6ー6 『サク』
6ー6 『サク』
「いいか?」
アイダさんは、俺たちを諭すように、言い含めるように告げた。
「俺は、これから街の知り合いを頼ってイームス布をさばけないか当たってみる。夕方までには戻るからそれまでお前たちは、この宿で大人しくいい子にしてろ!いいな?」
俺は、こくこくと頷いた。
「いいな!絶対だぞ!」
そう言いながら宿から出ていくアイダさんを見送ると俺は、いったん宿の部屋へと戻った。
部屋には、ルーア君とライザ、それにアネッサとロリスが待っていた。
「ほんとに山に行くつもりか?」
ルーア君が俺を真剣な顔で見ている。
「殺されるかもしれないんだぞ?」
「わかってる」
俺は、自分の荷物の入った鞄を肩から下げると部屋から出ようとした。
「大丈夫。なんとか君たちのことは、帰れるようにしてくるから」
「俺も、行く!」
ルーア君が俺の後を追ってくる。
「あんただけじゃ、村にたどり着けない!」
「なら、あたしも!」
ついてこようとしたライザにアネッサがロリスを手渡す。
「お前には、この子のことを頼む」
「えっ?」
ライザがロリスを抱いて困ったような顔をする。
アネッサは、にぃっと笑った。
「安心しろ。私は、強い」
そうして俺とルーア君とアネッサは、山へと向かうことにした。
俺たちは、宿屋の近所にあった露天で短剣と当座の食料、それに頑丈な靴を手に入れた。
そして、山に通じる道へと向かった。
木々の繁った山へと続く道には数人の冒険者らしい人々がいて俺たちに話しかけてきた。
「あんたたち、これから山に入るつもりか?」
「そうですけど……何か?」
俺が答えると彼らは、顔を見合わせる。
「山で『サク』が起きているらしい。今は、やめた方がいいぞ」
『サク』?
俺は、ルーア君の方を見た。
ルーア君が表情を引き締める。
「『サク』が?婆さまの先見ではまだひとつきぐらい先だったんじゃ」
「山の民がいるんなら話がはやい」
冒険者たちが俺たちを追い返そうとする。
「この時期は、山は、変になる。近づくのはやめといた方がいい」




