第二章 第3話 『 見落とすな 』
時間が止まった。
いや。
止まったように感じた。
視界の中心。
少女の手にぶら下がるそれだけが、異様なほど鮮明に見える。
長い黒髪。
閉じられた瞼。
見覚えのある顔。
北原紫苑。
頭が理解を拒絶する。
「……なんで」
声が震える。
「ん?」
アケボシが首を傾げる。
「なんでッ!!」
剣を構え、脚が勝手に前に出る。
「まってまって、なんで怒ってるの?」
「黙れッ!!」
床を蹴る。
轟音と共に、廊下の床が砕け散る。
一瞬で間合いを詰め、
剣を振りかざす。
刃がアケボシの身体を斬りつける。
だが
「いきなりなんだよぉ、吃驚するじゃないか」
刃がすり抜ける。
アケボシには実態がなかった。
「くっ……」
アケボシがゆっくりと近づいてくる。
「どうして攻撃をするんだよぉ」
「うるさいッ!!お前は……お前はッ!!」
剣に光の粒子が集束する。
「私の友達を殺したッ!!」
剣を振りかざす。
運命に抗う力。
これならこいつを殺せる。
あの黒い”何か”も倒せたんだ。
いける。
殺れる。
「うわっ、まぶしっ」
アケボシが虫を掃うようにまった。
いや。
止まったように感じた。
視界の中心。
少女の手にぶら下がるそれだけが、異様なほど鮮明に見える。
長い黒髪。
閉じられた瞼。
見覚えのある顔。
北原紫苑。
頭が理解を拒絶する。
「……なんで」
声が震える。
「ん?」
アケボシが首を傾げる。
「なんでッ!!」
剣を構え、脚が勝手に前に出る。
「まってまって、なんで怒ってるの?」
「黙れッ!!」
床を蹴る。
轟音と共に、廊下の床が砕け散る。
一瞬で間合いを詰め、
剣を振りかざす。
刃がアケボシの身体を斬りつける。
だが
「いきなりなんだよぉ、吃驚するじゃないか」
刃がすり抜ける。
アケボシには実態がなかった。
「くっ……」
アケボシがゆっくりと近づいてくる。
「どうして攻撃をするんだよぉ」
「うるさいッ!!お前は……お前はッ!!」
剣に光の粒子が集束する。
「私の友達を殺したッ!!」
剣を振りかざす。
運命に抗う力。
これならこいつを殺せる。
あの黒い”何か”も倒せたんだ。
いける。
殺れる。
「うわっ、まぶしっ」
アケボシが虫を掃うように、刃を叩く。
光の刃が砕け散る。
「なっ……!」
「もぅ、眩しいなぁ。この子も眩しいって言ってるよ?」
紫苑の髪を掴んだまま持ち上げる。
床に血が滴っている。
「この子もねぇ、いきなり攻撃してきたんだぁ。
だから殺っちゃたんだけどぉ、顔が可愛いから貰ってきちゃった☆」
コイツはこの世にいてはならない怪物だ。
ここで始末しないといけない。
でも
「また、コレクションが増えそうだなぁ!」
アケボシの姿が一瞬で消える。
と同時に
「え?」
視界がいきなり反転した。
そのまま視界が下がっていく。
一瞬の出来事だった。
視界が回り、やっとのことで何が起こったのかを理解する。
視界の先にある物体。
首から血がドバドバと溢れ出ている身体。
そう、首を斬られたのだ。
あの一瞬で。
私の頭は、身体と永遠の別れを下された。
――――――――――
カチッ――
『おぉ……死んでしまうとは情けない』
牧師のような恰好をした少女が、私の前に立ってそう告げる。
「……何その恰好」
『とあるゲームの真似だよ』
いつもの服装に戻す少女。
『で、今の感想は?』
「最悪」
『だろうな』
少女が鼻で笑う。
床からラジオを手に取り、コードを引き抜く。
「え、それだけ?」
『何も言うことがないからな』
「何か助言とかないわけ?」
『見落とすな。それだけだ』
何を――と言う前に、目の前が暗闇に包まれた。




