2ー10 水洗トイレ
2ー10 水洗トイレ
落ち着くと俺たちは、もう一度、家について考えた。
食材は、冷蔵庫を閉じると自動的に補充されるみたいだった。
まるで最初の状態を保とうとしているみたいだ。
「精霊の魔法って不思議だなぁ」
俺がぽつりと感想をもらすとアネッサたちも頷く。
ラザニエルさんは、曖昧な笑みを浮かべると相槌を打つ。
「そうねぇ。きっと使う者によって変わってくるんでしょうね」
うん?
俺は、ラザニエルさんの言葉がちょっと気になった。
もしかしてこれって精霊魔法の常ではないの?
俺という異質な存在が精霊魔法を使うことで何か異変が起きているのかもしれない。
何か、この世界に悪影響がなければいいんだけど。
しばらくするとロリスがもぞもぞし始めた。
どうやらトイレに行きたいらしい。
俺は、ロリスを抱き上げたアネッサをトイレまで案内した。
アネッサは、白い陶器の便器を見て不安げに聞く。
「ここですればいいのか?」
「そうだよ」
俺は、レバーをひいて水を流してみせる。
「使ったらこうして流すんだ」
「なんだ!?これはっ!」
アネッサがひどく驚いている。
「こんな装置、見たことがない!」
確かに、まだ、この世界でこういうトイレを見たことはなかったけど、そんなに驚かなくても。
俺は、アネッサにトイレの使い方を説明するとリビングへと戻った。
「精霊魔法にこんな使い方があるなんて驚きだわ」
ラザニエルさんは、リビングでふかふかの革製のソファにもたれてのんびりとテレビを見ている。
ええっ?
テレビ?
どうやらそれは、DVDのようだった。
さすがにテレビまでは放送してないからな。
古い昔の恋愛映画を見ながら俺たちは、これからのことを話した。
「とりあえずあたしとアネッサは、クロウズ君の従者兼保護者ってことで」
「俺、この家で微妙な立ち位置にいるんだけど」
俺は、小声でラザニエルさんに呟く。
「そのせいでみんなに迷惑かけることになりそうでごめん」
「いいのよぉ、もともとあたしたちが転がり込んできたわけだし」
ラザニエルさんが笑顔で応じた。
「いざとなればあなたの力でこの家を乗っ取ることだってできるでしょ?」




