第五話 梁を歩く
楽しんで読んで頂けると幸いです。
二角の兵士『第四席、その方は?』
私の額に冷や汗がはしる。やはり、人間は受け入れ難いのだろうか。
ライジュ『私の客だけど、、、何か?』
厳しい目つき、先程とは打って変わったその険しいオーラに、目前の兵士はたじろぐ。
二角の兵士『いえっ!何も!』
ライジュ『この子に着替えと、、、後食事を準備しなさい。』
二角の兵士『はっ!』
兵士は敬礼をするとすぐさま奥のテントの方にかけて行った。
近都海『なんかライジュ、キャラ違うね。』
ライジュ『海ちゃんには怖い顔しないから大丈夫だよ〜。』
近都海『赤ちゃん扱いやめぇ。』
私は背負われたままライジュの足を蹴った。
1番奥の大きなテントに私は運ばれた。中は案外ちゃんとしていて、フローリングに机とベットまで、、、。陽光がテントの黄色い布を透けて通るおかげで、印象はかなり明るく、温かい雰囲気に感じられた。
ライジュ『はーい、降ろしますよー。』
近都海『ありがとう。』
天井も高く、放射状に広がった梁はその空間をさらに明確に示してくれる。ふと入口から声が届く。
二角の兵士『失礼します!お着替えとお食事を持って参りました。』
ライジュ『ありがとう。預かるよ。』
二角の兵士『それと第四席、魔王城から便りが届いております。』
ライジュ『えぇー。どうせバーンでしょ。後で見るよ。』
二角の兵士『いいえ、急ぎのようでして。』
ライジュは深くため息をする。
ライジュ『わかった。すぐ行く。海ちゃん、ごめんだけどひとりで食べといて。』
近都海『うん。ありがとう。兵士さんも。』
二角の兵士はこちらに一礼する。二人はすぐにテントを後にした。
用意された食事はパンとスープだった。昨日から何も食べていないせいか、唾液が口に溜まる。料理を机に置き直し、椅子に腰をかける。
近都海『いただきます。』
スープを一口。野菜の旨味とほのかな塩味が口いっぱいに広がる。大粒の人参は柔らかく、とても甘い。涙が流れる。溜まっていた緊張感が、じんわり、じんわりと抜けていく、、、、、、。
近都海『ごちそうさまでした。』
食事の挨拶を、こんなにしっかり言ったのはいつぶりだろうか。感慨にふけっていると、、、。
???『綺麗に食べるなぁー。』
知らない男の声が聞こえた。頭上から。恐る恐る見上げる。
近都海『!?!?!?!?』
黒焦げた少女(?)の顔があった。荒々しく逆立った皮膚の一つ一つが、初見でそれを焼死体であると断定させた。声も出せなかった。
???『あれっ?おかしいなぁ、、、?初めはみんな ギャー とか ヒィー とか言って泣き叫ぶのに、、、。』
拍子の抜けた発言に、私は少し落ち着きを取り戻す。そしてその死骸が本体で無いことにようやく気が付く。
焼死体の上半身を象ったハット、黒のダウンコート、革靴。不気味なオーラに包まれる彼には顔がなかった。そして彼はテントの梁に立っていた。
焼死体を被る男『まぁいいか。こんにちは人間さん。どうしてこんな所に?』
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次回 孤疾卿
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