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第七話 西南西の野営地

楽しんで読んでいただけると幸いです。

私はテントで一晩を過ごした。溜まっていた緊張感、疲労感のせいか、その晩はえらく熟睡できた。

朝。


ライジュ『おはよう海ちゃん。ちゃんと寝られた?』

近都海『うん。お陰様で。』

ライジュ『それはなにより。、、、そうだ!今日この後、近くの敵野営地に強襲かけに行くんだけど、海ちゃんも来る?』

近都海『えっ、、、。それ私、絶対邪魔になるやつでしょ。』

ライジュ『大丈夫大丈夫。お姉ちゃんのかっこいいとこ、見てもらいたいし、来てよ!』

近都海『お姉ちゃんじゃないから!、、、でも、そこまで言うなら、行こうかな。』

ライジュ『本当!?やった!ありがと。』


この人の無邪気さには、本当に元気をもらう。なんか他の人には結構冷たいっぽいけど、、、。


昼過ぎ、そろそろ出るぞと声をかけられる。


近都海『強襲ってこんな昼間にやるものなの?もっと夜とか、、、、』

ライジュ『いいのいいの。どうせそこまで大きな隊でもないし。さぁ、のって。背中。』

近都海『ホタル。危ないらしいから、ここで待ってて。』


私はライジュの肩に手をかける。


ホタル『キュ!』

近都海『よし。準備OK。』

ライジュ『じゃあ、行こうか。流風魔法(るふまほう) 極渡風(こくとはん)。』


前回とは違い、今回、雲を見下ろすことはなかった。自分が突風にでもなったかのような、そんな感覚がした。またしても一瞬だった。気づいた時には、崖の上から、その野営地を見下ろしていた。


近都海『、、、人間?』


そこにはこれまた鎧を着た、沢山の人間がいた。


ライジュ『我が魔王国の南に位置する聖王国 モレーク。その前線部隊の野営地だね。』


ライジュはそういうと、私をそっと地面に下ろす。


ライジュ『お姉ちゃんのかっこいいとこ!見といてね。』


直立したまま、手を前に突き出す。


ライジュ『流風魔法(るふまほう) 鉤牙旋虐(くうがぜんぎゃく)。』


重たいプレッシャー。私に向けられたものでは断じてない。だかしかし、私はしかとそれを感じる。鼓動が高まる。見てはいけないものだと、見てはいけなかったものだと、確信した。強靭な旋風が渦を巻き、破砕機のようにその野営地を右から左へと飲み込み、削り潰して行く。けたたましい破壊音と風切り音が敵兵の悲鳴をかきけす。後にはえぐれた地面が残った。


初めて、人が死ぬのを見た。私は先程まで何を勘違いしていたのだろうか。"人が死ぬなんて思ってもみなかった"。理解が追いつかなかった。


ライジュ『どう!お姉ちゃんかっこよかったでしょう!』


殺される。死にたくない!


近都海『うん、、、。"お姉ちゃん"、かっこよかった、、、。』


ライジュは目を輝かせる。


ライジュ『そう!"お姉ちゃん"かっこいいの!』


私はライジュに甘えるようにしがみついた。その心には恐怖しかなかった。

作品を読んでいただきありがとうございました!

次回 賢い子

読んでいただけると幸いです!

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