3ー1 メイド服
3ー1 メイド服
俺たちがくつろいでいると誰かが玄関のドアをどんどんと叩く音がした。
ドアの覗き穴から見ると奇妙な顔をしたローザが立っている。
俺は、すぐにドアを開いた。
「ローザ?」
「クロウズお坊っちゃん!」
ローザが俺に困惑した様子で伝える。
「旦那様が……お坊っちゃんの2人のその……下僕ですか?それを連れてこいとのことでございます」
うん。
まあ、俺がそんなことを言い出せばちょっと確認したくなるよね?
もっともな話だし。
「わかった。すぐに行くよ」
俺は、ローザに返事するとローザが申し訳なさげに告げた。
「旦那様は、クロウズお坊っちゃんに広間に来るように、と仰せです」
広間?
執務室でもリビングでもなく、広間というのが気になった。
考え込む俺にローザがそっと囁く。
「今夜は、お客様がおいでで。旦那様は、そのお客様の前でお坊っちゃんに報告をさせるおつもりなのです」
ふむふむ。
俺は、こくんと頷いた。
「なるほどね。すぐに用意して行くよ、ローザ」
俺は、ドアを閉めるとリビングに戻ってラザニエルさんとアネッサたちにこのことを伝える。
ロリスとソファでくつろいでいたアネッサが嫌そうに顔を歪める。
「なぜ、用があるなら自分からこない?」
「仕方がないのよ、アネッサ。決めたでしょう?あたしたち、クロウズ君の従僕なんだから、文句言わない!」
ラザニエルさんが立ち上がるとはっと何かを思い付いたような顔をする。
「初めてご両親にお会いするんだもの、この格好じゃ、ねぇ」
悪い顔で笑っているのを見て俺は、嫌な予感がしていた。
ラザニエルさんは、ミニの可愛らしい紺色のメイド服に白いレースのエプロンを身に付けてくるりとその場でターンして見せた。
「どう?かわいい?惚れた?」
「かわいいです!」
少し裾が長めのメイド服を身に付けたアネッサが力強く頷く。
「惚れます!」
「きゅん!」
首もとに紺色のリボンを巻かれたロリスが2人の足元を走り回っているのを見つめて俺は、深いため息をついた。
ラザニエルさんの精霊魔法の中に錬金魔法まであったとは!
俺は、ラザニエルさんに言われて2人のためにメイド服を錬成したのだった。
もちろん材料がなくては作れない。
対価なくしては、何物も作り出せないのが錬金魔法だ。
俺は、とりあえず1階にある物置にあったカーテンの布を対価に2人分のメイド服とロリスのリボンを錬成した。




