お菓子作りは平和に終わるわけありません
どうも、にぃです。
お菓子作りって、ほとんどやったことなくて今回大変でした。
本編スタートです。
無事にテストという一大イベント、まくとの誤解による修業が終了し、休日がやってきた。
ピピピッ!ピピピッ!
寝室に、かけられていたアラームの音が鳴り響く。
ピッ!
それをまくとが止めた。
まくとの修業が生かされている。
あの問題児まくとが。
今ではかなりマシになっている。
まくと「ふわぁ…朝だ…」
眠い目を擦りながら起き上がろうとする。
しかし。
ありす「むにゃ~…」
この姉がそれを許さなかった。
ありすは、まくとの腕に絡みついており、離れなかった。
まるで、その部分だけ一体化しているかのように。
まくと「お姉ちゃん、起きて。離して」
まくとが腕を引っ張り続けると、ありすはようやく目を開けた。
ありす「えへへ♪おはよぉ…まくとぉ♪」
まくと「離して。起こさせて」
ありす「えぇ~?いいじゃん!せっかくの休日なんだから」
ありすは、いつものダル絡みでまくとを離そうとしなかった。
いつもなら、まくとが嫌々と言いながら起こされるはずなのに、ここ最近はずっとこうだ。
いや、今日は一段とひどい気がする。
ありす「大丈夫♪あと三時間だけだから♪」
何一つ大丈夫ではない。
もしこのまま三時間だと、起きるころには九時になってしまう。
まくと「いや、朝ごはん食べさせてよ」
ありす「私にとっては、まくとがご飯みたいなものだし、大丈夫♪」
意味が分からない。
まくとのことを何だと思っているのか。
仮にその発言を百歩譲って理解したとしても、結局まくとの朝ごはん問題は何一つ解決していないことには変わりなかった。
まくと「いや、朝ごはん用意してくれてるお母さんの気持ちも考えて?」
ごもっともな正論だった。
その正論を突き付けられ、ありすは渋々起き上がった。
ありす「わかったよ~」
そして、二人は寝室を去り、階段を下りた。
リビングに着くと、母と父の姿があった。
母「あら、おはよう二人とも」
父「二階が騒がしかったが、何かあったのか?」
まくと「あっ、ううん。別に何もしてないよ」
ありす「うん♪抱き着いて寝てて、怒られちゃっただけ♪」
その二人のやり取りを見て、親二人は微笑んだ。
母「ふふっ♪すっかり仲良しになったわね」
父「仲良くなれるか心配だったが、心配する必要もなかったな」
ありす「えへへ♪」
ありすは、笑顔でまくとにくっつく。
昔は恥ずかしがっていたまくとも、慣れが出て今は抵抗する気もなくなっている。
いや、諦めているの方が正しいだろう。
二人は、並べられた朝食を食べ始めた。
すると、ありすが突然手をパンと叩いた。
ありす「そうだ!今日休日だし、テストのご褒美も兼ねて、お菓子作ろう♪」
まくと「お菓子?あっ、そういえばまゆに習ってたんだっけ?」
ありすは、新しくできた女子友達のまゆに、バスケを教える交換条件としてお菓子作りを教わっていたのだった。
母「いいじゃない♪お昼過ぎは、キッチン使わないから自由に使いなさい♪」
ありす「よし、じゃあお昼ご飯食べたら一緒に作るよ♪」
まくと「えっ?一緒に作るの?」
ありす「当たり前♪」
こうして、まくととありすによるお菓子作りが始まったのだった。
—時刻午後二時、キッチンにて。
お菓子作りの準備が進められていた。
二人は母からもらったエプロンを着用し、材料を並べる。
すると、まくとはふと問いかける。
まくと「そういえば、何のお菓子を作るつもりなの?」
ありす「えっとね、クッキーを作るよ♪」
ありすは笑顔で、そう答えた。
まくと「クッキーか…」
至ってシンプルだ。
上級者向けというわけでもなく、作りやすく、材料もそこまで必要ない。
ありす「よし、さっそく始めよう♪えっと、まずは材料を入れて、コネコネする♪」
まくと「何を入れたらいいの?」
ありす「えっとぉ…何だっけ?」
まくと「えっ?」
ありす「冗談冗談♪とりあえず…小麦粉とお砂糖を混ぜよう♪」
…本当に大丈夫なのだろうか?
