15ー9 コルネール男爵領
15ー9 コルネール男爵家領
俺たちは、もてる情報網を全て使ってミリィと教会とコルネール男爵家について調べ直した。
だが。
『ネクタル』の製造場所がわからない。
「どういうこと?」
ラザニエルさんが珍しく焦っている?
「これだけの量の麻薬を流しているのに痕跡がつかめないなんて!」
俺は、執務机の上に置かれた書類を手に取った。
それは、ミリィについて調べられたものだった。
それによるとミリィは、普段は、教会で暮らしているが月に1度、実家へと戻っていた。
それもコルネール男爵家の治める領地へ。
「もしかしてコルネール男爵家領に『ネクタル』の製造場所があるんじゃないかな」
「それも考えたわ」
ラザニエルさんが答える。
「でも、コルネール男爵家の領地なんて名ばかりの荒れた山岳地帯、しかも寒さが厳しい北の領地。とても聖女の花が育てられるようなところではないわ」
「もしかしたら俺たちみたいに温室を作ってるのかも」
俺が言うとラザニエルさんが即答する。
「あの温室は、あれでもなかなかの魔力を使ってるのよ?今の魔族にはそんな力はない筈よ?」
「でも」
俺は、自分の手の傷跡を見た。
黒い炎で焼かれた焼けどの跡は傷が塞がった今でも痛々しい。
「あの、ロシナンテに関わってたルースみたいな奴だっているんだし、可能性はあるだろう?」
「そうね」
ラザニエルさんがふっと笑みを漏らす。
「確かにどんな可能性だってあるわね」
「俺、1度コルネール男爵家の領地へ行ってみようかと思うんだけど」
俺の提案にラザニエルさんが眉根をよせる。
「なら、あたしも行くわ!いくら弱体化しているとはいえ相手は魔族。知らないあなたを1人で行かせるわけにはいかないわ!」
というわけで俺とラザニエルさんでコルネール男爵家の領地であるクーリアムへと向かうことになった。
「主が行くなら我も行く!」
グレンアイヒは、そう言ったが俺は、グレンアイヒには別に頼みたいことがあるからといって断った。
「ミリィたちに俺がいないことを知られないようにグレンアイヒには俺の影武者をして欲しいんだ」
グレンアイヒは、最後まで俺の頼みにうんとは言わなかった。
最終的には、俺は、契約の力を使って無理矢理グレンアイヒを納得させるしかなかった。




