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Stellacce Twinkle  作者: 橿原るり
第三幕 イビポランマラン編
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第33話 立ち込める黒煙

サラさんとキエリスと山火事があった街へ向けて飛んできた。辿り着くかなり手前の上空からでも大きな黒煙が見えた。想像していたよりも火事の規模が大きい。山二つほど延焼しているようだ。火災の影響で空が赤くそして黒く染まっていた。


「焦げ臭くなってきましたね」


 キエリスが苦い果物にでもあたったような顔をしている。

 どうやら山だけでなく街の方にも黒煙が上がっている。民家まで火の手が回っているとは思っていたよりも被害範囲が広そうだ。

 幸い街全体が燃えているわけではないみたいだ。黒煙で先まで見えないけれど、パッと見では街半分までは火の手は回っていないように見えた。

「もう少し近づこうか。———待って、あれってサニィ?」

 街の民家が燃えているあたりを上空で高速回転しながら水を撒き散らしている物体があった。

「はい!サニィ様です!」

目を凝らしたサラさんが叫んだ。まずは状況確認だ。早いとこ合流できそうでよかった。

「キエリス!」

「わかってますって!」

サニィの真上あたりまで飛んできた。かなり広範囲に水を撒いている。

「サニィ!手伝いにきたよ!」

風の魔法を使って手を繋いでいた3人まとめて空に留める。

「あ!!!ステラッチェ!マジで!?」

 サニィに声が届くと高速回転が止まりこちらまで近づいてきた。あれだけ回っていたのに目は回っていないみたいだ。サニィの撒いている水の量もすごいけどさすがにひとりではこの規模はカバーしきれていないようだ。サニィも別に水の魔法が得意ってわけじゃないしな。

「いいから状況は!?」

 見ればわかるけど一応聞いておいた方がいいだろう。独自で動いても裏目に出てしまうかもしれないし。

 眼下では地元の消防団が井戸からホースを伸ばし消化活動を行なっていたり、数人だけど魔法を使って消火をしている人も見えた。


「見ての通り街にまで火の手が伸びてしまったんだ!1人だと街全部カバーすんのは無理無理のかたつむりだよ!俺も雨の神様とかなら良かったのに!俺って輝いてばっかりだ!」


自虐なのか本気なのかわからない。

ツッコミを入れている余裕はないぞ!

でもまだまだ余力はあるみたいだな。そこは安心した。


「だからそういうのいいから!これから他の団員たちも連れてくるよ!」

「ありがとう!マジで助かる!実は山にもいくつか村があってね!可能であれば人だけでもこちらに避難させたい!村の外れに避難場所を作ったんだ!」

「消火の方は?」

「もちろんお願いしたい!ここは任せるから俺は山の集落や村に行ってくるよ!」

「わかった。キエリス。避難所に行ってマークを作ろう」

「了解!」


指差された方向へ降りた。キエリスが大きめのマークを作った。ガルニエからうちの団員と物資の運搬のためのものだから大きめの円にした。

「先戻ってみんな連れてきてくれるかい?」

「団長は?」

「周りをざっと見てくる」

 サニィを始めとした消防団からの情報の前に一度見ておく。どのぐらい広範囲なのか次第でうちの団員の割り振りが変わる。

「私も消防団を集めてきます!」

「お願いしますサラさん。ではまた!」


* * * * * * *


まずは避難民の様子から確認した。ジャンプしてそのまま風を掴み、上空とは言っても地上10mほどをホバリングして。

 続々と避難している人が街の端の方へと集まってきている。この街も亜人が多い。炊き出しも遠くでやっているみたいだけど長蛇の列だ。白衣らしきものを着た人たちが怪我人の手当て、いやトリアージか。トリアージをするレベルなら重傷者もある程度いるのかな。消火も避難も間に合っていない。思っていたよりも事態は芳しくないみたいだ。

 そのまま街を縦断して火の手が回っている方向へ向かった。街の面積でいったら前の街と同じぐらいかな。その4割ほど延焼しているようだ。サニィを始めとした消火活動でギリギリ延焼を防いでいるようだけど長く持つかわからないな。


「熱っ!」

 風に乗って地上の熱が飛んできたか。まだ火の手から離れているけど時間の問題かもしれない。まだ火事になっていない家もあるが予防のために水を散布しながら上空を飛んだ。今まで風の魔法を操っていたけど今は魔力そのもので飛んでいる。