この姉が、あのゆばきという男を一撃で仕留めたサイキョーの姉と同一人物とは思えなかった。
不安を募らせるまくとだが、クッキーはおろかお菓子の知識がないまくとは、素直に従うしかなかった。
二人は、材料の小麦粉と砂糖の分量を量り始める…はずなのだが…。
まくと「えっと…小麦粉は六十グラムくらいで…」
ありす「いや、もっと追加しよう!いっぱい食べたいし♪」
まくと「えっ?でもそういうのっていっぺんに作ったら大変なんじゃ…?」
ありす「大丈夫~♪入れちゃえ♪」
ありすは、笑顔に小麦粉をどさっと入れる。
その拍子で小麦粉が舞い、二人は小麦粉の煙に包まれる。
全身が小麦粉まみれになってしまった。
まくと「い…いいのかな?」
知識のないまくとは、分量を量るのをやめて見守るしかなかった。
ありす「お砂糖は、甘くするためにいっぱい使って…」
砂糖も、たくさん入れられる。
ありす「よし、コネコネタ~イム♪」
そこから始まったコネコネタイム。
ありす「コネコネ~♪コネコネ~♪」
まくと「のんきだね…お姉ちゃん」
とてつもなく馬鹿馬鹿しいが、少し楽しいと思うのがまくとだった。
ありす「よし、そしたら次はバター入れてから、水を入れて丸めてこう♪」
二人で、分担しながら作業を進める。
協力は二人の十八番である。
この作業はあまりもたつくことなく進んだ。
ありす「で、チョコチップを混ぜます♪」
まくと「そういえば、何でチョコチップなの?」
ありす「まゆちゃんが好きだから」
まくと「あっ…そうなんだ」
ありすは、笑顔で粉上のチョコチップをパラパラとかけていく。
…少し多すぎな気がするが。
まくと「これ、チョコチップって言うよりチョコクッキーじゃない?」
ありす「実質チョコチップと同じだよ♪」
まくと「どういう理屈!?」
ためらいなくありすは、チョコチップをふりかける。
そして、なんだかんだで焼く工程までたどり着くことができた。
ありす「形ができたら、あとはオーブンで焼くだけ♪」
まくとは、できたクッキーの生地をオーブンの中に入れた。
まくと「何分ぐらい焼けばいいの?」
ありす「十五分でいいよ♪」
まくと「わかった」
まくとは、ダイヤルを十五のところに回す。
火力は中に設定。
すると、オーブンが熱を帯び始め、中を温めていった。
ありす「よし、じゃあ気長に待つとしましょうか」
二人は、気長に待った…が…。
ありす「…つまんな~い」
ありすが、根をあげた。
ありす「まくと~、ぎゅってさせて~♪」
まくと「な…なんで?」
ありす「そしたら、時間あっという間に過ぎるから♪」
どういう理屈だ。
まくと「いやいや、恥ずかしいよ」
ありす「なんで!?いっつも寝るときぎゅってしてるじゃん」
あれは、ありすが無理矢理抱き着いているだけだ。
まくと「待つときぐらい我慢して!」
ありす「ぎゅってさせて~!」
詰め寄ってくるありすに、まくとは後ずさる。
まくと「ちょ…ちょっと」
すると。
ピッ!
まくとの背中にオーブンのボタンが誤って当たり、押してしまった。
火力が強になる。
しかし、二人は取っ組み合いに夢中で気づいていない。
ありす「隙あり!」
まくと「わっ!」
ありすは、一瞬の隙を見て、まくとの距離を縮め抱き着いてきた。
ありす「捕まえた♪ぎゅ~~~!」
ありすはまくとに抱きつくなり、腕を絡める力を強めた。
まくと「は…離して………ん…?何か変な臭いが…」
ありす「えっ!?私ちゃんとお風呂入ってるよ!」
まくと「いや…そうじゃなくて…焦げ臭いような…?」
まくとは、臭いのする方に顔を向ける。
まくと「あっ!クッキーが焦げてる!」
オーブンから少し煙が出ていた。
ありす「わっ、早くスイッチ止めて!」
まくとは、オーブンのスイッチを切ろうとするが、熱で触れない。
まくと「あちっ!」
ありす「!任せて!」
ありすは、ためらいなくスイッチを切った。
熱さを全く感じていない顔だった。
これが、サイキョーか。
幸い、燃えてはいないため、被害は最小限に抑えられた。
しかし、クッキーは。
まくと「こ…焦げちゃった」
クッキーは一つ残らず黒焦げになっていた。
まくとは、涙をこぼした。
まくと「ご…ごめん、お姉ちゃん。せっかくのクッキーが…」
ありすは手をブンブン振る。
ありす「まくとのせいじゃないよ!私だって…ちょっと調子乗ってたし…それに…」
ありすは、焦げたクッキーをパクッと食べる。
美味しくはない。
初心者の味だ。
ありす「まくとと一緒に作れてすごく楽しかったよ♪」
ありすは、ニコッと微笑んだ。
まくと「う…うん、僕も楽しかった」
こうして、お菓子作りは失敗したが、思い出に残るお菓子作りになったのだった。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。
小説全部読むのに一時間かかるほどの文字数になってきました。
これからも頑張りますので、どうかこれからも読んでいただけると幸いです。
では、また次回。




