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第4話「宿題、おねだり、尻に敷く」

「ねえ、ミハネ」


「何? レンカちゃん」


「……もしかして、吸血鬼になったとて人生って変わらないの?」



 吸血鬼生である。



「うん。というか、レンカちゃんの場合は一回も始まってないからね、人生」


「うぇ、手厳しい。私も一回くらい人間讃歌で褒められてみたかったわ」


「代わりに私が褒めてあげるから。だから夏休みの宿題終わらせよう?」


「それは嫌よ。面白くないもの! ミハネ、代わりにやってくれない?」


「んー……それはレンカちゃんのためにならないんだけど……」


「……ねえ。駄目……かしら?」


「いいよ、全然良い。代わりに埋めとくね」



 上目遣い、ボディタッチ、弱々しい声の三拍子揃ったレンカ渾身のおねだりにミハネは一発KOされ、一切の抵抗なくレンカのPCを起動して入力用のフォームを開く。


 レンカはバカだが、自分が愛され体質なこと、これが周囲の人間、特にミハネにはよく効くことを理解している。


 逆にミハネは産まれてこの方知能という点では誰にも負けたことはないが、かといってレンカのおねだりに勝てたことも一度もない。


 おねだりってお強請りにした瞬間、行為の外道さが増すなぁ、なんてことを考えながらレンカのおねだりを叶えてしまうのである。


 よく考えたらレンカちゃんほど可愛ければ学なんてなくても生きていける、というか一生守ってあげれるし、なんて考えもあるのがミハネクオリティ。



「あ、でもね、レンカちゃん。こういうのって、一方的だとレンカちゃんにも良くないと思うんだ」


「……? つまり?」


「レンカちゃん、私のお願いも聞いてくれないかな?」



◇◇◇



「……ほ、ほんとにこれでいいの……?」


「ううん、もっと。もっと体重かけて。大丈夫、人間の頭って思ったよりも頑丈にできてるから」


「そうは言っても、もう全部かけてるのだけど……?」


「……もっと太らせてもいいかな」


「なんか邪悪なこと考えてない!?」



 結論から言うと、レンカはミハネの頭の上に座っていた。


 それも両足を抱え、出来る限りの重量がミハネにかかるように。


 当然彼女からのリクエスト。


 レンカの存在を圧力と熱で感じられるというとってもスマートな選択である。


 ミハネは僅かに息を荒げながらその指先を見たこともないスピードでキーボードの上に踊らせていた。



「……画面、見なくていいの?」


「大丈夫、覚えてるし、何をやってるかも分かってる。だからもっと、この瞬間を味わわせて」


「……ちょっと、キモいわね」


「あっ♡ それ効くっ♡」


「うわ……」


「あ、出来たよ」


「はや……」



 言っとくけど、こんな1000文字程度のふざけた日常の方が本題である。


 続く。

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