2ー5 ローザ
2ー5 ローザ
セフィール辺境伯家の屋敷は、森から少し離れた領都アナゼルの街の小高い丘の上にある。
俺がラザニエルさんとアネッサとロリスを連れて歩いているとすれ違う街の人々が興味深げに眺めていた。
なにしろロリスはともかくラザニエルさんとアネッサは、目立つのだ!
2人ともこの世界では珍しい銀色の髪をしているし、なによりすごい美形っぷりだからな。
それをなぜか7才児である俺が先導しているわけで。
俺は、辺境伯家のみなさんにどういいわけしようかと頭を悩ませていた。
道々、ラザニエルさんとアネッサと話し合った結果、当分は、2人とも俺の従魔というふりをすることとなっていた。
もちろん、アネッサは、ぶぅぶぅいっていたがラザニエルさんの命令には逆らえないのだ。
しかし。
魔力を持たない7才児がいったいどうやってこの2人を従えることができたのか、とか突っ込まれたら困るな。
俺のスキルのことは、当分、ラザニエルさん以外には内緒にしたいし。
どうしたものか。
俺は、ふと思い付いた。
ラザニエルさんの魔道具を拾った俺がその魔道具の力でこの2人を従えたことにすればいいのでは?
俺は、そっとラザニエルさんに相談してみた。
すると、ラザニエルさんは、あっさりと了承してくれた。
「この魔鏡をクロウズ君に貸すのね?いいわよ」
『というか』
魔鏡が返答する。
『すでに我が主は、クロウズ様なので。ラザニエル様が持っているのがおかしいのです』
そうなの?
俺は、とりあえず舌打ちしているラザニエルさんから魔鏡を借り受けることにした。
たぶん、魔鏡もラザニエルさんが持つ力の内に数えられるなら俺のスキル『下克上』が発動したときに俺のものになっていてもおかしくはない。
しかし。
何もかもを奪い尽くすようなこの力に俺は、困惑していた。
丘の上にそびえ立つ重厚な石造りの屋敷の門前まで到着するとそこで小柄な中年の女性が待っていた。
「クロウズ坊っちゃん!よくご無事で!」
涙を流しながら俺を抱き締めてくれたその人は、俺の乳母であるローザだ。
ぎゅっと強く抱き締められて俺は、彼女のふくよかな体を精一杯両手で抱き返した。
「ただいま、ローザ」




