10ー3 ロッテ
10ー3 ロッテ
「貴様ら、どうしても死にたいのか?」
アネッサが立ち上がろうとした時のことだ。
「お待ちくださいませ!」
声のする方を見るとそこには、騎士団の副団長であるテイルズ・ロートに抱かれた金髪の美少女の姿があった。
「ロッテ?」
俺は、思わず立ち上がっていた。
ロッテは、にっこりと微笑んだ。
「ようやくお会いできましたわね、クロウズ兄様」
ロッテは、俺の義妹だが病弱で寝たきりの生活を送っていた。
「体調は?大丈夫なのか?」
「お兄様が採ってきてくださった薬草のおかげでだいぶよくなってまいりましたの」
ロッテが俺ににっこりと笑い掛ける。
「まだ、歩いたりすることはできませんが、こうして運んでいただけば部屋から出ることもできるようになりました」
「そうか」
俺は、ふっくらしたロッテのピンク色の頬を見てホッとしていた。
薬草をとってきてからいろいろあって俺は、なかなか義妹のもとに顔を出すことができなかった。
だって!
自分を守るためとはいえ父上たちを事実上追放したりしていたわけで。
ロッテは、俺を許さないかもしれないと恐れていたからだった。
唯一、家族の中で俺に優しくしてくれていた義妹に嫌われるのではと思うと俺は、ロッテに会うことができずにいた。
「ロッテ……父上たちのこと、すまなかった」
俺は、ロッテに頭を下げた。
それを見ていた2人の兄たちがにやりと笑った。
「やっと自分の非を認めたか。さっさと家督を譲ってこの家から出ていけ!」
「そうだ!ここは、お前なんかがいるべき場所ではない!」
2人の兄たちに責められている俺を見てロッテがまな尻をつり上げた。
「どちらがここにいるべきではないのかしら?ルイドルフ兄様もケイラン兄様も考え違いをしていますわ」
「なんだと?」
2人の兄たちがロッテを睨み付ける。
「それが今までお前のようなでき損ないのことを世話してきた家族に対する言葉か?」
「それが勘違いなのです」
ロッテが顔を曇らせる。
「今までこの家で私を省みて、優しくしてくださったのはクロウズ兄様だけでした。クロウズ兄様は、たった1人で最果ての森へ行き薬草を手に入れてくださった。そのおかげで私は今、生きていられるのです」




