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Stellacce Twinkle  作者: 橿原るり
第三幕 イビポランマラン編
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第38話 一夜が過ぎて

翌朝。太陽の日差しと小鳥の囀りで目が覚めた。

「おなか減ったな」

周りをみると昨日の面々もテーブルに突っ伏して寝ているようだった。

 昨日はシチューを食べたっきりだったな。お腹が減るのは当然か。煤やら泥やらで身体も変な感じだ。いくらか寝たから頭はスッキリしたけど。

 昔、野宿をしてばかりの頃を思い出した。あの頃に比べたらどうってことはない。なんだかあの日々がずいぶん昔に感じるなぁ。実際10年ぐらい経ってるけど。

 だめだ、こうしているうちにどんどん空腹が体と思考を襲ってくる。何か食べるものをもらってこよう。誰か起きているかな。

 昨日見た焚き出ししていた場所に行くとミッケや有志の焚き出し班が既に朝食の準備をしていた。チラホラ受け取っている人もいるみたいだ。よく見ると周りはうちの団員や音楽隊の面々も見えた。みんなせっかくのジャケットがドロドロだ。こっちはこっちで大変だったみたいだ。


「団長ちゃんお疲れ。ドロドロだね」

「おはようミッケ。お互い大変だったね」

「火事は収まったみたいだね。いやぁよくやったねえ」

「なんとかね。お腹すいちゃった。何か頂戴」

「はいはい」

昨日も食べたシチューとパンだった。鍋物は手っ取り早く作れるしお腹に溜まるからこういう非常時はもってこいだ。入れる具材で味も変わるしあと3日はこれでも飽きない。そうこうしているうちに他の地域からも応援が来るだろうし。

「このパン新しいね。作ったの?」

「昨日もあるにはあったんだけど数が全然でね。今朝になってやっと用意できたんだ。牛乳もあるよ」

「ありがとう。さすがだね」

「今回ばかりはみんなのおかげだよ。元々動いていた人達もいるしね」


後ろに氷で出来た倉庫が見えた。ロンメルあたりが作ったのだろう。いつの間にか建物がたくさん並んでいる。臨時施設の割にはかなり手広く作ったな。


「今日もやるのかい?」

「だろうね。あらかた消したつもりだけど残火ってのが火事は怖いからね。とはいってもダガーさんの指示待ちかな」

「そっか。じゃ食べて栄養つけるんだよ」

「ありがとう。いただくよ」


先程の席についた。シチューを口に運ぶ。

 おお、暖かいごはんというのは素晴らしい。表現者らしからぬ語彙力だけど、やはりおいしくて暖かいごはんというのはいついかなる時も力が湧いてくる。別に見栄を張ったり痩せ我慢をしていたわけじゃないけど衣食住のひとつでも日常に戻ると安心する。


 アヴェラルに頼んだときは炊き出しのことまで言ってなかった気がするけど、やってもらって正解だったな。牛乳も美味しいな。そういえば在庫が沢山あるとか言ってたな。ミッケが買いすぎたのかな。ま、こうして炊き出しに使ったり無駄にならなかったからいいけど。


「ぶへへ、ぶへへへへへ」


キエリスが隣で邪悪な笑みを浮かべながら寝ている。

 パンを齧りシチューを食べながら今後のことを考える。公演はあと二日はお休みにしてるからいいとして。ってよくはないか。諸々のオーバーホールやらが終わっていない。ちょっと延期するしかないかな。私たちはともかく音楽隊もこの状況で公演を決行しても怖いしな。


 今日の作業はどんなものだろうか。まだ残っている火種を消しに行って、復興のお手伝い?仮設住宅の建設。あとは行方不明者の有無の確認、そして捜索。怪我人の医療機関への輸送。


 んー。パッと思いつくだけでもけっこうあるな。多分これの5倍はやることがでてくるだろう。衛生面もやることがあるだろうし、こういう隙を見て動く犯罪者もいるだろう。

 うん。おいしかった。ダガーさんとかここにいれば来るのかな。そういえばサニィもいないな。既に会議か何かをやっているのかもしれない。ん〜。見渡す限りどこがどこやら。まだみんな寝てるし。とりあえずここで待つか。


 見た感じキエリスはもう十分飛べるようになっている。魔力量も伸びたけど、回復力も結構高いんだよな。もしかして血の魔法だから?

