第十八話 聖清十器(せいせいじっき)
楽しんでよんでいってもらえると幸いです。
荒地に響くは重厚で歪な金属音。
息は荒く、酷くくたびれた身体は獣の荒々しさを抱え込んでいた。
リフティナ歴五百七年、近都海 転移より五年前。
それは魔王国からの逃亡をはかっていた。
全身を金色の体毛に覆われた一体の狐の亜人。
彼女の名は 金斧卿 アテネ。魔王直下の精鋭部隊の一人であり、巨大な黄金の大斧を操る女戦士だ。
アテネ『はぁ、はぁ、、、。』
魔王国と聖王国の国境から南に百二十五キロ。大陸有数の巨大ステップ メティフィルーフ 。それを縦断した先、多種族共生主義国家 オガーレ に行く為、彼女はひたすら歩んでいた。
メティフィルーフに突入してから二日、彼女はオアシスの街に辿り着いた。聖王国領では、魔族は差別対処。彼女は古びた外套を全身に被り、恐る恐る街へとあしを踏み込んだ。
ハザードの一角、干し肉をメインに扱う出店に、彼女は立ち寄った。旅の保存食が必要だったのだ。
アテネ『この、、、干し肉の大切りを五つ。』
出店の店主『三十五シーグルだよ。』
アテネ『これで。』
懐から丁度の硬貨をアテネは店主に渡す。
店主『まいど〜。』
干し肉を受け取ったアテネは早歩きで屋台通りを離れ、誰もいない街の裏手に身を潜める。
干し肉をかじる。そして折り畳まれた古紙の地図を開く。
アテネ『まだ三割って感じか、、、。』
藁の匂いが染み込んだそれを、またその鋭い犬歯でしかと噛みちぎる。
不意に人々の歓声。屋台通りの先、表広場の方からだ。外套のフードを深く被り、視線避の魔法を使い、様子を見に行く。
純白のシルクに精巧な金細工の大旗、靱やかな湾曲に細く輝く弦。
アテネ『聖旗と聖弓、、、聖清十器か!』
聖清十器
セイクリュード神聖教においては御神体、"精霊の神子"として崇められる十人の聖騎士。
その名の通り、神儀に用いる十の神具、聖剣、聖杖、聖弓、聖槍、聖盾、聖杯、聖燈、聖旗、聖楽器、聖台から成っており、それぞれの使い手が独自の聖清魔法を体得している。
アテネ (どうしてこんな所に奴らが、)
アテネは早々に退散の構えをとる。
その時、、、!
聖弓の男『そこの旅人よ!灰柄の外套の奴。止まれ、、、!』
アテネ (バレた、、、!?)
アテネは迷いなく駆け出す。
アテネ (人数不利、しかも敵陣のど真ん中、、、すなわち、必死、、、!)
建物の屋上に飛び乗り、棟から棟えと駆け回る。もちろんではあるが、彼女の右手には黄金に輝く大斧があった。
聖騎士も尋常でない瞬足で彼女に迫る。これも当然のことではあるが、、、。
アテネ (どうするべきか。視線避を見破る相手、まき切るのも至難!)
アテネは覚悟を決める。
金色の大斧をその手にしかと握りしめる。
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次回 黄金の大斧




