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アカネノ天  作者: 司城まか


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第一章 第2話 『 重なる違和感 』

 保健室に入ると、中には誰もいなかった。


「先生、いないね」


「そ、そうですね」


 辺りを見渡すが、書き残しなどもなさそうだ。


「勝手にベッド使おうか。後で報告すればいいし」


 そう言って、ベッドまで私の手を引っ張る。

 握る手が少しだけ痛かった。


 ベッドに寝転がった私に、布団をかけるしのん。


「絶対に安静にしててね。先生には伝えておくから」


 そう言って、保健室を後にする。


 そんなに心配しなくてもいいのに。と思いながら、私は目をつぶる。


 さっきのあれ、何だったんだろうか。

 明らかに、この世のものではない――よな。

 うん、空を割って出てくるやつがこの世にいるはずもない。


 しかし、不思議だ。

 音が全くしない。


 いや、授業が始まっているから当たり前なのだが、それでも多少音はするはずだ。

 だが、今は全く音がしない。


 それに、人の気配が全くしない。

 保健室につくまでにあった人間は、ゼロだ。


 廊下に誰一人いなかった。


 おかしい。

 あいつが出てから、何かがおかしい。


 それに、あの子――しのんも少しおかしい。

 あれが見えないにしろ、この違和感に気づかないわけがない。


 それなのに、先生を呼びに行くと言って、保健室を出ていった。


 ……怪しすぎる。

 少しだけ、外に出てみるか。


 ベッドから降り、保健室の扉を開ける。


「わっ!なんだ、西宮さんか。ダメじゃん!安静にしててねって言ったじゃん」


「あ、うん。でも、もう大丈夫だから。それより」


 「あなたがこの状況を生み出したの?」と聞こうとして、口を閉じた。

 いきなりこんなこと言って、違ったらそれこそ気まずい。

 もう、一生関わってもらえないかもしれない。


「そ、それより、どうしてここに?」


「あのね、人がどこにもいないの!」


「え、そ、そうなんだ」


 あたかも、今知ったみたいな感じで反応した。


「もしかして、西宮さんもいなくなってるんじゃって思ってここに来たんだけど……」


「えへへ、いてよかった」


 彼女の顔を見る。

 泣いていた。


 その表情を見て、少しだけ罪悪感を感じた。

 さっきまで彼女を疑っていたことを。

 すごく後悔した。

 そうだよ、彼女がそんなことするはずがない。できるはずがないんだ。


 そもそもこの世界には、”魔法”や”超能力”と言った概念が存在しない。

 だから、こんなことできるはずがないんだ。

 そうだ、さっき見たのもやっぱ寝ぼけてたんだ。

 誰もいないのもきっと――


 そのとき

 

 校庭の方で何かが叫ぶ音がした。

 犬でも鳥でもない。


 何か不快な音。

 

「……こ、校庭の方からですね」


「……行くの?」


 しのんが涙目でこちらを見る。

 

「……か、確認するだけです。北原さんはこ、ここで待っててください」


 私が校庭に行こうとすると、いきなり服の裾を掴まれた。


「一人にしないで……」


 ……うわ、可愛い――じゃなくて


 そうだな、一人にすると却って危険か。


「わかりました。じゃあ一緒に行きましょう」


 そう言うと、しのんはコクリと頷いた。


――――――――――


 校庭に着いたが、何もいない。

 空を見上げてみても、何も起きていない。


 気のせいか?

 いや、泣き声に関しては北原さんも聞いてるし……


「ね、ねぇ西宮さん。あれ……」


 しのんが指差す方向を見る。


 何か、いる。


 動物ではない。

 ましてや人間でもない。


 禍々しいオーラを放ったその”何か”がそこにいた。


「……目を合わせたり、音を立ててはいけませんよ」


 そう言って、気づかれないようにそっと動く。

 しのんも「うん」と頷き、こっそり動く。


 あいつはこちらに気づいていないはずだ。

 頼むから、このまま気づかないでくれ……


 そう願ったのも束の間、”それ”が再び啼き始める。

 その音にびっくりして、声を上げてしまい――


 ”それ”は私たちの存在に気づいてしまった。

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