10ー4 家族
10ー4 家族
ロッテの言葉に兄たちは、ぐうの音も出なかった。
「我々は、忙しいんだ。いつまでもこんな連中の相手はしていられない」
ルイドルフ兄上が慌ててそう言うとケイラン兄上をひきつれてサロンから去っていく。
「ロッテ……会いに行かなかったこと、すまなかった」
俺は、ロッテの方へと進み出た。
ロッテは、肩をすくめる。
「いいのです。クロウズ兄様がいろいろと忙しかったことは私もよく理解しておりますから。でも……ようやくお会いして直接お礼を伝えられて嬉しいですわ」
俺は、恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちだった。
この幼い義妹を1人きりにしていたことは、いくら言い訳しても許されないことだ。
「本当にすまなかった、ロッテ」
俺は、ロッテを直視できなかった。
薬草をとってきただけでロッテをほったらかしにしていた俺もやつらと同罪だ。
ふわり
暖かいロッテの手が俺の頭を優しく撫でる。
「こうしていつも兄様は、眠っている私の頭を撫でてくれましたね」
ロッテが口許を可愛らしく綻ばせる。
「兄様たちは、気付いていなかったかもしれないけど私は、わかっていました」
「ロッテ……」
俺は、涙が滲んでくるのを感じていた。
ロッテは、続けた。
「お父様もお母様も私のことをそのうち死ぬとしか思っていませんでした。あの、兄たちだって。私のことをほんとに心から思ってくださっていたのはクロウズ兄様だけでした」
気がつくと部屋の入り口でローザがたたずんでいてそっと涙を拭っている。
そうか。
俺は、ようやく理解していた。
屋敷に近寄らない俺をロッテと引き合わせるためにローザは、俺をサロンに導いたんだ。
ありがとう、ローザ。
俺は、瞬きで涙を飛ばすとロッテに微笑んだ。
「ロッテ、これからは、俺たち家族として仲良く暮らしていこうな」
「もちろんですわ、クロウズ兄様」
俺たちは、暖かな日の光が差し込むサロンでソファに並んで座ると一緒にお茶を飲んだ。
俺は、ロッテに話したいことが山ほどあった。
ロッテは、俺の話に喜んで耳を傾けてくれた。
俺たちは、お互いの時を埋めるために楽しい一時を過ごしたのだった。