 私の風のせいで被害が拡大してしまうかもしれないし、熱も一緒に巻き込んでしまうからだ。サニィのように派手になっちゃうけど仕方がない。

 さらに上空へ飛び、山火事の全貌を見た。山の中の村がいくつかあって既に燃えている。人はいないようだけど避難できたのだろうか。

 うん。ここまでだ。あとはみんなと合流して決めよう。

 再びマークを作った場所へ戻るとうちの団員達が既に到着していた。キョロキョロしているアヴェラルを見つけた。


「待たせたな」

「いや短時間でありがとう」

「状況は?」

「街にも延焼が続いていた。まだ逃げている人もいるみたいだ。山の麓もかなりの広範囲で燃えていた。村もいくつかダメだったみたいだ」

「逃げ遅れた人は?」

「私の目では見えなかったけど逃げ遅れた人がいるかもしれない。かなり上から見ただけだからなんとも。山にある集落はサニィが回ってくれてるけどもっと近い位置で見てみないと。そういうのも加味すると消火は上から広範囲にしていくのがいいだろう。まだ人が残っているかもしれないからね」

「水の勢いで建物が倒壊したら中にいる人が怪我をするかもしれんからな。わかった」


話し合っているとこちらに走ってくる人達が現れた。お、あれはサラさんだ。さすが足が速い。

「お待たせしました。消防隊長のダガーです」

ダガーと名乗る防火服を着たトカゲの亜人さんだった。みんなここの消防隊か。他の隊員も亜人が多いな。


「消火のお手伝いに来ました。劇団長のステラッチェです」

「その団員アヴェラルだ」

「サラさんから話は聞きました。ご助力感謝します」

「して状況は?」


ダガーさんが家の周りに置いてあった樽を持ってきて街の地図を広げた。


ダガー「我々がいるのはここ。街の東になります。この奥に避難してきている人と救急隊がいます。火災の範囲は西側。街の3割は火災の被害を受けている状況です。そして森の方も被害は甚大で集落がいくつかあり、全員避難できているか不明な状態です。皆様にはまずは街の被害拡大を抑えること、そして人名救助をお願いしたい」

ステラッチェ「避難状況は?」

ダガー「あらかた済んでいるのですが、確認ができない状態です。また家屋は木造とレンガ出てきたものがほとんど。火災によってレンガなども脆くなっている可能性が高い。消火の際は水の勢いは抑えていただきたい」

アヴェラル「逃げ遅れた人がいるかもしれんからな。了解した。森の方の避難はどうする?」

ダガー「場所が場所ですのでこちらに連れてくるのも大変困難です。鳥類の亜人が手伝ってくれていますが」

ステラッチェ「私たちの方で山の集落の人たちは任せてください」


アヴェラルと目を合わせて頷いた。


アヴェラル「さっき話した通り動いてもらう!まずアメデオの医療チームと支援チームはこの通りをこのまままっすぐ進んで医療スタッフと連携してくれ」

ステラッチェ「アメデオ。上からトリアージをつけてる様子が見えた」

アメデオ「了解。わかった」

アヴェラル「そして消火班だが、まずは街の方を鎮火する。火災の影響で家屋が崩れやすくなっている。水の勢いには気をつけるように。ミッシェル、ティラクは街の家屋に取り残されている人たちを探してくれ。ペリーヌ、2人が回りきれていないところを現地の者と連携して動いてくれ」

ミッシェル、ティラク「「了解」」

ペリーヌ「わ、わかりました!消防団の方よろしくお願いしまふ、す!」


アヴェラル「俺とエルフリーゼはこのまま山を突っ切り燃える木々を片付けていく。延焼を防ぐためにな。ニニギもこっちへ参加してくれ」

ニニギ「御意」

ステラッチェ「私とキエリスは山の村へ飛んで逃げ遅れた人をこちらへ移動させる。とにかく人命第一だ!そしてこの人命はみんなの命も含まれているからね!無理はしないこと!」

アヴェラル「そういうことだ。現地スタッフとの連携を厳に。消火班は残り火に気をつけろ」

ステラッチェ「じゃ早速行動開始!」


 各自が持ち場へ向かうのを横目にキエリスと上空から山へ飛んだ。


ステラッチェ「一旦待って!光の軌跡が見えた」

キエリス「サニィですね」

ステラッチェ「あっちは任せよう。こっちは左手の集落へ行こう」

キエリス「はいはーい!いっきますよ〜!」


 村の上空まで飛んで被害状況を見た。とりあえず人は見えないけど、家屋が限界か。木造の家が崩れ落ちそうになっている。中に人がいなければいいけど。地面に降りて一軒ずつ見ていくか。


「キエリス中を見ていこう。無理はしないでね」

「もちろんです」


 腰から上空へ向けて腕を回して村の上空に水球を作った。村の上空で整列させて手を叩き、水球を散らせて雨を降らせた。火の勢いはみるみる小さくなった。走って家屋の中を確認したが人はいなかった。この集落は避難が完了していたようだ。


「キエリスいたかい?」

「いえ。誰も」

「よし。じゃ次に回ろう」


 キエリスの手を取る前に右足を地面に踏み込んだ。水浸しになった地面に氷を張った。これで残り火も消えただろう。

「よし行こう」

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