 他のみんなも大体回復しているようだ。うちの団員は優秀だなぁ。食べ終わったし食器戻してくるか。音を立てないように立ち上がり、ミッケのところへ向かっていると


「団長おはようございます」

「おはようフレン。プレンツ。調子良さそうだね」

「おはようございます。そう見えますか?」


あれそうでもなかったか。


フレン「団長いつこっちに戻ったんですか?」

ステラッチェ「夜中だよ。みんなもう寝静まってたね」

プレンツ「それでもう起きてるんですか」

ステラッチェ「空腹に耐えられなかっただけだよ」


それもあるけどあんまり安眠ってできたことないからなぁ。昨日はどちらかというと気絶だ。とはいっても物音でたまに起きたけど。


「こっちも大変だったでしょ」

「「はい」」

「うん。素直でよろしい。朝ごはんはできてるからゆっくりたべてね。休まないといざって時に力が出ないからね」


歩きながらそんな話をした。フレンはともかくプレンツはこういうの初めてだっただろうから大変だっただろう。


ステラッチェ「ミッケ。シチューご馳走様。おいしかったよ」

ミッケ「そりゃよかった。おかわりは?」

ステラッチェ「大丈夫だよ。ありがとう」

ミッケ「そう?お皿はそこに重ねておいて」

ステラッチェ「はーい」


フレン「ミッケさん。俺たちもシチュー貰いに来ました」

ミッケ「はいはい。みんな昨日はコキ使って悪かったね」

フレン「いえ!ミッケさん達ほどではないですよ」

ミッケ「俺らはいいんだよ。ガルニエとやることは変わらないからね。とはいえ量とスピードが段違いだったけど、はいどうぞ」

プレンツ「ありがとうございますミッケさん」

ミッケ「そういえば団長ちゃん」

ステラッチェ「ん?」

ミッケ「昨日渡した寸胴ってどうした?」

ステラッチェ「あ」

ミッケ「置いてきた?」

ステラッチェ「あとで持ってくるよ。ごめん。忘れてた」

ミッケ「いや、いいんだ。色々集まってきたからね」

ステラッチェ「足りないものある?」

ミッケ「うーん。言い出せばキリがないからなあ」

ステラッチェ「そうだよね。色々決まったら一度ガルニエから持ってこよう。それまでにリスト作っておいてよ」

ミッケ「わかった。まとめておくよ」

フレン「団長俺たちも飯食ってきます」

ステラッチェ「うん。ゆっくりしてて。掻き込まないでよ」


* * * * * * *


少し辺りを歩いてみた。結構広めの公園を囲むように作られた病室と炊き出し、あとは大部屋がいくつかある。


 街の方に学校や図書館があるらしく、そこにも避難している人が多くいるのだとか。でもキャパが少なくてほとんどの人がここで過ごしていたようだ。

 多分あちらは妊婦さんなどの助けが必要な人限定だろう。そこらへんの施設もサニィが最近無理言って作ったみたいだ。普通に政治に関わっているチャラ男。そういう方面ならいいけども。

 私が寝ていた机とかは新品だったのかな。机で寝ている人もいれば芝生で夜を過ごした人もいたようだ。公園には大体数千人といったところか。

鎮火したから被害がなかった人たちは家に戻ったのだろう。


 そんな観察をしながら病室のほうを見に来た。ハリネズミの家族を連れてきたときは屋根がなかったけど今はついていた。夜は冷えるからつけたのだろう。入り口もカーテンがかかっていて中は見えない。


あ、アメデオだ。アルティオムもいる。


ステラッチェ「お疲れ様、2人とも」

アメデオ「おう。そっちはあらかた済んだようだな」

アルティオム「お疲れ様でーす」

アメデオとアルティオム、2人が並んで歩っているとマッドサイエンティストと実験体Aって感じだ。どっちも白衣を着ていてなかなか面白い。

ステラッチェ「うん。なんとかなったよ。アルティオム痩せたね」

アルティオム「ほんと!?まずいよ〜まだ公演あるのに〜」

ステラッチェ「一旦公演はおいておいていいよ。そっちはどうだったの?」

アメデオ「重症患者の方は既に他の街へ移送した。とはいえあれからザーラが力を使うほどの重症者はいなかったから俺らはもう用済みかもな」

ステラッチェ「なるべく使いたくないからね」

あくまでここは応急処置をする場だ。真の戦場は移送先だろうけど2人をそこまで連れて行くこともないだろう。この国の医療の力を信じる他ない。今回医療班が一番大変だったんじゃないかなとも思うけどちょっと髪の毛がパヤパヤしている程度だ。

アメデオ「ああ。避難が早かったおかげだろう。死傷者はなんとか出なかった。ひどい火傷で跡が残りそうなのがいるが及第点だろう」

ステラッチェ「そっか。2人ともお疲れ様だったね。朝ごはんもう準備できてるから時間がある時に食べに行ったらいいよ」

アルティオム「ほんと!?もう腹ペコだよ〜」

アメデオ「他の奴らにも持ってくるか。お前らは今日はどうなるんだ?」

ステラッチェ「昨日話してた消防隊のダガーさん待ちかな」

アメデオ「わかった。できれば衛生施設を作ってくれ。トイレと可能であれば風呂だ」

ステラッチェ「そうだね。ダガーさんと打ち合わせしてどこに作るか決めるよ」

アメデオ「ああ。頼む」

ステラッチェ「じゃ2人ともよろしく頼んだよ」


大体見回ったところで元いた机に戻ることにした。やっぱり動くにせよダガーさんとかの指示を仰いだほうがいいな。あとでやり直すことになっても面倒だし。やっぱり待機だな。

 起こさないように椅子に座ったけど、キエリスが起きてしまった。


「んあ」

「おはよう」

「ふう」


まさかの二度寝。まぁいいか。どうせ今できることはない。寝させてあげよう。


「って起こさないんですか!?」

「起きてたの?」

「さっきがっつり目が合ったじゃないですか」

「また目瞑り始めたから」

「ふわああ……かなり葛藤しましたけどね。でもまだ団長がここにいるってことはまだ動いてないってことか〜ならいいやって」

「察しが良くて助かるよ。今できるのは朝ごはん食べるぐらいだからね」

「一番重要じゃないですか!!!」


一目散に炊き出しの列に走るキエリス。


転移はどうした転移は。

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