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リライト・ガール  作者: 司城まか
第一章 『 始まりの巡火 』

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第一章 第9話 『 不吉な少女《オミナス・ガール》 』

「あーもー、なんでこんな時間にまで仕事しなきゃいけないのよー!」


 昼休み。

 生徒会室。

 その一番奥の席で、頭を抱えながら書類に目を通す少女がいた。


 長い黒髪。

 

 背丈は140前半。


 可愛らしい声に人形のようなくりくりとした目。


 そして整った顔。


 生徒会長・北原紫苑だ。


「みんな帰っちゃうし――」


 ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、カバンの中を探る。


 そして写真を一枚取り出す。


「はぁ……どうしたら仲良くなれるのかなぁ」


 紫苑が眺めている写真。

 そこには、あかねの姿が写っていた。


「西宮あかね……いつも一人でいる孤高の女子高生。

 その凛々しい目つき、整った顔立ち、すらっとしたボディライン。

 どこを見ても美しいし、カッコいい……」


 彼女は、西宮あかねのストーカーだった。

 そして――


「あら、いつの間に」


 手鏡がいつの間にか割れていた。


「なんだか、不吉だなぁ」


 不吉な少女でもあった。


――――――――――


「ふぅ、終わったぁぁ!」


 仕事を終え、生徒会室を出る。


 時刻は十二時二十分。

 あと十分で昼休みが終わる。

 こんなことをしている暇はないのに。


「あと十分か。今から行けば――」


 と、屋上に行くか悩んでいるときだった。


「おい、なんだよあれ……」


「空が割れてるっ!」


 教室内が騒々しくなった。

 廊下にいた人達も騒ぎ出す。


「空が割れてるぅ?」


 廊下から空を見上げる。


 確かに、空が割れていた。

 いや、裂けているというべきだろうな。


「あー、もう来ちゃったか」


 紫苑の目の色が変わる。


「とりあえず、人目のつかないところに……」


 階段裏の倉庫。

 そこならだれにもバレずに――


 階段の方へ走りだした時だった。


 屋上から出てくる人影が目に映る。

 西宮あかねだ。

 

 だが、様子がおかしい。


「嘘っ……なんで……」


 目が赤く輝いていた。

 深紅の瞳。

 まるでルビーが埋め込まれているかのようだった。


「あの眼、私達と同じ眼……じゃなかった!」


 階段裏の倉庫へと入る。


 深呼吸をする。

 そして目を閉じる。


 想像する。


 奪われた日々を。

 命を。


 運命を――


 その手に、剣が握られる。


「さて、もう一仕事しますか」


 その眼は、蒼く澄んでいた。


――――――――――


「何なのよ、コレー!!」


 街中に広がる無数の黒い腕。

 斬っても斬っても増殖していく。


「なんで斬れないのよー!!」


 叫びながらも、黒い腕を斬り続ける。


 そのとき


 ドンッ!!


 背後に何かがいる。

 

 嫌なオーラが背後から漂っている。


「もう、いやぁ……」


 いつもこうだ。


 必ず不吉なことが起きてから、こういうことが起こる。


 目の前を黒猫が横切れば、大切な写真(あかねの隠し撮り写真)を失くすし、

 愛用していた腕時計がいきなり壊れたときは、仕事の量が倍になった。


 不運というよりもう、呪われているとしか考えられない。


 恐る恐る振り返る。


 黒い。


 全てが黒い。


 そこだけ空間が無いと言っても過言ではないくらい黒い”何か”がいた。


 人……ではない。明らかに違う。


「何なのよ、こいつ……」


 こちらにはまだ、気がついていない。

 様子を伺いつつ、足元の黒い腕を斬っていく。


「きゃっ!!」


 突然足を掴まれ、声を上げてしまう。


 やばい。

 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!


 声、あげちゃった!!

 あれだけ慎重に動いてたのに!!


 黒い”何か”が紫苑の存在に気がつく。

 と、同時に。


 無数の腕が、紫苑めがけて勢いよく伸びていく。


「もぅ、最悪だぁ……」


 腕を避けつつ、黒い”何か”を斬りつける。


 切口が燃え盛る。

 これはこの武器の能力。

 斬りつけた部分を燃やし、再生させないようにするというものだ。


 だが


 炎はすぐに消え、斬りつけた部分もすぐ修復される。

 

 無理だ、勝てない。

 逃げよう。うん、隙を見て逃げよう。

 

 そうだ、それでいい……




「わけねぇだろうがぁぁぁぁ!!」


 刀を振りかざし、袈裟斬りをする。


 炎がさっきよりも強く燃え盛る。


「そんなことしたところでっ!

 運命が変わるわけがないっ!もう、逃げない!逃げたくないんだっ!」


 叫んだ。

 腹の底から叫んだ。


 もう、どうなってもいい。

 とにかく、こいつを倒すことだけを考えろ。


 集中しろ。

 全ての意識をレーヴァテインに集中させろ。

 全部持っていけばいい。

 私の全部、持っていけばいい。


「コレがあたしの、全力だぁぁぁぁぁ!!!」


 刃が燃え盛り、一本の火柱となる。

 そのまま、奴を斬りつけ――


『タイムアップだ』


「――ッ!」


 耳元で声が聞こえた。


 そのせいで集中が途切れ、火柱が消える。


「誰……」


 周りを見渡すが誰もいない。


「クソっ、誰d――ガッ!!」


 黒い腕が腹に重い一撃を入れる。


 一瞬で力が分散し、その場で膝をつく。


「……クソが」


 マズい。

 もう力が出ない。

 ここでトドメを刺されたら確実に死ぬ。

 

 奴が拳を振り上げ、紫苑めがけて振り下ろす。


 あ、死――


 死を覚悟した瞬間


 奴の身体を光の斬撃が分断した。


 そして


「大将、討ち取ったぁぁぁぁぁ!!」


 私の瞳が

 剣を振り下ろす西宮あかねの姿を捉えた。

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