かい私は歩いた。
進むにつれて景色が滲んでいった。
目を擦ると手の甲は涙で濡れていた。
どうして涙が止まらないのだろう。
涙を拭いながらゆっくり彼女の元へと歩いていく。
背の高い女性の目の前まで来ると彼女は私を抱きしめた。
柔らかい風は私の耳を、頬を、髪をくすぐり、花たちの匂いをどこかへ運んで行った。
声を出して泣くなんていつ以来だろう。
駄々をこねる子供をあやすようにただ抱きしめられていた。
ああ、あれは朝露じゃなくて私の涙だ。
ここにきてから私はずっと泣いている。
「もう寂しくないよ。ありがとう。」
そう彼女に話すと肩をまるで綿毛潰さないように掴み微笑んだ。
今までの歩みはきっとあなたと出会うため。
これまでの決意はきっと私がいることを伝えるため。
今の涙はきっとあなたへの感謝のために。
私はあなたへ向けて願って祈って叫ぶ。
どうかいつまでも花の匂いが届きますように。




