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リライト・ガール  作者: 司城まか
第二章 『 巡るめく星々 』

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第二章 第8話 『 最強、色を好む 』

「オリ……オン?」


 聞き覚えのある名前だった。

 どこで聞いたんだっけ――


「あっ」


 先に声を上げたのは紫苑だった。


「オリオンって、あの星座の?」


「せいざ?なんだそれ。俺は俺だッ!

 それ以上も以下も無ぇ!」


 オリオンは胸を張る。


「海神ポセイドンを父に持ち、月と狩りの女神・アルテミスに愛された巨人狩人・オリオン。

 あなたはこれとは違うのね?」


「なんでそんなことを知っているんだ!?もしやお前……神か!?」


 「はぁ」と私は溜め息をつく。

 コイツは星座『オリオン座』の下となった人間、『巨人狩人・オリオン』で間違いない。

 星座についてはまあ、死後のことだから知らないのだろう。


「で、オリオンは何しに来たの?」


「あん?」


 紫苑はそう言いながらオリオンを保健室の中へと案内する。


「なんでオリオンはここに来たの?偶々?それとも訳あり?」


「何しに来たって俺は……俺は何しに来たんだ?」


「アンタレスを探しに来たんでしょ」


「あぁそうだそうだ、アンタレスを追ってきたんだった。

 サンキューな、えっと……」


「あかね。西宮あかね。

 この子は北原紫苑」


「おう、よろしくなあかね嬢、紫苑嬢っ!」


 オリオンが、無理やり私たちを抱きしめた。


「んー、この香り……良い。

 やはり女の匂いはいいな。まあ妻には敵わんがな、ガハハハハッ!!」


 私こいつ嫌いだ。

 隣でもがいてる紫苑も嫌そうな顔をしていた。


――――――――――


「紫苑嬢、茶のおかわりだっ!」


「自分で入れてくださいよ……はいっ」


 紫苑はオリオンのコップにお茶を注ぐと、ドンッ、と机に力強く置いた。

 さっき抱き着かれたのがかなりキテるらしい。


「なぁ、なんで紫苑嬢は怒ってるんだ?」


 オリオンがコソコソと耳打ちしてくる。


「いきなり抱き着かれたら誰でもああなりますよ。

 しかも男に」


「なんでだ?男に抱かれるってのは嬉しいことだろ?特に俺みたいな強い男に」


 不思議そうな顔をするオリオン。

 残念だが、紫苑は男に抱き着かれるというか男自体があまり好きではない。

 オリオンに抱き着かれたことで更に男への嫌悪感が増したようだ。


「誰もが嬉しいってわけじゃないの。そりゃ嬉しい人もいるだろうけど

 紫苑にとってはそうじゃないってこと」


「はぁ、世の中には変わったやつがいるもんだな」


 よかったなオリオン、この世界が滅びる前だったらお前は確実に捕まってたぞ。

 まぁ、捕まったところで力づくで逃げそうだが。


「……で、なんでアンタレスを追ってるんですか?」


 紫苑が私の隣に座る。

 

 この子、オリオンの隣が嫌だからって椅子を持ってきやがった。

 どれだけ嫌いなんだ。


「あぁ、アンタレスなぁ。アイツ、俺のこと殺しに来たんだよ。

 まぁ、返り討ちにしたけどな」


「……そのまま死ねばよかったのに」


「あ”ぁ”?」


「紫苑、お口チャックしようか」


 このままだと紫苑の毒舌が飛び交うだけだ。

 少し黙らせておかないと話が進まない。


「で、アンタレスはなんでオリオンを殺そうとしたの?」


「知らん。なんか神がどうのこうのって言ってたけどな。

 ま、神が俺の強さに嫉妬したんだろ、ガハハハハッ!!」


 神が嫉妬したって言うか、この性格のせいで神の怒りを買ったんだろうな。

 史実もそんな感じだったはずだし。

 

 でもそうなると、オリオンは蠍の毒によって殺されているはずなんだが。


「どうやってアンタレスを返り討ちにしたの?」


「どうやってってそりゃ、力よ」


「そう言うの今いいから」


 紫苑がオリオンを睨む。


「なぁ、紫苑嬢の視線が痛いんだが」


「最強なんでしょ、我慢して。

 で、どうやって追っ払ったの?」


「本当に力なんだがなぁ。ほら、俺の妻って弓の才もあるからさ、それ付与してもらったんだよ」


「狩りの女神でもあるからね。で、それで打ち抜いたと?」


「いや、アイツは俺が弓を構えた瞬間、逃げたんだよ」


「弓を構えただけで?」


「あぁ」


 弓を構えただけで逃げる……なんでだ?

 アンタレス――さそり座に弓を怖がるような史実は無いはずだ。


「弓か……私達じゃ無理そうだね」


「そうだね、私のレーヴァテインも剣だし、あかねちゃんの武器も剣だもんね」


「じゃあアンタレス討伐までは、オリオンにはここに居てもらわなきゃいけない」


「……」


 紫苑が嫌そうな顔をする。


 仕方がないだろ。

 そうじゃないとアンタレスは倒せないんだし。

 なんで弓が弱点なのかは知らないけど。


「じゃ、アンタレスを討伐するまではここに居てもらうってことでいい?」


「おぉ、いきなりだな。ま、いいぜ。こんな可愛い嬢ちゃんたちと生活できるなら

 どれだけでもいてもいいぜっ!」


「チッ」


「紫苑、ステイ」


 紫苑が殴りかかろうとするのを止める。


 アンタレス討伐よりも先にコレをどうにかしないといけないなぁ。

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