15ー8 殲滅
15ー8 殲滅
放課後。
家に戻ってからラザニエルさんに俺たちの考えを話してみた。
すると、ラザニエルさんから笑顔が消えた。
「まさか……『ネクタル』は、魔力を集めるために作られたものなのかしら?」
俺は、いつも肌身離さず持っている魔鏡を取り出すと鏡を覗き込む。
「いったい誰がなんの目的で『ネクタル』をばらまいている?」
『それは愚問というものです、クロウズ様』
鏡は告げた。
『あなたには、すでにそれが理解できている筈』
全身に鳥肌がたった。
ミリィの聖女の力は、『ネクタル』で作られたものなのか?
「教会は?どれぐらい関わっているんだ?」
俺の問いに魔鏡は答えた。
『何者かの妨害で私にも見えませんが……これは、おそらくは魔族が関わっています』
魔族!?
俺とラザニエルさんは、顔を見合わせる。
「魔族は、魔王が封じられた時に滅んだ筈でしょ?」
ラザニエルさんが魔鏡を問い詰めるが、魔鏡は、のらりと応じた。
『なんともいえませんが……おそらくは、当時の魔族の血を持つ子孫が生き延びているのでしょう』
魔鏡がいうには僅かに生き延びた魔族たちが人間の血を取り込み子孫を残してきたらしい。
「そいつらがなぜ、聖女の花に手を出している?」
ラザニエルさんが本気で憤っている。
「もう、魔王も聖女も軛から解き放たれているというのに!」
「というか、そいつらは、グレンアイヒのこと、知ってるのかな?」
俺の問いにラザニエルさんがぎりっと歯軋りした。
「このことは、しばらくあたしたちだけの秘密よ、クロウズ君。グレンアイヒたちには内緒。いいわね?」
ラザニエルさんが可愛らしく微笑むが目は笑っていない。
俺は、ラザニエルさんにこくりと頷く。
「当面は?」
『ネクタル』のこと、魔力の流れのこと、ミリィのこと。
考えることはたくさんある。
どれも1つ間違えば大変なことになるだろう。
ラザニエルさんは、かりっと形のいい爪を噛む。
「とにかく、あたしたちにできることは、『ネクタル』を絶つこと」
ラザニエルさんは、俺を真正面から見つめると語気を強める。
「あたしたちで『ネクタル』の製造元を殲滅するしかないわ!」




