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リライト・ガール  作者: 司城まか
第一章 『 始まりの巡火 』

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第一章 第10話 『 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花 』

「西宮……さんっ!?」


 長い白髪。


 華奢な容姿。


 深紅に輝く眼。


 どの部分を切り取っても、やはり美しい。

 まさかこんな形で出会うとは思わなかったが、好都合だ。


 奴は完全に塵となった。

 そのまま「助けてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べてそのまま――


「ぐへへへへ」


 汚い笑みを浮かべる。

 

 とりあえず、西宮さんと合流しよう。


「西宮さーn……えっ」


 紫苑の目が捉えたのは、奴を倒したカッコいい立ち姿の西宮あかねではなく。

 ガス欠で意識を失っている隙だらけの西宮あかねの姿だった。


「おぉ……じゃなかった。西宮さん、大丈夫ですか!?」


 息はある。

 でも、揺すっても反応がない。


「……こ、これは仕方のないこと。そう、仕方のないことだから」


 あかねを背負うと、そのまま校内へと入っていった。


――――――――――


『なぁ、もう来るなっていったよなぁ』


 少女がコードをいじりながら言葉を吐き捨てる。


「来たくて来てるんじゃないし」


『なら■■■から拒めばいいだろ?

 もうここはお前の来るところじゃないんだ』


「じゃあなんでラジオのコードをまた繋いでるの?」


 少女の手がピタリと止まる。


「コードを繋いでるってことは、また何かしらの運命が待ってるってことじゃないの?」


『……だったら何?

 もう■■■には関係ないだろ』


「関係あるよ」


 あかねは床に落ちていたラジオを一つ手に取る。


「ここにあるのは全部私の運命。

 だから、最後まで見届けるよ」


『……また裏切るかもしれないぞ』


「そのときは私がグーで殴ってあげる」


 少女は「ふふッ」と笑った。


『その言葉、忘れるなよ』


 そう言うと、繋いでいたラジオからコードを引き抜いた。


――――――――――


 目を覚ますと、真っ白な天井が最初に目に入った。

 そして


「あっ、西宮さん!大丈夫ですか!?」


 この人は確か生徒会長の……


「紫苑……さん?なんでここに……」


 そこで思い出す。


 あのとき、黒い”何か”と戦っていた人間。


「もしかして、紫苑さんも戦ってましたか?」


 紫苑の手が止まる。


「あのとき、誰かが戦っているのがちらっと見えたんです。

 ただあ、誰かわからなくて……」


「……そうです。あのとき戦っていたのは、私です」


 やはりそうだったか。

 彼女も私と同じ、運命に抗う人間。


「西宮さん、少しいいかしら」


 紫苑が空きベッドの端に腰を掛ける。


「あなたは、何のためにその力を振るうの?」


「何のためって……世界を救うために、だけど」


「世界……ね」


 紫苑はそのままベッドの上に横になる。


「私はね、とても大切ながいるの。

 でも死んじゃって。だからその運命に抗うために力を使うの」


「好きだったんですか?」


「そうね。大好きだったわ」


 紫苑は少し切なそうに笑う。


「華奢な容姿に綺麗で長い白髪」


 紫苑が私の顔を見つめる。


「吸い込まれそうになるほど綺麗な瞳に、カッコいい立ち姿」


 身体を起こし、私の方へ近づいてくる。

 な、なんか怖いんだけど。


「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。

 この言葉が本当に当てはまる人だったわ」


「そ、そうなんですか……ちょっ、何してるんですか!」


 布団に入り込もうとする紫苑。

 ほんとに何やってるんだこの人は!


「何って、一緒に寝ようかと」


「さも当たり前かのように言わないでください!

 ちょっと!どこ触ってるんですか!」


 服の中に手を入れ、まさぐる紫苑。

 コイツはヤバイやつだ。

 早くここから逃げよう。


「と言うのは冗談で」


 パッと服の中から手を出す紫苑。

 

「少ししんみりとした感じになっちゃったから」


 笑顔でそう言う紫苑。

 鼻血を拭いながら、真面目な顔になる。


「思いは違えど抗うものは変わらない。

 どう?一緒に行動しませんか?」


 紫苑が手を差し伸べる。

 

 紫苑がどんな人間なのかもよくわかっていない。

 でも、疑っているだけじゃダメだ。


 少しでも希望を抱け。

 そうすれば、必ず道は開ける。


「わかりました。一緒に戦いましょう」


 紫苑の手を握る。

 

 ほんのり汗ばんだ手。

 向こうも向こうで緊張しているのだろう。


 これで契約?は完了だ。

 しかし、西宮さん呼びは少しお堅い気がするよな。

 一緒に行動するんだし……


「ねぇ紫苑さん。

 これから私のことは名前で呼んでくれないかな。

 一緒に行動するんだし、その方がいいかなって思うんだけど」


「うぇっ!!い、いいんですか?」


 なんだその動揺っぷりは。

 女子に初めて話しかけられた童貞か。


「じゃ、じゃあ……あかね、さん?」


「んー、さんだとまだ堅いかなぁ」


「じゃあ、あかね、ちゃん」


「うん、いいね。

 それでいこう、紫苑ちゃん」


「あ゜っ」


「紫苑ちゃん!?」


 紫苑が鼻血を出して倒れる。

 紫苑ちゃん呼びで限界が来たようだ。

 だが、その表情は満面の笑みを浮かべていた。

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