15ー10 クーリアム
15ー10 クーリアム
俺とラザニエルさんは、夜陰に紛れて王都から旅立った。
とはいえコルネール男爵家領であるクーリアムの街は、王国の北の外れだ。
まともに旅すればかなりの日数がかかる。
そこで俺は、以前に俺に臣下の礼をとったドラゴンに頼むことにした。
いつでも呼んでくれとのことだったので遠慮なく使わせてもらうことにしたのだ。
俺とラザニエルさんは、月のない夜、学園の禁則地にレッドドラゴンを呼び出した。
俺が呼ぶとすぐに空の雲が開けて遠くからレッドドラゴンが飛来した。
「呼びつけてすまないな」
「いえ、我が主よ」
レッドドラゴンが地に体を伏せる。
「あなた様のお役にたてるならばそれ以上の喜びはありません」
俺とラザニエルさんがレッドドラゴンの背に乗るとすぐにドラゴンは、天空へと舞い上がった。
上空は、夏とはいえ寒い。
俺とラザニエルさんは、俺のローブにくるまってドラゴンの背につかまっていた。
翌朝。
空が静かに白んできて。
美しい夜明けに俺とラザニエルさんは、一瞬だけ現実を忘れた。
辺りが明るくなる頃、俺たちを乗せたドラゴンは、コルネール男爵家領から少し離れた荒野へと降り立った。
俺の認識阻害の魔法で隠されているからおそらくは魔族にも関知はされていないだろう。
それでも念を入れて街1つ分は離れた場所から俺とラザニエルさんは、歩いてコルネール男爵家領クーリアムを目指すことにした。
レッドドラゴンに礼を言うと俺たちは、一路クーリアムを目指して歩き出した。
赤土の舞う荒野を突っ切ってクーリアムへと向かうが、途中で出会った旅の一座が俺たちを拾ってくれた。
荷馬車は、劇団の小道具やらなんやらでぎゅうぎゅう詰めだったが気のいい連中で喜んで俺たちを同行させてくれた。
おかげでほんとなら数日はかかるところを一昼夜でクーリアムの街まで到着できた。
俺とラザニエルさんは、劇団の雑用をさせてもらうことと引き換えにこの街では一座の一員ということにしてもらうことになった。
クーリアムの街は、思ったよりずっと大きな街でかなりの賑わいがあった。
たぶん、ロシナンテの生家に代わって薬草を一手に扱うようになったため街は裕福になっているのだろう。
そう思うと俺は、複雑な気持ちだった。




