第2話 これまでの話し
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いつだったか。
俺だけがゲームと同じだと気付いたのは。
物心ついた頃には何か違和感があって、いつも目に広がる景色をぼんやりと見つめていた。
違和感の正体は視界に映るゲームの項目画面。記憶が無かった当時の俺は、ただそれを分からないままに弄る事しかできず、しかしかなりの時間をその作業に割いていた。
手がかからないと言われたのは最初だけ。
方々ほっつき歩いては空を見上げる奇行に対し、俺は村の皆から<どこかおかしい子>との評価を欲しいままにしていた。
だがそれはある時を境に一変する。
森で魔物に追われた際、強くぶつけた頭部から徐々に回復していく前世の記憶。
やっと理解したそれの使い方に、俺は両親の為になるようにと懸命に奔った。
前世の死因はホテルでの火災だった。早くに気付いた。生き延びれた筈だった。
浅ましくも....部屋を叩いて周りの人を起こして回ろう、なんて考えなければ。
俺は不慮の事故で死んだのではない。
若く愚かな英雄願望によって、自らの選択で死んだのだ。
親不孝だと思った。
悔やんでも悔やみきれなかった。
その分今世親孝行に費やすつもりで、費やせる自信で満ちていた。
結果は追放。
俺は故郷を失った。
魔法がある世界ですら、ゲームの設備は、生み出す利益は無法そのもので。
やれ不吉な禁術だとか、悪魔の技だとか。今年の獣害は俺のせいってのも言われたな。
何があっても味方なつもりだった両親から出てきた夕食に、毒が入っていた時の悲しみが想像できるだろうか。
怪しい事はしていない。風評は気にしないでいいと口にして、それだけで信じてくれると思い込んでいた自分の考えの甘さ。
押し殺すように泣いた日の翌日、俺は自ら街を出ると村長へ伝えた。
2度と戻るなと言われて、記念すべき10歳の誕生日。俺は天涯孤独となった。
村にいる間殺されなかったのは、その手段が無かっただけだとすら今では思う。
暫くはその事を引き摺り、人との接触も避けていたな。
昔はただ作業に感じていたレベリングに没頭できることが、この時ばかりは有り難く感じた。
1年ほど経った頃からなんとか心を立て直したが、困ったのは社会への、人族の国民としての再参加の方法だ。
生きていくだけならゲームの自拠点制作設備でなんとかなる。
だが家を構えて、交流を持ち、人並みに生きる為には金がいる。
しかし村のことでゲームの設備を収入を得る方法として使う気にはなれなかった。
そんな俺が日銭を稼ぐ為に選べたのは、これまでずっとやってきたこと。
レベリング。
つまり魔物討伐だ。
1年の丸々をほぼ1人で過ごした当時の俺は人恋しかった。自分以外に人が暮らす環境へ戻りたかったのは、それが理由。
だが勇気を出して声をかけて、必死に役に立てると伝えても、結果は惨敗。
幼い俺はどのパーティにも入れてもらえず結局はソロ。その舞台にすら立たせて貰えなかった。
毎日通ったギルドの職員ですら迷惑そうに俺を見る。
その眼差しに、酷く傷付いたのは言うまでもない。
それでもそれでもと思い過ごしたある日の帰り道、不意に止まらなくなった涙でやっと俺は開き直った。
誰も俺に優しくない。
だったら俺も、思うように生きてやろうと。
他人に認められる必要なんて最初から無かったのだ。
誰も受け入れてくれなかろうと、俺の価値は俺が知っていればいい。
もちろん孤独は耐え難い。
だが幸い俺は景色を好む。
ただそれを見て、指で四角く作った額縁の中に残しておいて、手記に内容をしたためる。
振り返った記憶達を思い、アルバムをめくるように確かめるだけで、1人の夜も超えられる。
1人が何日続こうと、尽きぬ思い出さえあれば。
だから俺は、この世界の全てを見に行くんだ。
人生の目標が決まった瞬間だった。
「ふぁぁ...良い日和やなぁ」
窓からの日光を受けそう呟く。
村を出てから5年目の朝。
誰にも祝われぬ、15歳の誕生日の始まりであった。
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削った削ったぁ。
だいぶ削ったぁ。
俺は泣いた。
そりゃもう泣いた。
父親の拳骨の痛さにでも、試合に負けた悔しさでも無い。
それは人生で初めての、やるせなさから来る男泣きだった。
削った中でも最後まで入れようか抜こうか迷ってた文章なのでここに置いときます。
読みやすくあれ。




