第32話 再びのリオ
ガルニエが首都へと旅立つ時が来た。
この街は農業と酪農が盛んな街だったから朝の早い時間だったけど、見送りに来てくれた人たちが沢山いた。グランさん一家ともお別れだ。ルミさんが赤ちゃんを抱いて連れてきてくれた。既にミッケさんとキエリスさんが話しているようだった。
「もう戻っちまうのか」
「ええ。また追加で色々貰っちゃって申し訳ないです」
「いやいや大したことねえって。あんたの作る料理も美味しかったぜ。またこっち来たら寄ってってくれよな」
「ほらご挨拶して〜」
「ばぶ〜」
「大きくなるんだよ〜」
キエリスさんが赤ちゃんお頭を撫でる。くすぐったそうな顔をしていた。
「お世話になりましたわね。牛乳、チーズどれもとてもおいしかったですわ」
「本当に何度もご飯をご馳走してもらっちゃって」
「外国の人にも通用する味だって胸が張れるよ。トゥエンチャンズブロックも貰っちゃったしな」
「またこの街に来ることがあればまたお願いします」
「おう!フレンに、プレンツ、そしてラウラ嬢!元気でな」
「リオでも頑張ってね〜」
* * * * * * *
「ではみなさんそろそろ私たちはまた首都の方で公演を行います。予定よりも多く、この街に滞在できました。その間皆様に観劇いただいて大変光栄でした!また会うことがあればまた私たちのことをよろしくお願いします!」
ベールがガルニエ内をしゃぼん玉で囲み、次の瞬間、首都に着いた。
一ヶ月ほどしか経っていないけど、 いい街だったな。なんて感傷に浸っていたらこちらに駆け寄ってくる女性がいた。あの女性はもしや。
「ステラッチェ団長様!」
血相変えて走ってきたサラさんだった。久々の再会だけどなんだかすごい急いでるな。珍しく汗もかいている。
「どうしたんですかサラさん?そんなに急いで」
「実はブラジリアという街で山火事が起きてしまって大変なことに!」
「ブラジリアって確か」
ブラジリアは元々公演をする予定だった三つ目の街だ。イビポランマラン側からの要求で取りやめになった。
理由は聞かなかったけど、地元の新聞などで最近山火事があったらしく、被害もそれなりにあったと聞いた。
国からの理由は明かされなかったけど、おそらく今は火災の復興中で私たちを受け入れる体制にないのだろうと察した。そこら辺はイビポランマラン側の意図通り、深入りしないで二つの街で公演を行うことにしたのだ。
「二日前から火事があったようで地元の消防団だけでは消しきれないと判断してサニィ様も消火活動をしているのです!ステラッチェ様には相談しようか迷ったのですが、やはりお力をお借りしたいのです!」
そういえばサニィがあっちに行ってからちょっかい出してこないなとは思っていたけど、そういうことか。復興の手伝いの間で山火事が再燃してしまったということか。
「もちろんです。だから落ち着いてください」
「ありがとうございます!」
「キエリス、移動してきたところで申し訳ないけど飛べるよね」
「ばっちしです!お任せください」
と、来ればとりあえず現地調査とマークからだな。状況は見てみないとわからないだろうけどサニィが出払っているということは軽いボヤ騒ぎどころではないのだろう。ある程度被害は大きいと考えた方がいいな。
ふむ。とりあえず準備は準備として動いてもらってとりあえず私たちだけで全容を把握しておこう。
「よし。みんな!聞いての通りだ!ブラジリアっていう街で山火事があったらしい!私とキエリスとサラさんで先に行って状況見ながらマークを作ってくる。中にいる人にも伝えておいて!アヴェラル!悪いけどこっちに戻ってくるまでに色々決めておいてくれると助かる!」
「おう。団長も気をつけろよ」
「ありがとう。じゃ!」
サラさんとキエリスと手を繋ぐ。一旦上空に登ってからサラさんの指差す方向へと飛んでいった。
* * * * * * *
アヴェラル「よし。一旦広場へ集まろう。アメデオとかも集めてからは話そうか」
アメデオさんの声がけでガルニエ全員が集まった。ジェマさんやキマキさん、音楽隊の人達も集まった。
アヴェラル「よし全員集まったようだな。状況はわからないが、ざっくり役割だけ決めておこう。まず医療班と後方支援だ。アメデオ」
アメデオ「ああ。俺とアルティオム。ザーラ、ソフスはおそらくあるであろう現地医療班と連携して動こう」
ソフス「私は前線で移動できない人の手当てをしつつ輸送した方が良いのでは?」
アメデオ「動けないほどの重症者がいた場合は可能であればキエリスに頼みたいが、手が足りない場合もあるか」
アヴェラル「よし。ソフスは団長たちがいない方面を回ってきてくれ」
ソフス「了解しました」
アヴェラル「次に消火部隊。山火事と言っていたが街まで広がっているか、山だけなのかわからんが可能な限り複数人で動いてもらいたい。怪我人がいた場合などを想定して、だ。あと何かあった場合助けを呼べなくなる。火がついてしまっているところは水の魔法が長けているものにお願いしたい。ヴィーナ、フェルナン、カミラ、オレーナ、サッフィ、アンティエ、ラウラそしてファロ」
ラウラ「あら」
ファロ「俺ちんもですかい?」
アヴェラル「ああ。一つやってみてほしいことがある。あとで俺のところへ来てくれ。そして俺、エルフリーゼは山火事の先回りをして燃えるものを無くしていく。燃えるものがあるから燃え広がるからな」
エルフリーゼ「わかりましたわ」
アヴェラル「ミッシェル、ニニギ、ティラク。お前達は一旦フリーにしておく。何せ現場を見ないことには判断がつかん。街にまで回っていたら避難誘導が必要だし、燃え広がる範囲が広過ぎたら俺のチームに入ってもらう」
ニニギ「ふむ。よかろう」
アヴェラル「そうだ、ペリーヌ。現地に着いたら状況を見てきて欲しい、団長もやっているとは思うが多分上空からだろうからな。街まで火災になっていたらとりあえず要救助者の捜索を最優先で頼む」
ペリーヌ「わ、わかりました」
アヴェラル「今呼ばれていない者達は怪我人などの保護と医療班の支援、炊き出しの手伝いだ。音楽隊のみんなはとりあえず家に帰っておいて欲しい。力になってくれるのならもちろん助かるが無理はしないで欲しい。もし手伝ってくれるならこのまま残っていてくれ。細かいところはまた現地で決めよう。よし!では必要なものを持って玄関前に集合だ!」




